この記事では、湊かなえのおすすめ作品について紹介しています!
- 「湊かなえが気になるけど、どの作品から読めばいいのかわからない。」
- 「湊かなえの作品を何作か読んではいるけど、次は何を読もうか。」
- 「湊かなえの作品はどんな感じなんだろう。」
とお悩みの方はぜひ本記事をご覧ください!
この記事を読めば、きっと読みたくなる湊かなえの作品が見つかるはずです。
それぞれの作品について詳しく紹介していますので、好きな物語形式や舞台設定などから読みたい作品を吟味することができます。
作品ごとのテーマや構成の違いを知ることができれば、湊かなえ作品の魅力がより鮮明になり、読みたくなるはずです。
また湊かなえの作品を読む際におすすめの方法も紹介します!
湊かなえとは?どんな作品を書く作家?
湊かなえは広島県出身の小説家です。
2008年に出版された『告白』にて華々しいデビューを飾り、その後ミステリー作家として数々の名作を輩出しています。
読後にいやな気持ちになるミステリー、イヤミスの女王とも呼ばれています。
これまでに映画化した作品は6作。その他にも多くの作品がテレビドラマになっています。
主な受賞歴として、
- 小説推理新人賞(2007年)
- 本屋大賞(2009年)
- 日本推理作家協会賞短編部門 (2012年)
- 山本周五郎賞(2016年)
があり、また直木賞を筆頭に様々な賞の候補となっています。
このことから、常に完成度の高い作品を世に送り出していることがわかります。
特に本屋大賞を受賞した『告白』は、デビュー作での受賞が初めてということもあり、高い注目を集めました。
湊かなえの人気作品!おすすめの名作24選
湊かなえは多くの作品を世に出しており、そのどれもが秀逸なものばかりです。
そのため、どの作品から読み始めれば良いのか悩む方も多くいるのではないでしょうか。
そこで、これから湊かなえのおすすめ作品を紹介していきます。
あらすじだけでなく、作品の魅力やどのような方におすすめなのかも紹介しておりますので、湊かなえの作品を購入する際の参考にすることができます。
これを読めば、自身がどの作品に一番興味を惹かれるのかが自ずとわかってくるはずです。
告白
舞台はとある市立中学。
1年B組の担任を務める森口悠子の語りから、物語は始まります。
近いうちに教師を辞めること。そして、数か月前に学校内の事故で亡くしたとされる娘が、本当は森口の担任するクラスの生徒2人に殺されたこと。
そんな衝撃的な告白をしたにもかかわらず、森口は警察に通報することもなく、また加害者である生徒に直接報復することもなく去っていきました。
しかしその後、加害者生徒を中心に様々な事件が起きていき…
複数の語り手により明かされていく事件の真実、物語の中で変化していく登場人物の心情、そして言葉を失うような衝撃のラスト。
湊かなえの魅力がすべてつまったデビュー作です。
本作品の第一章である『聖職者』が小説推理新人賞を獲得し、その後『告白』で、
- 週刊文春ミステリーベスト10 第1位(2008)
- このミステリーがすごい! 第4位(2009)
- 本屋大賞(2009)
と数々の賞を受賞しています。
湊かなえの魅力を知るうえで、本作品を外すことはできないといってもよいでしょう。
湊かなえの作品をまだ読んだことがない人、別の作品は読んだことあるけど本作はまだ読んでいない人にはぜひ読んでいただきたい作品です。
出版社 | 双葉社 |
出版年月 | 2008年5月 |
ページ数 | 320ページ(文庫本)、268ページ(単行本) |
映像化 | 2010年6月(映画) |
贖罪
のどかな田舎町に引っ越してきた少女・エミリ。
彼女はある日、4人の少女たちと遊んだ直後に殺害されてしまいます。
その4人の少女たちはエミリ殺害の犯人と思われる男を目撃し、さらにはその男と会話までしていましたが、誰もその容姿を思い出すことができず、結局事件は解決には至りませんでした。
エミリの母親は、事件の大きな手掛かりを握りながらも犯人を思い出すことができなかった少女たちに、悲しみのあまり非常な言葉を投げつけます。
母親の言葉は、少女たちにトラウマとして深く刻まれ、彼女たちのその後の人生にまとわりつくのでした。
そして事件から15年後、4人の抱えてきた事件のトラウマや罪悪感が、さらなる悲劇を巻き起こします。それはまさに負の連鎖のように。
事件によって傷つけられた少女たちが、大人になりさらなる悲劇に見舞われていく悲劇の連鎖。
鬼気迫る心理描写や語り手の切り替えによる巧みな物語展開に、思わず引き込まれてしまう作品です。
