海の街「熱海」 Vol.15
2018.09.05
FOOD&DRINK

お茶、いちご、桜えび…!? 熱海で買えるご当地サイダーを飲み比べ!

海の街<熱海編> Vol.15(番外編)
観光地としての再生もめざましい、近年の熱海。“東京の奥座敷”と呼ばれるほどのアクセスの良さにもかかわらず、伊豆半島の“付け根”に位置する地理的条件から、伊豆や静岡の文化が同時に味わえる点も、人気の理由となっている。その象徴のひとつともいえるのが、この地で入手できる“ご当地サイダー”たちだ。毎日でも飲みたい逸品からパンチの利いた迷作(?)まで、熱海で買える個性派揃いのご当地サイダーを、まとめて紹介しよう。

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 静岡、伊豆の特産物がサイダーに。はたしてそのテイストは?

2000年代に入ってから、徐々に注目を集める存在となった「ご当地サイダー」(地サイダー)。各地で古くから作られているものに加え、最近では街おこしの商材として新規開発されるケースも増えており、その数は全国で130種以上になるという。

熱海で手に入るご当地サイダーは、もちろん静岡&伊豆地方の銘柄が中心。伊豆大島産の椿油にくわえ、静岡や伊豆の銘酒などを販売する大正8年創業の「佐藤油店」(熱海銀座内)に行けば、主要銘柄を1本200円で購入できる。

今回購入したのは、静岡&伊豆のご当地サイダーの中でも、比較的常時入手が可能な代表銘柄11種。それぞれ、ご当地の名産品がモチーフとなっているが、商品名やラベルだけでは、まったく味の想像がつかないものも多い。

そこで今回は、ご当地サイダーの味と魅力を客観的に伝えるため、熱海取材に同行したカメラマンやスタッフを中心とする5名のメンバーで試飲会を開催。「炭酸度」、「甘さ」、「香り」、「奇抜さ」、「オシャレさ」の各要素に対する感想を、全員で5段階採点し、寸評と共に総合評価をレーダーチャートにまとめてみた。いずれ劣らぬ個性を放つ、静岡&伊豆のご当地サイダーたち。はたして、そのポテンシャルはいかに??

 

【サイダー部門1(柑橘系)】
まさに「間違いのない」美味さ。海外向けにもアピールできそう!

ブランドとなっている「静岡みかん」のほか、伊豆地方では奈良時代から自生していたという「タチバナ」や中国から持ち込まれた「ダイダイ」など、柑橘類の名産地として知られる静岡。それだけに柑橘系の地サイダーは豊富で、今回は3種を飲み比べた。

左●静岡みかんサイダー、中央●富士山ゆずサイダー、右●だいだいサイダー
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【エントリーNo.01/写真左】静岡みかんサイダー(木村飲料):静岡県産の温州ミカンの果汁と果肉入り。やや高級感のあるラベルながら、その味わいはまさに「みかん」そのもの。甘さ、香り、炭酸の強さなど、全体的に強い主張はなく、老若何女問わず楽しめる地サイダーだ。目先の変わったお土産というよりも、普段使いに適した“親しみ”を感じさせる点も「みかん」らしい一品。各評議員の評価をまとめたチャートからも、その奥ゆかしさが伝わるだろう。
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【エントリーNo.02/写真中央】富士山ゆずサイダー(木村飲料):モンドセレクションで最高金賞を受賞した富士山天然水と、富士川町産のユズ果汁を使用。なんといっても際立つのが、開栓から立ち上る、さわやかなユズの香り。控えめな甘さの中に、ユズならではのほのかな苦みが加わることで、大人っぽい印象を与えることに成功している。最近ではフランス料理などの食材としても注目されているユズだけに、インバウンド需要も期待できそうだ。
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【エントリーNo.03/写真右】だいだいサイダー(JAあいら):県知事の認定を受けた「エコファーマー」が栽培したエコダイダイの果汁と、伊豆赤沢港沖からくみ上げた海洋深層水(0.5%)を使用。ミカンやユズとは明らかに違う、ダイダイならではの香りと微かな苦みがあり、後味に甘味がやや残るものの、全体的にはスッキリと飲みやすい印象だ。ミカンやユズに比べ柑橘としてのレア度が高いため、お土産としてのパワーは、柑橘系の中では強いのではないだろうか。
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【サイダー部門2(フルーツ系)】
大人も満足できる、ちょっと意外な本格テイストの逸品も

