2021.06.04
CAR

日本では「キッチン・トイレ」最小限で問題無し。キャンピングカー「国産vs外車」選ぶ6つの視点

当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事はこちら

キャンピングカーの場合、国産車と輸入車にはどんな違いがあるのか?(写真提供:バンテック)

バブルのころにはヨーロッパ車が大はやり。輸入車=お金持ちという図式が、かつては確かにあった。が、もはや輸入車は特別な存在ではないし、車を買うとき国産車と輸入車を比較検討するのも、当たり前になってきていると思う。

その事情はキャンピングカーも同様で、やはり国産車と輸入車があり、どちらにするかは実に悩ましい問題なのだ。それぞれのメリット・デメリットについてお話ししてみたい。

選ぶときの6つの視点

キャンピングカー選びで重要となるポイントは、大きく分けて6つある。

① 大きさ(取り回しのしやすさ)
② デザイン・居住性
③ キッチン・トイレなどの装備
④ 走行性
⑤ 修理・緊急時対応
⑥ 価格

順番に見ていこう。

① 大きさ

当然の話だが、国産車は日本での使われ方をよくよく研究して作られているため、取り回しのしやすいサイズ感で使い勝手のよさがある。

一方、国産車よりは一回り大きいのが輸入車。特に全長は長い傾向にあるので、取り回しや保管場所は考慮が必要だ。

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② デザイン・居住性

日本のキャンピングカーのベース車両は、ほとんどが商用車だ。つまり「荷物を積む」車に架装を施しているので、正直なところ、乗り心地は二の次。経済性重視の車なので運転席回りのデザインなども素っ気なく、所有満足度に欠けるという声もある。

一方、アメリカ製やヨーロッパ製は、キャンピングカー文化が成熟している分、乗り心地へのこだわりも大きい。商用車品質そのままの日本車と違って、居住性も最適化が図られている。

一例を紹介しよう。ここ数年、ヨーロッパで7割ものシェアを誇るベース車両がある。イタリア・フィアットのデュカトである。このデュカトに、ドイツ、スロベニア、イタリアなど各国のビルダーが架装を施しているのだが、これが日本でも人気急上昇中なのである。

日本でキャンピングカーと言えば、大人の男性が欲しがるもの、というイメージが強い。だが、ヨーロッパの展示会に行くと、大分事情が違うのがわかる。セールスマンの説明に熱心に耳を傾け、メジャーテープやメモを片手にキッチンのサイズを測ったり、担当者を質問攻めにしたりしているのは、たいていが奥方なのだ。

「キャンプ先での快適性や便利さには妥協しない!」というのがその真意らしい。ヨーロッパのビルダーの中にはインテリアデザイナーに女性を起用するところも増えている。ビルダーが群雄割拠のヨーロッパ。デザイン性や使い勝手で差別化を図っているだけに生活面でのクオリティは高い。

③ キッチン・トイレなどの装備

国産車の内装の例(写真提供:バンテック)

前提として、日本のユーザーはキッチンやトイレといった水回りをあまり使わない。

なぜなら、24時間営業のコンビニや道の駅・SA・PAが各地にあるので、車内で本格的な料理を作る人も少ないし、車のトイレは「あったとしても非常用」という人が多い。

そこで国産車ではキッチンを必要最小限に抑えてトイレを省略。それだけ居住空間を広くとることができるというわけだ。ベースとなる車両自体が小さいので、居室のゆったり加減は貴重なのである。

一方で輸入車は、キッチンやトイレなど「フル装備」が基本だ。

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④ 走行性

国産車一番の問題点と言えるのが、走行性である。そもそも、キャンピングカーのベースとして最適化されていないトラックやバンを改造して使うため、走行性能に難がある。この傾向はキャブコンに顕著といえる。

*キャブコン:エンジンが運転席の下にあってボンネットがない小型トラックに、専用の居室を架装したキャンピングカーのこと。キャブオーバーコンバージョンを略してキャブコンと言う。見た目も中身も、いわば「ザ・キャンピングカー」

一方、日本よりも常用速度が高く、長距離を走ることを前提に設計されているのが輸入車である。走行性能の高さは折り紙つきで、これを輸入車の一番の魅力だと話すオーナーも多い。新東名高速の120km/h区間も苦にならない性能はさすがといえるだろう。

「万が一」のとき安心なのは国産車

⑤ 修理・緊急時対応

現状、国産キャンピングカーのベース車両は、ごく一部を除いて国産車である。世界に誇る日本車は故障が少なく、万一の場合にも修理拠点が全国に散らばっている。知らない土地を旅する車としては非常にありがたい体制である。