イヤミスの女王と名高い湊かなえの表現力が十二分に発揮された作品です。特に湊かなえの作品をよく読んでいる方は、その魅力を再確認できる作品であるといえます。
出版社 | 東京創元社 |
出版年月 | 2009年6月 |
ページ数 | 316ページ(文庫本)、254ページ(単行本) |
映像化 | 2012年1月(テレビドラマ) |
Nのために
物語はとあるタワーマンションで起こった野口夫婦殺害事件の調査から始まります。
事件に居合わせた4人の人物の証言が一人称形式で語られていき、少しずつ夫婦殺人事件の真相が解き明かされていきます。
彼らはいったいどのように出会ったのか、なぜ事件の現場に居合わせたのか、そして4人それぞれが抱える「N」に対する思いとは何なのか。
大切な人を傷つけたくないという、純愛とも呼べる感情が織りなす悲劇のミステリーに思わず感情移入してしまいます。
本作は各章の中で時系列が変化しているため、作品内の出来事の順序を整理する必要があります。
しかしそれを苦に感じることなく、むしろ作品世界に入り込むためのきっかけともなっている点が、本作における大きな魅力です。
人間の愛の在り方に焦点をあてた本作は、登場人物に感情移入しやすい作品と言えるでしょう。
自身の気持ちを重ねながら小説を読み進める方にはおすすめの作品です。
出版社 | 東京創元社 |
出版年月 | 2010年1月 |
ページ数 | 325ページ(文庫本)、246ページ(単行本) |
映像化 | 2014年10月(テレビドラマ) |
未来
10歳である主人公・章子は大好きな父を亡くし、悲しみに暮れる母と二人で暮らしていました。
そのような不遇な境遇にいた章子のもとに届いた一通の手紙。
それは20年後の自分からの手紙でした。
章子は半信半疑ながらも、20年後の自分に対して返事の手紙を書き始めます。
亡くなった父やその後の母の様子、学校での人間関係などが章子の書く手紙を通して描かれていき、その後物語は大きく展開していきます。
手紙の送り主はいったい誰なのかという謎、そして急変していく章子と周囲の関係、そして徐々に明かされていく父と母の真実。
幾度も苦しみを味わいながらも、それでも成長し、真実に近づいていく章子の様子には、胸が張り裂けるような思いを抱くでしょう。
スッキリとした結末であるわけではありませんが、タイトルである未来への希望をどこか感じさせるような作品です。
湊かなえの作品を読みなれた人におすすめの作品です。
出版社 | 双葉社 |
出版年月 | 2018年5月 |
ページ数 | 488ページ(文庫本)、448ページ(単行本) |
映像化 | – |
リバース
平々凡々でこれといって目を引くものもない会社員・深瀬和久は、行きつけのコーヒー豆専門店で越智美穂子という女性と出会い、恋仲になります。
しかし、こんな自分にも幸福がやってきたのだと喜びに浸っていたのも束の間、美穂子のもとに告発文が届き、2人の恋人関係は終わりを告げることとなりました。
告発文の内容は「深瀬和久は人殺しだ」というものでした。
同時にかつてのゼミ仲間が線路に突き落とされるという事件が発生。
深瀬は告発文の送り主が誰なのか、そしてなぜ今になってそのような告発文が送られてきたのか。
事件の真相を知るため、深瀬は学生時代のとある出来事と向き合うことになる。
最後まで予想できない物語展開、そしてタイトル通り、終盤に物語の印象がガラッと変わる大どんでん返しが魅力の作品です。
導入から展開、そして結末までの構成が綺麗にまとめられた名作ですので、どなたにもお勧めの作品です。
出版社 | 講談社 |
出版年月 | 2015年5月 |
ページ数 | 352ページ(文庫本)、282ページ(単行本) |
映像化 | 2017年4月(テレビドラマ) |
夜行観覧車
遠藤家は、憧れの高級住宅街・ひばり々丘に引っ越してきましたが、周囲からは疎まれ、嫌がらせを受ける日々が続いていました。
月日がたち、唯一家族ぐるみで友好を深めていた一家・高橋家の父が殺害され、さらに母と次男が失踪してしまいます。
高橋家で起きた衝撃的な事件、そして遠藤家でも起こる数々の異変。
いったい彼らには何が起こってしまったのか…
遺された家族はどのように生きていくのか、そして事件の原因や真相はいったいどのように明かされていくのか。
気になることづくしでページをめくる手が止まらなくなる、家族がテーマのミステリー小説です。
家族間の関係や、それぞれの人物の心理描写が生々しく描かれている作品です。
イヤミスの魅力にハマってしまった方は必読です。
出版社 | 双葉社 |
出版年月 | 2010年6月 |
