スニーカー世代を刺激する「一足触発」 Vol.99
2021.08.21
FASHION

90年代に旋風を起こした「ナイキACG」。時代の先を行き過ぎた3つの名作シューズを解説!

時代を先取り過ぎた「ナイキACG」。

ブランド史上、空前のヒットとなった「エア ジョーダン」「エア マックス」と並行して彼らが注力したレーベルである。

見る人が見れば、懐かしさがこみ上げるナイキACGのロゴ。

’90年代に青春を謳歌したオーシャンズ世代には、このロゴを見ただけで「懐かしい!」と思う人も多いはず。

その最大の魅力は時代を先ゆくプロダクト作りにあるけれど、なかでも今回は“名作”と呼ばれるナイキACGのシューズについて触れたいと思う。

アウトドアファッションのブームに乗り、見事に飛躍

まずは少しブランドのおさらいを。’90年代、ナイキACGはカルト的な人気で一世を風靡した。

ここで“カルト”と表現したのは、ナイキACGは発足当時、メインストリームでのセールスが目的ではなく実験的なプロジェクトだったから。

1988年に発表されたナイキのハイキングシューズ「エア マグマ」。ナイキACGの先駆けとなるような一足だ。こちらは、2011年にナイキスポーツウェアから登場したフラグメントデザインとのコラボレーションモデル。

ナイキ初のアウトドアブランドとして1989年に設立したナイキACG。初期メンバーには、のちにナイキを代表するデザイナーになるティンカー・ハットフィールド、現CEOのマーク・パーカーらが名を連ねていた。

ナイキACGから1989年に登場したオフロード用ランニングシューズ「エア ワイルドウッド」。シュータンやソールに入ったロゴが目を引く。こちらは2019年に発売した復刻モデル。

当時、アウトドアファッションはストリートカルチャーとクロスオーバーすることで、一大ブームを巻き起こす。ナイキACGもこの流れに乗り、時代の寵児として飛躍していくのだった。

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ナイキACGの3つの名作

並み居るライバルの中でも、ナイキACGは唯一無二の存在感を放っていた。それはナイキがパフォーマンスシューズの分野で培ったノウハウと、ほかと一線を画す革新的なコンセプトのおかげだった。

ブランド名のACGとは“オール・コンディションズ・ギア”の略。彼らはあらゆるフィールドに対応できるプロダクト作りを目指していたのだ。

そんなアプローチが結果的に、ストリートでも映えるシューズやアパレルを生み出し、ファッション感度の高い若者たちを魅了していった。

と、少々前置きが長くなったが、今なお名作と語り継がれるシューズの一部を紹介しよう。

① クロストレーニングのために生まれた高性能シューズ

1991年に登場した「エア モワブ」。こちらは2019年に発売された復刻モデルで、アメリカ最大の高級百貨店、ノードストロームのクリエイティブ部門で副社長を務めるオリビア キムによるアレンジが加えられている。

ナイキ ACGの傑作のひとつ「エア モワブ」。モデル名はアウトドアスポーツのメッカ、アメリカ・ユタ州のモアブに由来する。

デザインは、エア ジョーダンやエア マックスシリーズも手掛けたティンカー・ハットフィールド。

独自のクッショニングシステムの「ナイキ エア」、シュータンと一体になったブーティ構造「ハラチ フィットシステム」など最新のテクノロジーが搭載され、ナイキACGのコンセプトを体現する一足として、その名を轟かせた。

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② アウトドアファッションの足元を飾った不朽の名作

1992年に誕生した「エア リバデルチ」。2018年に登場したこちらの復刻モデルは、アンクル部分のホールド感を高めているのが特徴だ。

「エア リバデルチ」は、ナイキACGのデザイナーとしてブランドの発展に貢献したスティーブ・マクドナルドのデサインによる、トレイルシューズ。

リバデルチという名は、イタリア語で「さようなら」を意味する「arrivederci」から着想を得て付けられたという。実際に完成したプロダクトも、従来のアウトドアシューズに別れを告げるが如く、数歩先行く提案を示していた。

既存のハイキングブーツとは一線を隠すビジュアルと最先端テクノロジーは、アウトドア好きのみならず、ストリートでも絶大な支持を獲得。今でも時折発売される復刻モデルが瞬く間に完売することからも、人気の高さが窺えるだろう。

③ ナイキ初のスポサン、圧倒的な支持を得た水陸両用サンダル

こちら2020年にリリースされた復刻版の「エア デシューツ」。

ナイキ史上初のスポーツサンダルとして、1992年に登場した「エア デシューツ」。この一足もまたナイキACGから生まれた傑作のひとつだ。

「ナイキ エア」を搭載したハイテクサンダルは、ナイキ本社があるオレゴン州のデシューツ川から名付けられただけあって、水場への対応力もすば抜けている。

多少の悪路をものともせずに走破できる機能性と特徴的なビジュアルは瞬く間に人々を魅了し、記録的なヒットを飛ばした。その人気は今なお続き、昨年28年ぶりにオリジナル版が復刻した際も大きなニュースとなった。

このほかにも、日本で大ブレイクを果たした“21世紀のモカシン”と呼ばれる「エア モック」など、多くの名作を残したナイキACG。だが、一時活動休止を余儀なくされる。

それは、ナイキACGのコンセプトが時代の先を行き過ぎていたからかもしれない。その価値が再び認められるようになるのは、十数年後の話になる。

▶︎【後編】「“3代目”となるナイキACGは、これまで以上に縦横無尽。その変遷とキーアイテム」を読む

 

戸叶庸之=編集・文 ナイキ=写真

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