一方、輸入車の場合そうはいかない。

たとえば前述のデュカトはフィアット社の車だが、フィアット・ジャパンでは正式に取り扱っていない。あくまでも並行輸入車扱いなので、正規ディーラーではメンテナンスが受けられないのだ。

輸入車の例(写真提供:Dethleffs)

ベンツでも事情は同様で、メルセデスベンツ・ジャパンはキャンピングカーベースとなる「スプリンター」などは扱っていない。やはり日本の正規ディーラーではメンテナンスが受けられない。

ではどうするのか。ご安心あれ、購入したキャンピングカー販売店や提携店で面倒を見てもらうことができる。旅先でトラブルに遭っても、提携店があれば安心だ。が、トヨタや日産ほど修理拠点があるわけではないので、自動車保険のロードサービスをしっかり吟味しておくなど、ある程度の心構えはしておくべきだろう。

⑥ 価格

気になる価格についてはどうだろう。大きさ・スペックなど多種多様なので単純比較することはできないが、そのあたりの事情をまとめてみよう

■車中泊仕様車=国産車の独壇場

輸入車はフルスペック装備が基本なので、キッチンがないモデルはまずない。そのため、いわゆる「車中泊仕様車」に関しては国産の独壇場である。また、軽自動車は日本独自のものだから、これも輸入車にはない。このジャンルについては国産vs輸入車は成立しない。

■バンコン・キャブコン・バスコン

国産か輸入車かを比較するのは、バンコン、キャブコンやバスコンといったクラスが対象になるだろう。

まず、日本でいうバンコン(ワンボックスカーの内部を架装したモデル)タイプは、輸入車にもあるにはある。が、大きさ(車内の広さ)もスペックも日本のバンコンとは比較にならない。むしろ輸入車のバンコンは日本車のキャブコンと比較するのが妥当だろう。

いわゆるバンコン・キャブコン・バスコンクラスの輸入車が「高価なもの」だったのは一昔前までのこと。インポーターの企業努力もあって、国産車と肩を並べる価格帯のモデルも増えてきた。

単純比較は難しいが、下記にざっくりとした印象を記してみた(新車価格)。

国産バンコン(ワンボックスバンベース)200万円~900万円
国産キャブコン(トラックベース) 500万円~1200万円
国産バスコン(マイクロバスベース) 900万円~1800万円

輸入バンコン(デュカトベースなど) 700万円~900万円
輸入キャブコン(デュカトベースなど)800万円~1500万円
輸入フルコン(≒バスコン) 1000万円~2000万円

トレーラーについては、国産トレーラーはまだまだ数が少ないし、むしろ輸入車のほうが安価だったりもする。

いかがだろうか。少なくとも価格を理由に輸入車を検討リストから外す必要はないことがおわかりいただけるだろう。

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アメリカ製キャンピングカーに吹く逆風

ハリウッド映画の影響もあり「キャンピングカーといえばアメリカ」というイメージをお持ちの方も多いだろう。

私自身、長年アメリカ製キャンピングカーを愛用して、その合理的な考え方や(良くも悪くも)アバウトなところに魅力を感じている。が、残念なことに、現在アメリカ製キャンピングカーの新車は、ほとんど輸入されていない。

輸入車の内装の例(写真提供:Dethleffs)

2000年代に入り、アメリカ本国ではトレンドが豪華さを競う方向に転じた。その結果大型化が進み、ほとんどの製品が日本で登録できないサイズ(全長12m、全幅2.5mのいずれかオーバー)になってしまったのだ。

日本向けに小さいサイズを作ってほしい、とオーダーしても、全米のマーケット規模からすれば、対日貿易量などたかが知れていて相手にしてもらえない。おまけにこのコロナ禍である。アメリカでもキャンピングカー人気が急上昇して、ビルダーは内需に応えるのに精いっぱい。

収益性の高い大型モデルに集中するのも当然の成り行きだ。どのメーカーでもブランドでも、日本で登録可能なサイズのモデルが生産中止になるなど、アメリカ製についてはますます厳しい状況が続いている。

つまり、日本で購入可能な、新車・輸入車のキャンピングカーとなると、ヨーロッパ車に限られると言ってよい。

国産でも輸入車でも選択肢は多様

初めてキャンピングカーを買う人にとって、いきなり国産か/輸入車かと問われてもピンと来ないかもしれない。置き場所の条件や遊び方によっては、悩むまでもなく選択肢が狭められる人もいるかもしれない。

だが、日本のキャンピングカー市場は今やこれほど多彩で、幅広い選択肢から選べるようになった、ということを知っていただければと思う。キャンプ先で友人の車を見せてもらったり、レンタカーであれこれ借り比べてみたり。比較検討する方法はいくつかあるのだ。

 

渡部 竜生:キャンピングカージャーナリスト
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記事提供:東洋経済ONLINE

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