ページ数 | 384ページ(文庫本)、336ページ(単行本) |
映像化 | 2013年1月(テレビドラマ) |
白ゆき姫殺人事件
週刊誌のフリー記者・赤星雄治は、美人会社員が惨殺されるという衝撃的な事件の調査に乗り出します。
容疑者として浮上したのは同じ会社に勤める同僚の女性。
そして事件の調査では、複数の関係者が同僚について語りますが、そこでは様々な憶測やゴシップが飛び交います。
その不確かな情報が週刊誌や口伝えに広まっていき、彼女への批判はどんどんとヒートアップしていきます。
過熱する報道や世間の容疑者叩きの裏で、彼女の本当の人物像は塗りつぶされてしまいます。
彼女は世間の言うような魔女のような人間なのか、それとも本当はただのひとりの人間なのか。そして犯人はいったい誰なのか。
無責任に他人を語る世間の異様さやメディアによる報道被害などがテーマとなった小説です。
インターネットにおけるいわゆる”炎上”や過熱報道による被害といった現代的なテーマで描かれている点が魅力の作品です。
SNSやネット社会に馴染みのある方にとって理解しやすい作品なのではないでしょうか。
インターネット上で起こる負の連鎖が描かれた本作に、若者世代の方は深く共感できます。
出版社 | 集英社 |
出版年月 | 2012年7月 |
ページ数 | 320ページ(文庫本)、280ページ(単行本) |
映像化 | 2014年3月(映画) |
ユートピア
舞台は海辺のとある港町。
陶芸家であるすみれは、鼻崎町で仏具店を経営する菜々子の娘・久美香と出会いました。
久美香は幼稚園の頃の交通事故の影響で車いすでの生活を余儀なくされていました。
すみれは彼女のために、車いす利用者への支援を目的としたブランドを立ち上げます。
事業は軌道に乗り始めましたが、ある日久美香に関する噂話がインターネット上に流れ始め、事態は一転してしまいます。
その噂をきっかけに、母親たちが蓋をしてきた様々な感情が徐々に漏れ始めます。
そして、ある日事件が起こるのです。
「善意は悪意より恐ろしい」という、事実として知られていながらも取り上げられないテーマに鋭く切り込んだ作品です。
自分の好意や善意がかえって誰かを傷つけてしまうといったことは、多くの人が一度は経験しているのではないしょうか。
そんな苦々しい出来事に焦点を当てた、なんとも湊かなえらしい作品です。
また、この小説で湊かなえは山本周五郎賞を受賞しています。
人間の心理をむき出しにした作品が好きな方におすすめの作品です。
出版社 | 集英社 |
出版年月 | 2015年11月 |
ページ数 | 360ページ(文庫本)、320ページ(単行本) |
映像化 | – |
母性
ある日、自宅の中庭で倒れている娘を発見した母親。
他殺か自殺かもわかりません。
惜しみなく愛情を注いで育ててきた娘の突然の訃報に、母親は大きく動揺してしまいます。
なぜこのような結果になってしまったのか。
母と娘のこれまでの関係性が、母親の手記と娘の回想によって描かれていき、徐々にそのいびつさが浮かび上がってきます。
そこには、11年前のとある事件が大きく影響していたのでした。
果たして、娘はなぜ死んでしまったのか…
母娘の関係性に着目したミステリー小説です。
所々にズレを感じ、読んでいて胃がキリキリするような展開が続きます。
母と娘それぞれが選ぶ言葉に、どこか違和感が拭えない。
その違和感の正体が気になり、どんどんと読み進めてしまう魔力のある作品です。
衝撃度の高い作品なので、湊かなえ作品を多く読んでいる方や刺激的な作品を読みたいという方におすすめです。
出版社 | 新潮社 |
出版年月 | 2012年10月 |
ページ数 | 368ページ(文庫本)、266ページ(単行本) |
映像化 | 2022年11月(映画) |
高校入試
舞台は公立の進学校である橘第一高校。
新任教師・春山杏子は、入試前日の教室で一枚の張り紙を見つけます。
「入試をぶっつぶす」と書かれている通り、入試当日には試験の内容がインターネットの掲示板に流出していました。
対応に苦心する学校や不満が爆発した保護者と生徒で現場は大混乱に陥ります。
犯人にまったく見当がつかず、関係者全員が容疑者とまで言える状況に不安を募らせる人々。
いったい誰が、なぜこんなことをしたのか。
高等学校という閉じた舞台で繰り広げられる、人間の本性むき出しの本格ミステリー小説です。
本作はもともとテレビドラマの脚本として執筆されており、後ほど書籍化するという少し珍しいケースで生まれた作品となっています。
先に紹介しました『告白』以来の学校ミステリーとなっています。
