乗りたかったのは、キブンが乗るクルマ Vol.283
2021.09.15
CAR

EQGとマイバッハEQS。メルセデスの“EVへの本気”を感じるコンセプトSUV

今年8月、メルセデスは「2030年には全車を電気自動車に」と宣言。そして今月行われたIAAモビリティでGクラスと、マイバッハのラグジュアリーSUVのコンセプトEVを発表した。

せいぜい街乗りコンパクトが中心かなと思っていたら、まさかの最重量級! メルセデス・ベンツ、こりゃ本気だ。

 

■EQGコンセプト

メルセデス・ベンツ EQGコンセプト
EQGコンセプト。Gクラスの特徴のひとつ丸目ヘッドライトを受け継いでいる。エンジン車なら外気を取り込んでエンジンを冷やすラジエターグリル部分は、3D効果のある星のイルミネーションが組み込まれたブラックパネル。

約3年前の2018年に現行型Gクラスがアメリカで初公開された際、ゲストとして大のGクラス好きであるアーノルド・シュワルツェネッガー氏が呼ばれた。

カリフォルニア州知事時代には車のCO2削減政策をアメリカで最も強く推し進め、愛車のGクラスを電気自動車に改造していたほどの彼は、メルセデス・ベンツに対して「Gクラスも電気自動車にするんだろ?」と投げかけていた。

重量物であるバッテリーが床下に収められるため低重心となり、走行性能に有利に働く。

このときメルセデス・ベンツは「期待していてください」と答えるにとどめたが、シュワルツェネッガーとの約束を果たすべく、今年9月にGクラスの電気版「EQG」のコンセプトカーを発表した。

背面タイヤの代わりに収納ボックスが備わる。ここに充電ケーブルなどを収めることができるという。

ひと目でGクラスとわかるボディは、従来通り、悪路走破性に長けている堅牢なラダーフレーム構造が採り入れられている。

またフロントが独立式のサスペンション、リアがリジッドアクスル式サスペンション(左右の車輪を1本の車軸で連結)なのもGクラス伝統の方程式。

一方でバッテリーはラダーフレームに組み込まれるように収められ、モーターは4輪それぞれの近くに、またリアには後輪モーターの制御システムが備えられている。

インテリアは現行型Gクラスとほぼ同じ。ということは単なるコンセプトカーではなく、量産型に近い形!?

詳細な数値はまだ公表されていないが、エンジンと比べてモーターはトルクが大きく、緻密な制御がしやすいのが特徴。

エンジン車が音を上げそうな悪路でも、4輪それぞれをトルク幅の広いモーターで繊細に制御できるEQGなら、どんな地形でも力強く走ることができるはずだ。

真上から見るとGの文字が刻まれているルーフラック。フロント側には白色のLEDライトが組み込まれ、オフロード走行時のサーチライトとしての役割を果たす。

現行型や旧型は開発時に、オーストリアにある標高1445mのシェークル山にあるテストコースで最終チェックが行われてきた。5.6kmの伝統的なオフロードコースに、このEQGも挑むことが決まっている。

往年のファンもワクワクさせる、Gクラスらしさを踏襲したデザインは流石わかってらっしゃる!

発売時期は不明だが2025年には? とささやかれている。

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■コンセプト メルセデス・マイバッハEQS

コンセプト メルセデス・マイバッハEQS
コンセプト メルセデス・マイバッハEQS。航続可能距離は約600km。フロントバンパーは単なる板状ではなく細かな細工がほどこされている。

先日、ようやく日本にもメルセデス・マイバッハGLS600 4マチックが導入され、「これがSUVの頂点か」と思っていたら、早くも新たな頂きが提案された。

それが「コンセプト メルセデス・マイバッハEQS」だ。

エンジンと比べ、はるかに静かなモーターで滑るように走る電気自動車は、ラグジュアリーカーとの相性は抜群だが、理由はそれだけではないらしい。

よく見るとLEDヘッドライトの周囲は小さなマイバッハのエンブレムが備えられている。芸が細かい。

マイバッハを求めるようなセレブは「何か特別なもの」を求めると、メルセデス・マイバッハは説明する。また近年はセレブも若年化傾向で、ラグジュアリーの定義も変化しているというのだ。

「お客様の多くは高度にデジタル化されており、当社のデジタルソリューションに最高の要求をしています。また、自分が選んだブランドには、持続可能な価値を支持し、環境に責任を持つことを期待しています」。

だからこそ電気自動車であることは大前提。そのうえでマイバッハEQSは最先端のデジタル化が推し進められているのだ。

リアライトも、近づいて見るとらせん状の模様が施されていて、点灯した際に独特な輝きを放つ。

マイバッハだと誰もがわかるピンストライプのグリルを備えたEQSに近づくと、ドアグリップがスッと浮き上がる。

さらに近づけばドアが自然に開き、乗員は手を触れることなく車内へと乗り込めるという。ほかにもドライバーが「ハイ、メルセデス。後ろのドアをあけて」とEQSに話しかければ、後席ドアがスッと開く仕組みまであるという。

この音声認識で有名な最新機能「MBUX」はさらに、前席に備わる端から端まで延びたスクリーン上でも大いに活躍する。

近未来的なステアリング。インパネ部分は左右目一杯までデジタルディスプレイで覆われる。

例えばドライバーと助手席側でそれぞれ別のコンテンツを表示できるが、ドライバーが助手席側のモニターをチラチラ見ていると、安全運転を促すために、自動的に助手席側のディスプレイを減光して見えないようにする。

またその時々の状況や、これまでの流れを察して、ディスプレイには最も重要なアプリケーションが常に最初に表示されるため、サブメニューを探し回る必要はないという。

花瓶は標準装備。季節に応じた花を活けることで、忙しいセレブの心を癒やす狙いのようだ。もちろん、車内で快適にくつろげるように、折りたたみ式のテーブルやシャンパングラス、食器類、冷蔵庫も備えることができる。

電気で走り、ひと足先の技術まで盛り込まれているコンセプト メルセデス・マイバッハEQS。

「もうちょっと先だろうな」と思うかもしれないが、来年にはベースであるメルセデス・ベンツのEQSを量産すると同社はいう。

ということは、マイバッハEQSの登場もそう遠くはないはずだ。

 

籠島康弘=文

# EQG# EQS# EV# メルセデス・ベンツ# 電気自動車
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