柑橘類以外の静岡名産フルーツを用いたご当地サイダーからは、2種類を飲み比べ。命名ルールやラベルデザインを見る限り、先に飲み比べた「静岡みかんサイダー」のファミリーにあたる、いわば“静岡名産フルーツ系”とでも呼ぶべき位置づけのようだ。

左●静岡いちごサイダー、右●静岡マスクメロンサイダー
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【エントリーNo.04/写真左】静岡いちごサイダー(木村飲料):静岡県産イチゴ果汁と、大井川の伏流水を使用した「静岡の恵みたっぷり」なご当地サイダー。ビビッドな色味からもわかるように、誰が飲んでもイチゴ味としか言いようがない、ある種オーソドックスな出来栄え。香りや甘さが強いぶん、相対的に炭酸感が弱まるような印象を受けた。イチゴという素材のポピュラーさで、万人受けは間違いないのだが、その一方で地サイダーとしての主張も控えめになっている点は気になるところ。
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【エントリーNo.05/写真右】静岡マスクメロンサイダー(木村飲料):「しずおか食セレクション」に認定されたアローマメロン果汁を使用。「みかん」、「いちご」ともに、やや無難な印象が否めない「静岡名産フルーツ」系のご当地サイダーとしては、良い意味で予想を裏切ってくれた。アローマメロンの威力なのか、まさにメロンをそのまま食べているかのような香りと甘さ、そして高級感がある。2012年のモンドセレクション金賞受賞という実績も頷ける、大人のためのご当地サイダーといえよう。
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 【サイダー部門3(その他の特産物)】
これぞご当地サイダー! 勇気を出して挑む価値大いにアリ

フルーツや甘味系の特産物とサイダーの相性が良いのは当たり前。やはり、思いがけない逸品とのコラボに挑戦してこそご当地サイダーというもの(?)である。これら3種を飲み比べた。

左●IZU CIDER~伊豆サイダー~、中央●WASABIジンジャーエール、右●桜えびサイダー
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【エントリーNo.06/写真左】IZU CIDER~伊豆サイダー~(木村飲料):富士山をバックに伊豆の踊子がサーフィンしている、ユニークなラベルが特徴。今回エントリーしたご当地サイダーの中で唯一、食品としての特産物とコラボしていない、サイダー本来の味だけで勝負する硬派な一品だ。サイダーというよりは、懐かしい「ラムネ」を感じさせる香りがあり、炭酸も甘味も適度。間違いなく万人受けが期待できる一方、いわゆる普通のサイダーとは、どこか一線を画すような印象もある。影の実力者なのかもしれない。
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【エントリーNo.07/写真中央】WASABIジンジャーエール(木村飲料):わさび漬けの老舗「田丸屋本店」とのコラボで生まれたご当地ジンジャーエール。あえてサイダーではなくジンジャーエールを選んだ理由は、一口飲めばわかる。和薬味の二大巨頭であるジンジャー(生姜)とワサビが、互いに譲らず主張しあうことで、なぜかハーブを組み合わせたカクテルのような、洋風の味わいを生み出しているのだ。テキーラやウォッカといった強めのリカーと組み合わせても美味しそう。かなり大人向け。
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【エントリーNo.08/写真右】桜えびサイダー(木村飲料):駿河湾産の桜えびエキスを使用。「磯の香りと桜えびの旨味を感じられるサイダーに仕上げました」という商品惹句が、すべてを物語っている。正直、小さな子供が飲んだら泣き出しかねないレベルの奇抜さだが、それが何だというのか。ご当地サイダーにしかできない「特産物×飲料」の極北に挑む攻めの姿勢に対しては、金メダル級の評価を与えたい。もちろん、遊び心あふれるお土産としても最適。衝撃を与えること請け合いだ。
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【コーラ部門】
ここでまさかの食材登場! 話のネタとしての威力は十分