そのため『告白』を読み終えた方は、作品の世界観に没入しやすいのではないでしょうか。
出版社 | 角川書店 |
出版年月 | 2013年6月 |
ページ数 | 432ページ(文庫本)、384ページ(単行本) |
映像化 | 2012年10月(テレビドラマ) |
少女
高校2年生の由紀と敦子は、転校生である紫織から衝撃的な話を耳にします。
彼女は、親友の自殺を目撃してしまったのです。
それを聞いた2人は、「人が死ぬのを見てみたい」という思いに駆られ、夏休みにはそれぞれがアルバイトを始めます。
アルバイト先は、老人ホームと小児科病棟。
目的はただ、人が死ぬ瞬間を見たいからというもの。
彼女たちの無垢で残酷な好奇心の先にあるものとは…
思春期の少女たちが抱える危険な好奇心と、その好奇心がもたらす悲劇を描いた長編ミステリーです。
イヤミス作品と知らなくても、この導入には不安が高まってしまいます…
少女たちの思惑に隠された背景や、2人の行動によって変化する周囲の環境の描写が魅力的な作品です。
他作品に比べミステリー要素は若干少なめなので、湊かなえをまだ読んだことがない方にもおすすめできる作品です。
出版社 | 早川書房 |
出版年月 | 2009年1月 |
ページ数 | 323ページ(文庫本)、279ページ(単行本) |
映像化 | 2016年10月(映画) |
落日
笹塚町出身の新人脚本家・甲斐千尋は、同郷出身で期待の新星である映画監督・長谷部香から、新作映画の相談を受けました。
その映画は、二人の故郷である笹塚町で起きた一家殺害事件を題材としたものでした。
なぜ香は15年前にもなる事件を映画にしようとしたのか、千尋はその事件とどのように対峙していくのか。
事件の被害者の取材を通して、様々な事実が浮かび上がっていきます。
香は一家殺害事件とどう関係しているのか、そして事件の裏に隠された真実とは…
映画製作を通して不条理な運命に向き合う人々を描いた、長編ミステリー小説です。
本作ではただ真実を明らかにするだけではなく、前提に「映画を撮る」という目的が存在している点が特徴の作品です。
映画という前提で見たとき、事件の見え方はいったいどのように変化するのかということを意識すると、より作品の解像度が上がるのではないでしょうか。
長編であるため、じっくりと本を読みたいときにおすすめの作品です。
出版社 | 角川春樹事務所 |
出版年月 | 2019年9月 |
ページ数 | 432ページ(文庫本)、384ページ(単行本) |
映像化 | 2023年9月(テレビドラマ) |
境遇
主人公は親友同士で、幼少期に親に捨てられたという共通の過去を持つ陽子と晴美。
ある日、陽子の息子である裕太が何者かに誘拐されてしまいます。
誘拐犯からは、一通の脅迫状が。
「真実を公表しなければ、息子の命はない」と書かれた手紙に困惑した陽子は、晴美に助けを求めます。裕太を助けるため、脅迫状に書かれた「真実」を求めて協力する陽子と晴美。
誘拐犯が要求している「真実」とは、いったい何なのか。
そして2人は、どのようにして「真実」にたどり着くのか。
家族や友人との絆を題材としたヒューマンミステリーです。
息子のために奔走する母・陽子の姿や、血のつながりがないにもかかわらず献身的なサポートをしてくれる晴美の様子が丁寧に描かれています。
ミステリーとして謎が提示されながらも、テンポの良い物語展開で読者を離さない魅力のある作品です。
他作品に比べ読み進めやすい印象のため、展開の早い作品が好きな方におすすめです。
出版社 | 双葉社 |
出版年月 | 2011年10月 |
ページ数 | 317ページ(文庫本)、244ページ(単行本) |
映像化 | 2011年12月(テレビドラマ) |
カケラ
主人公は都内の美容クリニックに勤務している医師・橘久乃。
ある日、幼馴染の志保が来院し、痩せたいという相談を受けました。
カウンセリングの最中、ふと小学校時代の同級生である横網八重子が話題に上がります。
彼女の娘が高校卒業後に自死してしまったことを聞いた久乃は、彼女が自死を選んでしまった原因について調査を始めます。
調査する中で目立つのは、関係者それぞれの証言に矛盾があること。
そして証言者のどこか責任逃れをしているかのような物言い。
性格も明るく、人気者であったはずの彼女が、なぜ自死してしまったのか。
真実に近づくにつれ、そこには人間の恐ろしい心理が見えてくるのであった。
美容外科医が少女の死の真相を解き明かすミステリー小説です。
美容整形が題材の作品となっており、人間の美醜意識や周囲からの容姿の評価がどのような影響をもたらすのかを考えさせられます。
