車のトリセツ Vol.19
2020.10.23
CAR

アルファ ロメオ未経験はモッタイナイ! 走りの楽しさを重視した110年史

「車のトリセツ」とは……

レースから始まったアルファ ロメオ

今から110年前、1910年にロンバルディア自動車製造株式会社(Anonima Lombarda Fabbrica Automobili)がミラノで設立された。その頭文字を取って「A.L.F.A」(アルファ)と呼ばれた会社が、現在のアルファ ロメオの始まりだ。

最初に手掛けた車「24HP」はコルサバージョン(レース仕様車)が数々のレースで好成績を収め、スポーツカーメーカーとして着実に歩みを重ねていく。

数々のレースで活躍した名車「RLタルガ・フレーリオ」。当時としては先進的なOHVエンジンを採用し、直列6気筒2916cc・56psで110km/hのポテンシャルを有した

その後経営権を握ったニコラ・ロメオは実業家だったが、エンジニアの経験がある自動車に精通した人物でもあり、レースでの勝利がブランドの強化につながることも理解していた。

その結果生まれたのが「RL」。「RL」のコルサバージョンはあらゆるレースで活躍し、アルファ ロメオの名声をさらに高めることになる。

実はF1グランプリ初代王者

その後、世界恐慌や第二次世界大戦に翻弄されながら戦後最初に送り出したのが、戦前の高級スポーツカー「6C」に改良を加えた「6C 2500」だ。

同車は“走るアート”“世界で最も優美な車”などと賞賛された。

「6C 2500 SS」。1949年のコンクール・デレガンス・ヴィラ・デステで、“グランプリ・リファレンダム(一般投票によるグランプリ)”を受賞した。この受賞により、“ヴィラ・デステ”の愛称で呼ばれるようになっていく。

1950年には、初開催されたF1グランプリに参戦。「158 アルフェッタ」は、出場した11のレースすべてで勝利をあげ、その翌年もシリーズ優勝を果たすなど、レース界での名声を確固たるものとしていく。

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レースで勝てるファミリーセダン

レース界を席巻してきたアルファ ロメオだったが、1950年に乗用車分野への進出を決める。

初の量産車は、1950年のパリモーターショーでデビューした1900シリーズ。1954年には「ジュリエッタ」がデビューした。

クーペの「スプリント」やオープンカーの「スパイダー」、セダンの「ベルリーナ」と多彩なバリエーションが生産された。

「ジュリエッタ」の“姉”にあたる「ジュリア」。写真は2ドア4シーターの「ジュリアスプリントGT」を軽量化したレース向けモデルのGTA。

また初代「ジュリア」も1962年にデビュー。こちらもセダンのほかに、クーペのスプリントやオープンカーの「スパイダー」などが作られ、「ジュリエッタ」の約3倍に相当する57万台を売り上げる大ヒットとなった。

1967年には今も多くのファンに人気のある、美しいスタイルの「ティーポ33/2ストラダーレ」が発表された。レースカーと同じミッドシップレイアウトを採用。生産台数はわずか18台と言われている。

ほかにも数々の名車を造り続けたアルファ ロメオだが、1960年代後半からストライキに悩まされるなどで経営難に追い込まれ、1986年にフィアットの傘下として復活の道を探ることになる。

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「156」から始まった更なる躍進

フィアット傘下に収まったアルファ ロメオが復活の狼煙を上げたのが、1998年に発表した「156」だ。

ワルター・デ・シルヴァによる洗練されたデザイン、FFプラットフォームのポテンシャルを引き上げた高品質、そして、レースを出自とする高い走行性能は「ジュリエッタ」や「ジュリア」が登場したときのような高揚感を我々に与えた。

結局「156」はアルファ ロメオ史上、最大のヒット作となった。

混迷期にあったブランドに大きな名声をもたらした「156」。出荷台数は68万台を超え、アルファ ロメオ最大のヒットになった。

2007年には久しぶりのスーパースポーツとなる「8Cコンペティツィオーネ」が、全世界500台限定で発売された。

その価格、約2200万円。まさに往年のアルファ ロメオを彷彿とさせる一台となった。

2000年以降のアルファ ロメオを象徴する本格スポーツカーである「8Cコンペティツィオーネ」。1930年代から40年代にかけて数々のレースを制し、名声を獲得したマシン「8Cシリーズ」にインスパイアされた一台だ。

2010年の創業100周年の節目には「ジュリエッタ」の名称が復活。2015年にはミッドシップスポーツの「4Cクーペ」が登場する。

翌年には本格派スポーツセダン「ジュリア」、2017年にはアルファ ロメオ初のSUV「ステルヴィオ」が発売されている。

レースにより鍛えられ、高品質なハイパフォーマンスカーで世に認められたアルファ ロメオ。決して、ラインナップは多くないが、注目し続けるべきブランドのひとつであることは間違いない。

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[主な現行車種]

・ジュリエッタ

1955年にデビューし、アルファ ロメオの屋台骨を支えた人気モデルの名前が、2009年に5ドアハッチバックとして復活。

エンジンは1.8Lターボ。これに6速ATが組み合わされている。ドライビングスタイルや走行状況に応じて、3つの走行モードから選択可能な「ALFA D.N.A.」を搭載。

 

・ジュリア

4ドアセダンながら走りの愉しみを味わえるスポーツサルーン。前50:後50 の理想的な重量配分と、FRらしい上質な操縦感覚など、アルファ ロメオらしい人車一体のフィーリングを味わえる。

エンジンは2Lツインスクロールターボと2.2Lのディーゼルターボ。これに8速オートマチックトランスミッションが組み合わされる。

4WDの「Q4ヴェローチェ」や、2.9Lツインターボのハイパフォーマンスモデル「クアドリフォリオ」も用意されている。

 

・ステルヴィオ

アルファ ロメオ初のSUV。SUVながら前後重量配分50:50を実現し、高い走行性能を担保した。

4WDシステムには、駆動力配分をリアルタイムでコントロールする「Q4テクノロジー」を採用している。エンジンは2Lツインスクロールターボと2.2Lディーゼルターボ。これに、8速オートマチックトランスミッションが組み合わされる。

2.9Lツインターボのハイパフォーマンスモデル「クアドリフォリオ」も用意されている。

「車のトリセツ」とは……
走行に関するトリセツはダッシュボードの中にあるけれど、各メーカーの車の魅力を紐解くトリセツはなかなか見つからない。だから始める、オートマティックで好きになったあの車を深掘り、好きな理由を探るマニュアル的連載。上に戻る

林田孝司=文

# アルファ ロメオ#
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