ご当地サイダーのほか、静岡&伊豆には「ご当地コーラ」と呼ぶべきジャンルが存在する。最後にオマケ的な位置づけとして、以下3種を飲み比べた。

左●富士山頂コーラ、中央●しずおかコーラ、右●うなぎコーラ
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【エントリーNo.09/写真左】富士山頂コーラ(木村飲料):数十年以上かけて浸透し磨きぬかれた「富士山萬年水」仕込みの、富士の雪をイメージしたというホワイトコーラ。色は白いが、その味わいは、かつて駄菓子屋で売られていた、チープ系コーラのよう。味わいからイメージされる、懐かしさや親しみやすさと、富士山頂という崇高なテーマとのギャップをどのように解釈するかで、評価はわかれるところだろう。ゆえに採点も割れ、総合評価のチャートはやや地味な結果となった。
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【エントリーNo.10/写真左】しずおかコーラ(木村飲料):世界有数の茶どころ静岡が、満を持して投入しただけあって、2011年、2012年と2年連続でモンドセレクション金賞を獲得。コーラと日本茶という、いわば日米におけるアイデンティティの代理戦争的なコラボは、基本コーラに勝ちを譲りつつ、後味や風味など、さりげなく要所で爪痕を残すという、実にニッポン的な勝負結果となったようだ。飲む温度によっても、印象がかなり変わりそう。茶葉の香りを楽しむなら、氷抜きの方が適しているかも。
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【エントリーNo.11/写真右】うなぎコーラ(木村飲料):「食べるのではなく飲む! そんなうなぎもありでしょ?」と、いささか押しの強いコピーから、から『桜えびサイダー』にも負けない奇抜さを期待したのだが。うなぎのタレが持つ甘味との相性なのか、その味わいはちょっと甘めのコーラといったところ。正直、もっと攻め込んでほしい気持ちもあるが、インパクトのあるラベルだけでも、面白さは十分ということか。子供のためのお土産としても、結構喜ばれそうだ。
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【総評】
予想以上に楽しめた試飲会。まとめて飲めば“ご当地”の魅力もアップ?

以上、静岡&伊豆のご当地サイダー(コーラ)11種を飲み比べのだが、それぞれ味わいはもちろん、商品コンセプトもかなり異なるため、単純な優劣をつけることは難しかったというのが正直なところ。全体的に見れば、フルーツや海産物、そして富士山の恵みとなる水資源など特産物の多彩さが、静岡&伊豆のご当地サイダーのユニークな特徴につながっていることがよくわかった。

そして、大きな発見となったのが、仲間と集まって開催した「試飲会」の楽しさだ。

いい年をした大人たちが、何種ものサイダーを真面目な顔で飲み比べながら評価について語り合う機会なんて、当たり前の話だが滅多にはないこと。ご当地サイダーをお酒の割り材として使えば、さらに盛り上がることだろう。

静岡&伊豆だけでなく、全国各地に多数存在するというご当地サイダーたち。家族や会社へのお土産品はもちろん、大人の男たちの“遊び”の材料としても、大いに楽しめるアイテムなのであった。

 

【取材協力】
佐藤油店
住所:熱海市銀座町6-6
電話番号:0557-81-2575
www.sato-tsubaki.co.jp/

小島マサヒロ・芋川健=撮影 石井敏郎=取材・文

# サイダー# 海の街# 熱海
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