現代日本でも美容整形への是非はたびたび話題に上がっています。
この問題を考えるにあたって参考になる作品です。
出版社 | 集英社 |
出版年月 | 2020年5月 |
ページ数 | 320ページ(文庫本)、288ページ(単行本) |
映像化 | – |
ブロードキャスト
中学時代、駅伝の全国大会出場をあと一歩のところで逃した主人公・圭祐。
とある理由から、高校では放送部に入部します。
個性的なメンバーが揃う放送部。
新たな居場所でうまくやっていけるのかという不安を抱える中、圭祐は再び全国大会を目指し、努力の日々が始まるのです。
湊かなえの新境地とも言われた青春小説です。
ミステリーの要素もありますが、どちらかというと青春ものの要素が強く、爽やかな印象を受ける作品です。
湊かなえの作品には珍しい、スッキリと読むことのできる作品ですので、どなたにもおすすめできます。湊かなえ作品をよく読んでいる方にとっては、意外性のある作品です。
出版社 | KADOKAWA |
出版年月 | 2018年8月 |
ページ数 | 400ページ(文庫本)、312ページ(単行本) |
映像化 | – |
絶唱
舞台は南洋の島・トンガ。
島に滞在する4人の人物の視点から、阪神淡路大震災当時の状況が語られます。
自分自身を取り戻すため、あの時破ってしまった約束を果たすためなど、それぞれの理由でトンガを訪れた4人が、秘していた思いと再び向き合います。
それぞれの抱えていた思いや後悔、震災当時から止まっていた時が、南の島トンガで再び動き出す連作短編集です。
阪神淡路大震災を題材にした作品であり、あまりにも多くのものを喪った人々の悲しみや、喪いかけた心を取り戻していく過程が繊細に描かれています。
全編通して読んだ後、それぞれの短編に関連性が見られるなどのミステリー要素もあり、悲しみを乗り越えようとする人間の姿が描かれた傑作です。
出版社 | 新潮社 |
出版年月 | 2015年1月 |
ページ数 | 336ページ(文庫本)、254ページ(単行本) |
映像化 | – |
花の鎖
主人公は梨花、美雪、紗月の3人。
梨花は3年前に両親と死別、現在は祖母と二人暮らしをしています。
しかし講師として勤務していた英会話スクールが倒産、同時に祖母もがんで入院することになり、経済的に困窮。
なんとか金を工面しなければというとき、とある人物が思い浮かびます。
身内が役員を務める会社の同僚と結婚した美雪。
彼女は夢を追いもがく夫を献身的に支えています。
和菓子屋のアルバイトと水彩画の講師を兼業している紗月。
絶縁していたかつての同級生と再会し、そこで言われた依頼に悩んでいた紗月は、過去と決別するためにある決心をします。
それぞれの「花の記憶」が明らかになったとき、一見まったくつながりのない3人の女性の話は、1つの物語となるのです。
3人の女性の生き方を描きながらも、そこにみられるつながりを丁寧に描いたミステリー小説です。
3人の女性に共通する謎の男「K」の存在や、それぞれの物語がつながった時の驚きの結末がミステリーの核となっており、また魅力ともなっている作品です。
バラバラになっていたピースが最後にカチッと合うような構成の作品が好きな方にはお勧めの作品です。
出版社 | 文藝春秋 |
出版年月 | 2011年3月 |
ページ数 | 368ページ(文庫本)、296ページ(単行本) |
映像化 | 2013年9月(テレビドラマ) |
人間標本
蝶の美しさに魅入られた博士の物語です。
蝶に心酔していた博士はある日、まさに天啓と呼べるほどのインスピレーションを得ます。目に移る美少年たちは、蝶なのだ、と。
それから博士は、美少年たちを蝶と同じように、標本にします。
それも、それぞれ特定の蝶と同じ手法で行うという、常軌を逸した方法で。
5人の美少年を標本にし終えた時に得た満足感も次第に消え失せ、再び欲求に駆られた博士には、己の息子でさえも、蝶に見えてきたのです…
狂気とも呼べる感情に支配されてしまった博士による、手記形式のミステリー小説です。
あらすじだけでも、本作はその異様さにおいて一線を画す作品であることがわかります。
イヤミスの極致とも呼べる設定と工夫を凝らした物語構成によって、読み応え抜群の作品になっています。
湊かなえの表現力が余すことなく発揮された作品ですので、湊かなえの世界観にどっぷりと浸りたい方におすすめです。
出版社 | KADOKAWA |
出版年月 | 2023年12月 |
ページ数 | 280ページ(単行本) |
映像化 | – |
