デニムとクルマに共通すること。それはツールのように実用性がなくちゃならない。でも一方で、そのどちらも、研ぎ澄まされた感性やセンスが求められ、それによって贅を尽くした特別な存在にもなる。
そんなクルマとデニムとを共演させたフォトストーリーを前後編でお届け。
いいデニムといいクルマには、いつも夢がある。
LOUIS VUITTON × BENTLEY CONTINENTAL GT
ルイ・ヴィトン × ベントレー コンチネンタル GT
サヴォアフェールが発揮された特別なデニム
パーカブルゾンやTシャツ、デニムのシンプルなアイテムも、ルイ・ヴィトンの熟練したクラフツマンシップによって、ベントレーと同様のエレガンスが漂う。スリムフィットのカーボンウォッシュのデニムパンツは、加工職人のサヴォアフェール(=才覚)が存分に発揮された1本と言えるだろう。さりげなく「モノグラム」をエンボスした、レザーのラベルもグッドセンス。
スピードと贅沢を極めた至高のクーペ
大人4人がゆったり座れて、快適に高速クルーズできる。それまでの貴族的で超然としたベントレーのイメージを大きく変えたこのクルマは、多くの人に熱狂的に受け入れられた。写真のモデルは第2世代。
6L W12ツインターボチャージドエンジンを搭載した新型(第3世代)が昨年末に公開されたが、モデルチェンジごとに、よりスポーティにラグジュアリーに正統進化を遂げている。新型は全長4850×全幅1954×全高1405㎜ 総排気量5998㏄ 2530万円〜。
SAINT LAURENT × PORSCHE 911 TARGA 4 GTS
サンローラン × ポルシェ 911 タルガ 4 GTS
久しぶりにローライズが新鮮だ
現在のサンローランを牽引するのはクリエイティブ・ディレクター、アンソニー・ヴァカレロ。前任者時代のサンローランと同様に、大人が着られるロックなスタイルを中心にコレクションを展開する。久しぶりにカムバックしつつあるローライズのスキニーデニムは、ブラックで統一したロックな雰囲気でまとめるのが正解。
時代を超える“911の真価”
実用的でありながらスポーツカーとしての性能の高さと、独特なドライビングフィールは唯一無二であり、それゆえいつの時代も憧れの存在。だからか、この言葉を聞くだけで夢が膨らむ人は多いはず。
さらに、ターボ、GT3に次ぐスポーツモデルの位置付けとなるGTSや、ルーフのみがオープンになるタルガトップに4輪駆道。これ以上ない、クルマの楽しさが凝縮されている。全長4528×全幅1852×全高1291㎜ 総排気量2981㏄ 2154万円。
GUCCI × LEXUS LC500
グッチ × レクサス LC500
オーシャンズ世代とグッチの共通項
アレッサンドロ・ミケーレが手掛けるグッチの華やかな世界観は、ぱっと見ではオッサンには奇抜かもしれない。しかし彼は、かなりのヴィンテージ好きでもあり、コレクションの中には古着好きなら思わずニヤッとしてしまうピースが隠れている。
この’80年代的な色みのストーンウォッシュのデニムがその好例。バックポケットの上部には「GUCCI」ロゴの赤いエンブロイダリーがポイントとしてさりげなくあしらわれている。
突き抜けた存在感を放つクーペ
国産車のクーペは長らく、性能面では欧州勢に遜色なくても、外観や内装は見劣りする部分が多かった。それを完全に覆したのが、昨年登場したレクサス LC500。未来的で耽美な見た目とオールレザーの贅を尽くしたインテリアは、欧州のライバル車を凌駕するほどの高い完成度。まさに日本の“おもてなし”を体現。
エンジンは、今や貴重な自然吸気のV8 5Lと、V6のハイブリッドの2つが用意されてる。艶やかな赤の塗装も美しい。全長4770×全幅1920×全高1345㎜ 総排気量3456㏄ 1300万円〜。
PRADA × BMW 4 SERIES CABRIOLET
プラダ × BMW 4 シリーズ カブリオレ
プラダの哲学に触れられる1本
プラダというメゾンは、最先端のモードを提案する一方で、普遍的なプロダクトを変わらず展開し続ける一面もある。ブラックナイロンを使ったバッグがその代表例だが、このリジッドに近いテーパードシルエットのデニムも、普遍的な価値を備えているといえる。
装飾といえば、ウォッチポケット上部に付けられたループと、サイドシームとバックヨークに施された3本針ステッチくらい。ミニマルなのにどこか優雅な雰囲気を漂わせている。
ルックスも走りも官能的な4座オープン
4シーターのカブリオレほど、優雅なライフスタイルを想起させるボディ形状はない。しかも、BMWの4座オープンは’80年代後半に一世を風靡した3シリーズ(E30)のカブリオレから一貫して、優雅なのに“イヤらしさ”を感じさせない。
それは表面的なクラス感だけでなく、BMW伝統のFRや官能的でスポーティなエンジンで走りの楽しさを追求し続けているからだろう。時代とともに性能は飛躍的に進化しているが、それでも屋根を開けたときの開放感と後ろ姿の美しさは、あの頃と何も変わっていないのだ。全長4640×全幅1825×全高1385㎜ 総排気量2997㏄ 952万円〜。
名越啓介(commune)=写真 大村鉄也(commune)=スタイリング 橋本孝裕(SHIMA)=ヘアメイク 増田海治郎=文