夏まで待てない……「Tシャツ」大特集! Vol.8
2020.06.28
FASHION

サステイナブルを掲げるブランドがTシャツに込めた“メッセージ”

近年、少しずつ広がり始めているサステイナブルという思想。その高々と積み上がる課題にファッションも真っ向から挑む。

彼らが叫ぶTシャツという名の「メッセージ」を、見て、着て、感じ取って!

 

言葉だけのエコじゃない。服と服の背景を考えた“信用できる”もの作り

サステイナブルな無地Tシャツ/イコーランド
8800円/イコーランド(ピーアールワントーキョー 03-5774-1408)

EQUALAND イコーランド
昨年夏、あるブランドが立ち上がった。その名は、イコーランド。“EQUAL(等しい)”と“LAND(場所)”を合わせた造語だ。近年、ファッション業界において「エシカルな視点」がひとつの潮流を生んでいるのはご存じのとおり。多くの生産者が「ファッションの仕組みそのものに無理がある」と感じ始めている。

製造過程の問題、環境負荷の問題、製品廃棄の問題、原料や価格の問題……。服作りに携わる人々、そしてその服を身に着けた人々が、等しく幸せを感じられる場所を作りたい。このブランド名にはそんな思いが込められている。

イコーランドのTシャツは、世界的なブランドが使い残した、50番手の高級インド綿糸を使用している。光沢があり、しなやかで丈夫なオーガニックコットン。これを2本撚り合わせて厚みを持たせ、Tシャツという普段着に相応しい双糸を作ったのだ。人知れず埋もれてしまう高品質な、ファッションの宝のような素材。それを見いだして再び光を当てたのである。

着れば着るほど、この素材の実力の高さを感じられると思う。洗濯を繰り返しても型崩れせず、ゴワつかない。気持ちの良い肌触りを長く楽しむことができるのだ。優しく深みのある墨黒の色合いは、バンブーチャコール、すなわち竹炭で染められている。

竹炭は弱アルカリ性のため、抗菌効果もあるとか。またコールドプレスジュースの搾りかすや流通に乗らなかった食材などを使用したボタニカル・ダイのカラーもラインナップし、このバンブーチャコールを含め全7色を展開する。水の大量消費や汚染を引き起こす化学染料を使わない、という選択肢から生まれた染色方法なのだ。

そしてネックの後ろには長いタグが付く。このタグには綿花生産者からデザイナーにいたるまで、製造に携わった人々の自筆の署名が印刷されている。それはまるで映画のエンドロール。一枚のTシャツはAIが作るのではない。人が、人の手が作り出したかけがえのないものであると、大量消費社会のなかにある僕たちに改めて気付かせてくれるのだ。

“TRUST FASHION”を掲げるイコーランド。ファッションを信じたい。信じられるファッションにこそ、本当の魅力がある。

今、イコーランドは全商品の売り上げの10%を、国境なき医師団の新型コロナウイルス感染症危機対応募金に寄付しているという。このTシャツは確かに無地だ。しかし、作り手の熱い思いによって豊かに彩られている。

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自分、生産者、環境の三方良し! で心地良い

サステイナブルな無地Tシャツ/アーミィ
6500円/アーミィ 050-5216-8415

ARMI アーミィ
サステイナブルが、社会全体で声高に叫ばれる昨今。すなわち自然保護や動物愛護、フェアな雇用形態、健全な労働環境などトータルでの倫理的活動を指すが、そうした考えはファッションの世界にも着実に広まりつつある。

なかでも一枚のTシャツにまで徹底してそれを追求している急先鋒が、2017年にデビューした東京発の無地Tシャツ専門ブランド、しかも基本は白Tシャツのみを手掛けるアーミィだ。

“考える服=identi-T(アイデンティティー)”をコンセプトとするアーミィのアイテムは、全国各地その土地ならではの伝統や技術、美意識を尊重し、自国産業の維持と活性化を目指すべく、紡績、編み立て、染色、裁断&縫製、仕上げまで、全工程において日本での一貫生産を行う。