望郷
舞台は瀬戸内海にある島。
富田美里の住む白綱島は、対岸の市に吸収合併されることが決まりました。
市の閉幕式の演壇には、かつて島を捨て一度も帰ってくることのなかった姉が立っていました。
姉との再会をきっかけに、美里は過去に思いを馳せます。
都会からやってきた1人の若い男との、守られなかったあの約束。
そして20年ぶりに島に戻ってきた姉から語られた事実は、衝撃的な内容だったのです…
小さな島に生まれ育った人々の、愛憎含めた繊細な心の機微を描いた作品です。
本作に収録されている「海の星」は第65回日本推理作家協会賞短編部門を受賞しています。
島の人々の暖かさ、そして閉ざされた世界の閉塞感やそこで生きていく人々の哀歓がリアルに描かれています。
田舎特有の問題やそこで悩む人々の思いが丁寧に描かれた作品ですので、人物の心理描写が好きな方におすすめです。
出版社 | 文藝春秋 |
出版年月 | 2013年1月 |
ページ数 | 304ページ(文庫本)、264ページ(単行本) |
映像化 | 2017年9月(映画)、2016年9月(テレビドラマ) |
サファイア
中学生時代の同級生と再会し、交際することになった主人公・平井篤志。
交際のきっかけとなった商品の製造会社に就職しますが、後にその会社が別会社に吸収され、平井はお客様相談室に勤めることとなります。
ある日、室長として相談することになったのは、放火の罪で逮捕された50歳の女性でした。
彼女は平井の勤める会社の商品についての思い出を語り始めますが…
タイトルに宝石の名前があしらわれたミステリー短編集です。
上記の短編の他、短編6編が収録されています。
人間の出会いと別れ。そして罪や愛といったテーマで人物の心情が描かれている作品です。
短編ながらもミステリー要素も十分なため、読み応えのあるミステリーをさくっと読みたい方におすすめの作品です。
出版社 | 角川春樹事務所 |
出版年月 | 2012月4月 |
ページ数 | 320ページ(文庫本)、288ページ(単行本) |
映像化 | – |
豆の上で眠る
結衣子が小学1年生のころ、2歳上の姉・万佑子が失踪してしまいます。
結衣子たちの必死の捜索によりいくつかの手掛かりはつかんだものの、結局姉を見つけることができませんでした。
ところが事件から2年後、万佑子は記憶を失った状態で結衣子たちのもとへ帰ってくるのです。
万佑子が家に戻り、安堵し喜びを分かち合う家族。
しかし結衣子は、戻ってきた姉に対する違和感がぬぐえないまま日々を過ごしていきます。
お姉ちゃん、あなたは本物なの?
大学生となった結衣子が、帰省をきっかけに当時の事件を振り返り、そして真実が明かされていく姉妹ミステリーです。
万佑子の失踪から大きく変化していく家族の姿や、物語の謎が徐々に明かされていく秀逸な構成が魅力の作品です。
書籍になる前には週刊誌で連載されていたため、どこを切り取っても読みごたえのある作品となっています。
前半の家族の描写が緻密に描かれており、伏線や謎を整理しやすい点も魅力です。
湊かなえの作品に馴染みのない方にもおすすめの作品です。
出版社 | 新潮社 |
出版年月 | 2014年3月 |
ページ数 | 368ページ(文庫本)、 278ページ(単行本) |
映像化 | – |
山女日記
自身の結婚について悩み、決断をするために山に登る律子。
自立することができておらず、姉に対する劣等感を抱く希美。
元彼との思い出と決別するために、ツアーに参加した柚月。
彼女たちは何を思い、山を登っていくのか。
様々な悩みや思いを抱える女性たちが、山登りを通じてそれぞれの答えを導き出していく姿を描いた連作短編小説です。
抱えた思いとともに、一歩一歩山頂へと歩を進める女性たちの様子に、つい感情移入してしまいます。
女性の繊細な心理や、登山の魅力が存分に描かれた作品です。
現在悩みを抱えている方は、彼女たちの姿に共感できるのではないでしょうか。
出版社 | 幻冬舎 |
出版年月 | 2014年7月 |
ページ数 | 384ページ(文庫本)、296ページ(単行本) |
映像化 | 2016年11月、2017年10月、2021年10月(テレビドラマ) |
ポイズンドーター・ホーリーマザー
小さい頃から自身をコントロールしようとする母親に悩まされてきた俳優・藤吉弓香は、母に会いたくないという思いから同窓会に出席することもしませんでした。
そんなある日、彼女のもとに「毒親」をテーマにしたトーク番組のオファーが届きます。
彼女はそこで、ある行動を起こすのです。
