乗りたかったのは、キブンが乗るクルマ Vol.279
2021.09.03
CAR

メルセデス「ウニモグ」が“車史上最強”と呼ばれるハンパないスペック

メルセデス・ベンツのオフローダーといえばGクラスの名が挙がるだろう。しかしGクラスより約30年前。1948年に生まれた“メルセデス史上”いや、“車史上”最強と言っていいかもしれない1台がある。

「ウニモグ」である。

ウニモグ
世界中でカスタムされているウニモグ、こちらはオーストラリアのアースクルーザー社製だ。300馬力で、ガゾリン満タンの状態で最大3500kmまで走ることができる。

このウニモグこそ、最強のオフローダーの称号がふさわしいかもしれない。何しろ、高度6000m超の高地や人類未踏の地、はたまた線路の上まで走ることができるのだから。

車というより「多目的動力装置」

もともとは戦争が終わった1945年に農業用の多目的工作車として発想されたウニモグ。

どんな凸凹道でも柔軟に対応できる優れたサスペンション構造、一輪だけでも地面と接していれば進めるディファレンシャルロック機構、さまざまな作業機を車体の前や中央、後ろへ装着できる工夫などを備え、もとは1948年にドイツの工作機械メーカー、ボーリンガー社によって販売がスタートした。

その際に与えられた名前がUniversal Motor Gerät(多目的動力装置)。その頭文字をとって、UNIMOG(ウニモグ)と呼ばれたのだ。

ウニモグ
アースクルーザー社が架装したキャンピングカー仕様のウニモグ。240VのアウトドアBBQグリルや流し、タープなどを備えるほか、バイクを車体後部に搭載できる。

1950年に同社からウニモグを引き継いだのがダイムラー・ベンツ社(現ダイムラー社)だ。

そのグリルに「スリーポインテドスター」が掲げられると、森林や資源開発、軍用、鉄道も含めたインフラの整備、災害対策など、さまざまな分野でウニモグが活躍するようになる。

また用途の多様化に合わせて小型から大型までバリエーションも増えていった。

NEXT PAGE /

「車では行けない場所」へ行く車

ウニグモを唯一無二の存在にしている大きなポイントが、アタッチメントを変えることで、さまざまな場面に対応する可変性。

現行型では1000種類以上の作業用アタッチメントを、4カ所の装着ポイントに装着することができる。つまり変幻自在なのだ。

また、ウニモグが作業をする場所は険しい山林や高地、火山など、普通の車では到底走れないところばかり。それだけオフロードの走破性に長けているということだ。

さらに作業時に求められる超低速から、作業現場へ急ぐための高速まで、速度域が幅広い点もウニモグがあらゆる現場から求められている理由。

ウニモグ
チリ最高峰の活火山に向かう2列シートにテント付きカーゴを積んだウニモグ。超高度の急斜面でも乗員は余裕のピース。

そんな天下無双の車が注目されないわけはない。

例えば幾度も探検隊の足に使われていて、2020年にはチリの遠征チームがチリ最高峰のオホス・デル・サラド活火山にウニモグで向かい、自動車走行の最高度記録である高度6694mに到達したとされる。

NEXT PAGE /

世界のキャンピングカー・ビルダーの憧れ

そんな最強のオフローダーはもちろん、世界のキャンピングカー・ビルダーからも羨望の眼差しを集めている。

何しろ、誰も行ったことのない未踏の地の景色を楽しむキャンピングカーを作るために、こんな最高のベースカーはないのだから。

ウニモグ
ウニモグをベースとしたジーグラー アドベンチャー社のキャンピングカー。左右タイヤが写真のようになってもガシガシ進んで行ける。

例えばジーグラー アドベンチャー社は、各地を点々と旅するにはピッタリな長距離ツアラーとしてウニモグのキャンピングカーを開発。

シャワーやトイレ、キッチン、ベッドなどを備えているのはもちろん、大容量の真水タンクと汚水タンクを備えた。

また探検専用車も手掛けるBimobil社は、U字型のシートユニットと、その上に電動昇降型ベッドを備えた“探検用”ウニモグを販売している。

ウニモグ
こちらはBimobil社のエクスペディションカー(探検車)仕様のウニモグ。同社は長年ウニモグをベースにした車を開発しているメーカーのひとつだ。

オーストラリアのアースクルーザー社は「冒険好きの家族やプロの探検チーム向けに」と、ツーリングマシンを作った。

冒頭で紹介したアースクルーザー社製ウニモグのキャビン。2つの冷凍冷蔵庫、洗濯機、エアコン、電子レンジなどが備わる。

ベッドやキッチンといった食住機能はもちろん、ライブ映像を全世界に発信する機能や、タイヤやホイールを交換するための油圧リフトアップシステムまで備えることができる。

さらに氷点下40℃までの極寒の北極圏や、砂漠や熱帯の猛暑に対応するための耐候性オプションまで用意されている。

ウニモグ
アタッチメント次第でレールの上も走ってしまうウニモグ。除草や除雪、清掃、薬剤散布、高所作業と多彩な作業をこなす。

ここまで凄いと、もはやこの地上にウニモグがたどり着けない場所などないと思えてくる。

愛車とともに、世界を股にかけ大冒険。なんて夢みたいな話を、夢じゃなくしてくれる1台なのである。

 

籠島康弘=文

# ウニモグ# オフローダー# キャンピングカー# メルセデス・ベンツ
更に読み込む