2019.06.08
FASHION

靴磨きこそ最大の雨対策! プロが教える梅雨に負けない革靴メンテ術

連載「愛する靴の愛し方」
お気に入りを履き潰しては買い替えて……なんてもったいない! 愛する一足を守る術をフットウェア・ラバーたちに教えてもらった。

革靴の“3大トラブル”とされる「ヒビ割れ」「シミ」「カビ臭」。これらの原因は、主に雨にあると言われている。そのため、大切な一足を守るとあれば、梅雨時期は革靴の着用を避けるべき?

しかし、靴を愛してやまない靴育て研究家・明石 優さんはこう言う。「靴をピカピカにすることで、防御できる。正しいケアをしていれば、雨の日に履いても大丈夫ですよ」。

明石優

「革靴は人間の肌のように、水分と油分のバランスを整えることが大切です。しかし、濡れた革靴が乾くときに革が持つ油分も同時に出ていくため、適切な水分と油分のバランスが崩れてしまう。シミやカビが発生したり、乾燥してヒビ割れてしまったりする原因はここにあります。でも、正しくケアをしてあげることで、飽和状態になり、革に余分な水分が入らなくなる。つまり、突然の雨にも対応する強い革靴になるんです」。

 

月に1度のケアが、革靴の寿命を大きく延ばす

具体的には、梅雨時期に行うべきケア方法とはどういったものなのだろうか?

ホコリと汚れを落として下準備

「まずは馬毛などの毛足が長く弾力があるブラシで、靴に付いたホコリを払います。そして綿の布に靴用の汚れ落としを少し取り、靴表面の汚れを溶かし落としましょう。表面が少しマットになり、サラッとするくらいが目安です」。

ブラッシング

明石さんが愛用しているのは、ツヤ靴専用の汚れ落とし「レザリアン」のローションと、起毛加工された柔らかいコットンネル。布は着古したTシャツやタオルで代用可能だという。ただし、化学繊維はローションで溶ける可能性があるので避けること。

革靴ケア

 

指の体温でクリームを馴染ませる

「次に、油分・水分・栄養の入った乳化性のクリームで保湿をします。ポイントは指を使うこと。体温と摩擦でクリームを溶かしながら、アッパー全体に染み込ませます。シワ部分は筋に沿って、奥まで押し込むイメージで」。

クリーム

ときにはクルクルと円を描きながら、靴のカーブに合わせて塗り方を変えている明石さん。レザーの色に合わせたクリームは傷を隠し、色を深める効果もあるとのこと。

 

固めの豚毛ブラシでムラなくブラッシング

ブラッシング

「塗り終えたら固めの豚毛ブラシで、指で塗ったムラがなくなるまでブラッシングをします。革が傷つくことを恐れて優しくやる人もいますが、躊躇せずにしっかりとクリームを入れ込みましょう」。

 

表面に残ったクリームを取り除く

革靴ケア

「汚れ落としの工程で使った布の乾いている部分を使い、表面に残ったクリームを取り除きます。余分なクリームが残っているとゴミが付着する原因にもなるので、これも大事な作業です」。

ここまでで基本のケアは終了。乾燥していた革に油分と水分が入り、雨に強い状態へとグレードアップ! すでにツヤツヤとしているが、さらに“磨き”を加えることで、より革靴は輝きだすそう。

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ワックスで表面に膜をつくる

ワックス

「仕上げは、指でワックスを塗ります。表面に膜を作ることで、より雨にも強くなりますよ」。

なお、つま先やかかとなど、曲がらない芯の部分にワックスをのせることが大事。曲がる部分にのせるとワックスの原料である蝋が割れ、白っぽくなってしまうのだとか。トウの塗る範囲は“シワの前まで”と覚えておこう。

 

最後の仕上げは水とワックスの両方使いで

磨き

「最後は布に水とワックスをつけて、さらに磨いていきます。水が潤滑剤となり磨きやすく、ワックスが乳化して、より輝きだします。はじめにワックスの膜を厚めに塗っておけば、水のつけすぎによるトラブルも防げる。これもポイントのひとつですね」。

仕上がり

仕上がりは、顔が映るほどツルツルピカピカに! 表面に膜ができたことで防水性が高まり、保湿もより長く続く。さらに、傷がつきにくい状態にもなるなど、まさにいいことづくしだ。

「革靴の防水対策のひとつに防水スプレーがありますが、光沢のある革や磨いた後の革靴に吹きかけると、せっかく作った膜が分解されてしまうので要注意! スエードなど、磨かない素材やマットな質感が好きな人は、防水スプレーもおすすめです。好みによって使い分けてみてください」。

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雨ジミが気になったら“追い水”で濡れムラを無くす

ちなみに、うっかり革靴が雨に濡れてしまい、雨ジミになりそうなときは、どう対処すればいいのだろうか。

雨ジミ対策

「しっかり絞った濡れタオルで表面を拭き、わざとまんべんなく濡らしてあげるんです。雨ジミは、濡れたところと濡れていないところの境目が原因なので、境目を消して均一に濡らすイメージで」。

しかし革靴を濡らすなんて、初心者にとっては不安な行為……。失敗しないポイントは?

革靴乾燥

「濡らしたあとは、ソールにも風が抜けるよう壁に立てかけて、1〜2日ほどしっかりと乾かします。このとき、全体が均一に乾くようにしたいので、部分的に乾いているところと濡れているところの差がないように、濡れタオルで“追い水”をします。少しテクニックが必要ですが、やらなければシミになるので、思い切って挑戦してみてください」。

靴全体が完全に乾いたら、乳化性のクリームを指で塗り、ブラッシングを。水分とともに抜けてしまった油分を補ってあげましょう。

 

保管時は通気性を意識する

家中がジメジメとする梅雨時期は、保管方法にも注意を怠らない。

明石さん

「通気性の悪い下駄箱や、直射日光があたる場所はNG。購入時に同封される布袋に革靴を入れて、風通しがよく、直射日光が当たらない場所に保管をしてください。あとは、シューツリーも入れたほうがいいですね。木製で生成りのものは、乾燥剤の役割も果たしてくれるのでオススメです」。

革靴の特性を理解し、正しいケアを行えば雨だって怖くない! むしろ、ピカピカの靴こそ、雨に強い! そう考えると、出番を控えていた梅雨時期もちょっと楽しく過ごせそうだ。

[お話を聞いた人]
明石 優
茨城県出身。靴育て研究家、絵描き。2006年靴磨きを始める。シューズラウンジ「brift H」(ブリフト アッシュ)の立ち上げに参加。百貨店、一流アパレルブランドのイベントなど靴磨きパフォーマンスを経験。2011年独立。シューシャインイベントに出演など、さまざまな場所で日本には数少ない靴磨きの講師としても活躍。アーティストとしても活躍中。 Instagram:www.instagram.com/akc_yu/

平安名 栄一=撮影 長浜優奈(EditReal)=取材・文

# メンテナンス# 愛する靴の愛し方# 梅雨# 革靴
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