他にも自責思考の強い女性や、ライバル脚本家にいらだちを隠せない女性、優しすぎるがゆえに殺人を犯してしまった女性など、様々な女性たちの姿を描いた短編ミステリー集です。
女性たちが抱える多様な苦悩や、それによって引き起こされた過ちを辿る作品となっています。
女性たちの複雑な心情が繊細かつ鮮烈に描き出されている点が魅力の作品です。
本作は直木賞の候補作ともなっており、湊かなえの表現力を堪能したいという方におすすめの作品です。
出版社 | 光文社 |
出版年月 | 2016年5月 |
ページ数 | 291ページ(文庫本)、245ページ(単行本) |
映像化 | 2019年7月(テレビドラマ) |
往復書簡
結婚式に集まった高校時代の同級生たち。
行方不明とも噂されている女性・千秋の消息を知るべく手紙でやり取りを始める複数の女性たちは、手紙を通して千秋失踪の謎に迫っていきます。
2作目は、教員生活を終え、現在は入院中の竹内と元教え子である大場による手紙のやり取りをきっかけとした物語です。
竹内が知りたい6人の生徒の近況を、大場は報告していきます。
手紙によって浮かび上がる事件と、そして真相。手紙には、いったい何が描かれていくのでしょうか。
3作目は、国をまたいだ恋人同士の手紙のやり取りが描かれています。
文通する中で、ふと話題は中学時代のとある事件に移ります。
手紙で明かされる事件の詳細と真実に、2人は何を思うのか。
書簡形式で物語が紡がれていく連作ミステリー集です。
手紙だからこそ書くことのできる真実や嘘が巧みに織り交ぜられていき、物語の真相が最後まで予想できない展開となっている点が魅力の作品です。
湊かなえの一風変わったミステリーを読みたいという方におすすめです。
出版社 | 幻冬舎 |
出版年月 | 2010年9月 |
ページ数 | 328ページ(文庫本)、268ページ(単行本) |
映像化 | 2016年9月(テレビドラマ) |
湊かなえを読むならKindle端末がおすすめ!理由とメリットを解説
ここからは、上記の湊かなえのおすすめ作品を読むうえで便利な方法を紹介します。
それがKindle端末です。
Kindle端末とはAmazonの電子書籍サービス「Kindle」に使う専用の機器です。この端末1台で、あなたの読書生活はより充実したものになります。
「でもわざわざ電子書籍専用の端末を買うなんて…」と思うかもしれません。
そこで、これからKindleをおすすめする理由を4点紹介したいと思います。
これを読めば、あなたが読書をする中で抱えていた悩みを解決できるかもしれません。
おすすめ理由①お気に入りの本を何冊でも持ち運べる
読書家にとってこれは大きなメリットです。Kindle端末であれば、1台で好きな本をいくらでも持ち運べます。
通勤中や旅行中、待ち合わせで早く着いてしまった時のスキマ時間など、ふと本を開きたくなる瞬間って意外とありますよね。
そんな時、Kindle端末であればその時に読みたい本をすぐに読むことが出来るのです。
おすすめ理由②バッテリーが長持ちする
スマホやタブレットで電子書籍を読む場合、どうしてもバックグラウンドで他のアプリが動いてしまうため、充電が早く減っていきます。
小説は読み切るのに何時間もかかってしまい、1回の充電で読み切れないなんてことも…
しかしKindle端末は読書のための機器なのでそのような心配は必要ありません。
1回の充電で数週間は持つため、安心して本の世界に没入することができます。
おすすめ理由③紙と同じ感覚で読める
これはKindle端末を使用する大きなメリットです。
スマホやタブレットの光の強さやブルーライトはどうしても気になってしまうもの。
しかしKindle端末では、タブレットのように液晶が発光している訳ではなく、外部からの光を反射させて画面を表示させる電子ペーパーを使用しています。
つまり、目に優しく疲れにくいといった電子機器全般から想起される悩みを心配することはありません。
おすすめ理由④読書で活躍する機能が多数搭載
読書をしていて「あ、この文章素敵だな」と思ったことはありませんか?
そんな時、その言葉をメモしたり、写真に撮ったり、また読み進めている部分とは別でしおりを挟む人もいるかもしれません。
Kindle端末であれば、好きな文章や好きな部分にマーカーを引いたり、しおりを挟むことができます。
文字サイズも自由に変更できるため、自分の読みやすい文字サイズで読み進めることもできます。
また知らない言葉を検索できる辞書機能や、読み進めた感想を書き込んだり、物語を整理するのに便利なメモ機能など、読書をするのに最適な機能が十二分に搭載されているのです!