また、商品の下げ札に印刷されたQRコードを読み込むと、原料から生産プロセス、流通経路までの履歴情報をウェブ上で確認できる完全トレーサビリティを実現している。さらに森林管理協議会・FSC認証の再生紙を用いたパッケージは、内側にDMサイズのメッセージカードホルダーが設けられており、それ自体をギフトボックスにして贈れるほか、ラベルに宛名を書いて切手を貼れば梱包不要で郵送できるという、ゴミの削減に配慮した仕様となっている。

加えて、ケアをしながら長く付き合うことを目的に、地球にもTシャツにも優しい洗濯洗剤まで展開。そのうえTシャツを汚してしまったり、色を変えたい場合は、草木染めや深黒染めによる染め直しのカラーオーダーまで受け付けてくれるのだ。

ここに紹介の「マザー」シリーズは、気候風土が綿花栽培に適したアメリカ・ニューメキシコ州で育てられ、オーガニック繊維の国際2大基準であるGOTSとOCSの両方の認証を取得している100%ピュアオーガニックコットンを採用。しかも蛍光剤フリーなので敏感肌にも優しく、加えて小さな子供と遊ぶときや犬、猫などの動物と戯れる際に、Tシャツが舐められたり、くわえられてしまっても安心だ。

また糸は長い繊維だけを平行に揃えて紡ぎ、2本を撚り合わせることで、ソフトで滑らかにして十分な強度を確保。そしてストレッチ性に富んでカラダの動きに追従するフライス編みのボディは、ストレスを感じず実に快適である。さらに素人目にはわかりにくいが、熟練を要する天地引きと呼ばれる縫製など、隅々にまでサステイナブルとメイド・イン・ジャパンへのこだわりが息づく。

着用する自分はもちろん、生産者も地球環境も三方良しで、すべてが心地良い逸品なのである。

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突き詰めて到達した反体制的サステイナブル

サステイナブルな無地Tシャツ/テクスト
1万2000円/テクスト(パーキング 03-6412-8217)

TEXT テクスト
「日本でサステイナブルなことをやるのは、反体制だと思う」。かつてオーシャンズの取材においてテクストのデザイナー、石川俊介さんが語った強い言葉だ。

国連が定めるSDGsの促進が叫ばれる中で、ファッション産業がそれに後れをとっていることに強い懸念を抱いた石川さん。マーカやマーカウェアといった自身のブランドでも実践し始めていたサステイナブルの追求であったが、テクストはよりそこに特化させ、そのメッセージを発信している。

Tシャツに使用するのは、ペルー産のオーガニックコットン。ポイントは、その安心できるクオリティにあるという。オーガニックコットンの重要な基準のひとつに、NON-GMOというものがある。これは、遺伝子組み換え作物でないという意味。遺伝子の組み換えが直接的に人体や環境に与えるダメージは明らかでないものの、GMO種子に適する除草剤は、その健康被害から提訴されている点は事実。

また、GMO作物が普及する土地でのNON-GMO作物については、生産者も知らぬうちに両者が交配してしまっている可能性も否定できないのだ。そんななかでもペルーは、2011年よりGMO作物の栽培が禁止されているうえ、種の保存も重視されている安心な国。

実際、オーガニック食品大国として世界的に知られている。使用する農場のコットンは綿花がはじけた順に手摘みされ、こうした背景から生まれたペルー産の超長綿は、適度に油分を含んだ、コシのある仕上がりとなる。これを60番手の双糸に引き揃えて、32ゲージの丸胴編み機を用い、度を詰めて編み立てた。

インナーとしてもちょうどいい厚みで透け感も回避。そのあたりは、実績ある石川さんのクリエイションという担保もある。今や誰もが目を背けることのできないサステイナブルを直視するなら、スタイリッシュな服で貢献するという選択肢を視野に入れておきたい。

 

清水健吾=写真 菊池陽之介=スタイリング 加瀬友重、髙村将司、いくら直幸、秦 大輔、今野 塁、菊地 亮=文

# サスティナブル# 無地Tシャツ
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