我々オッサンは、ずーっと心のどこかで“シンプル至上主義”を唱えていて、「服の好みは?」なんて聞かれると思わず「シンプルなもの」なんて答えてしまう。
もちろんシンプルは王道でありひとつの正義だ。しかし、今やあれだけ聞いた「ノームコア」なんてどこ吹く風で、どこを見回しても、色、柄、デザインなど遊び心に溢れたものだらけではないか。
デニムにおいてもそれは同じ。付き合いも長くさんざん馴染んだ相棒だからこそ、シンプル第一主義で凝り固まった頭を解き放つ第一歩としても、踏み出しやすいはず。
というわけで、今デニムで実践したい「3つの遊び」の提案だ。
その1:「デザイン」で遊ぶ!
最も簡単な方法は、ちょっと個性的なデザインの効いたデニムアイテムを一点投入すること。個性派アイテムには難色を示すオッサン諸兄も、デニムだったら気ラクじゃない? しかも攻略法は至極簡単。デニム以外のアイテムをシンプルにすること。そう、僕らの好きなシンプルは、ここで使えばいい。パンチの効いた調味料は、シンプルな素材にこそ引き立つ。みたいにね。
例えば、ディテールの効いたデニムパンツで…… ここでは、背面にクロス状の尾錠がついた個性あるこちら。シンプルな白Tにグッと映えるでしょ? Tシャツがゆったりしたシルエットなら、タックインしてみるのも今風な取り入れ方じゃないかな。ほら、結構簡単じゃない?
はいたのはコレ! 例えば、和洋折衷なデニムジャケットで…… アメリカンな刺繍ものやワッペンもの、武骨なハードダメージのものなども見かけることが多いデニムアウター。こちらのロングジャケットも、バックに大きく施された刺繍のインパクトは絶大。しかし一見半纏のような和デザインを取り入れたボタンレススタイル、生地の複雑な切り替えとカッティングで生み出された美シルエットは、オッサンにもしっくりハマる。
パンツは引き締め効果絶大のブラックの細身がおすすめ。インナーにはヌケ感を生む白Tくらいがちょうどいい。他のアイテムをシャープにまとめれば、これくらいパンチが効いたアイテムでも、スマートに遊べてしまうのだ。
羽織ったのはコレ! その2:「はきこなし」で遊ぶ!
例えば、ロールアップで…… 通称「鬼ロール」。OC世代なら懐かしく思う人も少なくないはず。しかしこれが今、にわかに再ブームの予感なのだ。きっかけはロエベのクリエイティブディレクター、ジョナサン・アンダーソンが2015年シーズンにおこなった約20cmの大胆ロールアップ。今年のパリコレ会場でもこの着こなしが徐々に増えてきており、まさに流行の半歩先的行くはきこなし。
昔よりもクールにはくポイントは、スリムフィットのシルエットをチョイスすること。するとご覧のとおりの上品なキマりっぷり。20cm程度をしっかりと折り返し、くるぶしを見せるくらいのレングスに合わせるべし! 足元の軽快さも加わって、一石二鳥の遊び方になるはずだ。
はいたのはコレ!
その3:「サイズ」で遊ぶ!
例えば、オーバーサイズで…… 最後は、かなり冒険心がいるかもしれないが、サイズでの遊び方。今までのデニムライフで培ってきた自分なりの“ベストサイズ”を一旦忘れて、ビッグシルエットを思いっきり遊んでしまおうというわけだ。ここで選んだサイズは36インチ。
モデルの大石学さんが普段はくのが32インチというから、なんと4インチアップ。それをベルトでクーッと締めて、ロールアップすれば、夏にぴったりのゆるっとした新鮮なシルエットが堪能できる。これは、試してみる価値アリ!
はいたのはコレ! 遊びのあるアイテム、はきこなし、サイズ。ちょっとしたコツと一歩踏み出す勇気で、長い付き合いであるデニムの新たな遊び方に開眼するとしたら、試さないなんて、ソンじゃない?
【撮影協力】デンハム・ジャパン03-3496-1086www.denhamjapan.jp 鈴木泰之=写真 川田真梨子=スタイリング 馬場拓也=ヘアメイク 髙村将司=文