おすすめKindle端末5選
これまでKindle端末のメリットを読んで「ちょっと気になるな…」と思う方は必見!
これからおすすめのKindle端末を紹介します!
「コスパが良いのはどれだろう」「スペックや機能の違いはあるのか」など、購入する際に悩んでしまわないよう、おすすめのKindle端末5選を紹介します!
これを見て、実際に購入するのか、購入するとしたらどの機種にしようかなどの参考になれば幸いです。
Kindle
初めてKindle端末を使う方におすすめのエントリーモデルです。
価格も1番安く、またサイズも持ち運びやすい商品となっています。
容量は16GBとなっており、一般的な書籍であれば数千冊は保存可能と十分な容量となっています。
また今読んでいる本の表紙を表示してくれるブックカバー機能が搭載されているので、読書の気分を高めてくれます。
まず手軽にKindle端末を利用したいという方におすすめの機種です。
インチ数 | 6インチ |
容量 | 16GB |
対応回線 | Wi-Fi |
解像度 | 167ppi |
防水性 | – |
広告表示 | なし |
重量 | 約158g |
Kindle Paperwhite
コスパを重視したい方向けの機種です。
容量を8GBと16GBから選ぶことができ、保存した本の数に応じて選択できる点が魅力です。
また防水機能と色調調整機能がついているため、屋外や暗い場所での利用にも適しています。
Kindleよりは若干高いものの、便利な機能が追加されたことで利用できる場所がより広がった機種です。
Kindle Paperwhiteであれば半身浴しながらでも快適な読書体験をすることができます。
インチ数 | 6.8インチ |
容量 | 8GB/16GB |
対応回線 | Wi-Fi |
解像度 | 300ppi |
防水性 | あり |
広告表示 | 選択可能 |
重量 | 205g |
Kindle Oasis
もっとも快適な読書体験を求めている方におすすめです。
最高スペックのKindle端末のため、防水機能や色調調整機能に加え、明るさ自動調整機能やページ送りボタンまでついており、もっとも快適に読書することができます。
また32GBという大容量機種も選べるため、本機種を買えば残りの容量を気にすることなく利用できる点も大きな魅力です。
これまでKindle端末を利用していて、より便利な機能が欲しい方、快適な読書のためには投資を惜しまないという方におすすめの機種です。
インチ数 | 7インチ |
容量 | 8GB/32GB |
対応回線 | 4G、Wi-Fi |
解像度 | 300ppi |
防水性 | あり(IPX8等級) |
広告表示 | 選択可能 |
重量 | 188g |
Kindle Scribe
書き込み機能が搭載された機種です。
画面サイズも約10インチと大きく、メモしながら読み進めることができる点に大きな魅力があります。
湊かなえの作品は伏線が多くあるため、それらを整理するのにこのメモ機能は大いに役立つはずです。
また容量も3段階で選ぶことができるため、自身の利用状況や予算に合わせた購入ができます。
この手書き機能に魅力を感じている方におすすめです。
インチ数 | 10.2インチ |
容量 | 8GB/32GB/64GB |
対応回線 | Wi-Fi |
解像度 | 300ppi |
防水性 | – |
広告表示 | なし |
重量 | 433g |
Kindle キッズモデル
子ども向けに最適化された機種です。
読書専用の端末として、子どもがゲームや動画に気を取られることなく、読書を楽しむことができます。
購入後1年間は子供向けの本が1000冊以上無料になることもあり、子どもの読み聞かせにも最適な機種です。
子どもに本の魅力を教えてあげたい、読書に興味をもった子どもに最適な環境を用意してあげたいという方にはぜひおすすめします。
インチ数 | 6インチ |
容量 | 16GB |
対応回線 | Wi-Fi |
解像度 | 300ppi |
防水性 | – |
広告表示 | なし |
重量 | 256g |
まとめ
以上、湊かなえのおすすめの名作24選と、湊かなえを読むならぜひおすすめのKindle端末について紹介しました。
気になる作品は見つかりましたでしょうか?
湊かなえの作品は1度読むと、その世界観と表現力につい惹き込まれてしまい、気がついたら何冊も購入していたということもありえます。
そんな時には、何冊も持ち運ぶことができ、かつ盛りだくさんの機能で読書生活を支えてくれるKindle端末の購入も、ぜひ視野に入れてみてください!
この記事が新たな作家との素敵な出会い、またあなたの読書生活に彩りを添えるものとなれますように。