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2019.12.02

ファッション

スポサンというジャンルを創造したスイコックとは?

2006年に誕生したスイコックは、つくり手が一切表に出てこない。それはものづくりに対する真摯な(愚直な、といったほうがしっくりくる)姿勢の表れである。
SUICOKE(スイコック)のビジュアル
雪山で撮られた最新のイメージビジュアル。スイコックは、サンダル=夏のものという概念も変えてしまった。
「スイコックは少し前までルックブックさえつくっていませんでした。方針が変わったのは、海外の取引先が増えたからです。彼らはスポサンというあらたなこのジャンルのサンダルをどう履きこなしていいかわからない。僕らはきっかけづくりをする必要がありました」。
スイコックのデザインチームに属し、今回取材に応じてくれたひとりはいう。
「海外進出に乗り出したのはたしか4〜5年まえのことでした。遡れば、スカンジナビアのストリートブランド、ノースプロジェクツとのコラボレーションに辿り着きます。現在は海外だけで250の卸先があります」。
取引先はオンラインストアのミスターポーター(MR PORTER)、エンドクロージング(END.)、そしてスニーカーヘッズがその一挙手一投足を見守るキース(KITH)から、アメリカの老舗百貨店のノードストローム(NORDSTROM)、イギリスではブラウンズ(BROWNS)まで。ファッション業界において重要な売り場をまるっと押さえている格好だ。
MR PORTERにあるスイコックの専用ページ。
「ヴァージル・アブローがルイ・ヴィトンのメンズ アーティスティック・ディレクターに抜擢されたのが好例ですが、メンズファッションはストリートが欠かせないファクターになりました。そういう時代背景がひとつの追い風になったのでしょう」。
たしかに時代の追い風もあったのだろう。しかし、名うてのバイヤーの目は節穴ではない。彼らが素通りできない何かが、スイコックにはあったのだ。結論から言ってしまえば、その何かとは、機能美を体現したデザインである。


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