FFロゴで遊び尽くす、フェンディの “Fun Formal” なリゾートコレクション
PREMIUM BRAND × DAILY STYLE
FENDI フェンディ
かつてカール・ラガーフェルドの“Fun Fur(ファン ファー)”というスケッチからFFロゴは生まれた。それから50余年。2020年メンズのリゾートコレクションは、それをオマージュしたかのごとく“Fun Formal(ファン フォーマル)”と銘打ち、ロゴや素材使いでとことん遊び尽くしている。

光沢があるウールシルクのジャケットは、よく見ると左右のラペルが非対称。しかもショールカラーのほうには、FFロゴがうっすらと浮かび上がっている。見た目はフォーマルでいて、どこかに遊び心や意外性を追求した“仕掛け”が隠れているのが、今季の特徴にして最大の面白さだ。ブラックのTシャツにも複数の素材をつなぎ合わせて、FFロゴがボディと同色であしらわれるという徹底ぶり。さりげなく、大胆。そのセンスに驚かされるのだ。

雨の日が待ち遠しくなる。FFロゴが全面に描かれたこんな傘があれば、間違いなくそうだ。イエローストラップが挿し色になって、持ち歩くだけでもアクセサリー効果が期待できる(とはいえ、できれば勢いよく、得意げにこの傘を開いて使いたいけれど)。
そして同じように普段使いしたいのが、美しいフォルムのサイドゴアブーツ。ヒール部分には職人の手作業でFFロゴのグラデーション加工が施され、動作のたびに、脱ぎ履きするたびに見え隠れするのが楽しい。日常をユーモアで味付けしてくれるのだ。

ウールとシルクを混紡したドレッシーなジャケットは、ジャカード織りでボディの一部分にFFロゴが描かれている。それは光の当たり方でロゴが見え隠れする特殊なデザインで、見る角度で印象が変わるのがユニークだ。
そしてVゾーンを彩るシルク製ネクタイの、斜めに配されたFFロゴに目が留まる。“Fun Formal”を体現するアイテムとして、今季は総柄ネクタイがとても充実し、お馴染みのキャラクターやバッグ バクズのアイモチーフ、大小さまざまなFFロゴから選ぶことができるのだ。

特に豊かな表情を見せる今季の服は、その“横顔”にも個性が宿る。例えば、サテンリボンのトリミングが側面を走るテーラードジャケットやテクニカルジャージー製のトラッカーパンツがその好例だ。
ダークトーンでまとめたシャープなスタイリングに見えて、横から見るとフォーマルとスポーティなエッセンスをどちらも垣間見ることができる。それが、とてもこなれて見えるのだ。異なるテイストのアイテムをミックスして自由に楽しむ、この感覚に共感を覚える大人は少なくないはずだ。

英国調のチェスターフィールドコートには、部分的にジャカード織りでグレンチェック風のパターンがあしらわれ、その上にFFロゴのぼかしが施されている。それは経年変化によって隠れていた柄が現れたかのようにも、もともとあった柄が消えたかのようにも見える興味深い表情だ。
そんな複雑なデザインに合わせたのは、ポリウレタンとカーフレザーで大胆に切り替えたデイパック。ブラックを基調にしながらFFロゴで主張と遊びが表現されており、コートとの見事なマッチングを見せている。

フロントに大きなパッチポケットを配したワークテイストのシャツジャケット。裏地には立体的なFFロゴが全面に施されている。そんなジャケットは、ホーン製のボタンを全開にして、たっぷりしたサイズ感でラフに着るのが気分だし、袖口などからさりげなく裏地が覗く姿には抑制の利いた大人らしさも漂う。ボディには程良く光沢があるためデニムはもちろんのこと、シャツやスラックスにも好相性。自分らしく組み合わせて楽しみたい。
岡田 潤(BE NATURAL)=写真 菊池陽之介=スタイリング 松本和也(W)=ヘアメイク 長谷川茂雄=編集・文