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2020.07.09

オフロード性よりもコンフォート性。国産SUVが世界に誇る“オモテナシ”の心

「SUV大国ニッポン」とは……
近年、多くの人が街を走るためのSUVを選ぶようになると、オフロード性よりも求められるようになったのがコンフォート性だ。

従来のプレミアムセダンやハッチバックの代わりとして、または大勢の乗員が安全で快適に移動できるように、さまざまな機能が盛り込まれている。なかでも日本のSUVはカユい所に手が届く機能が搭載されているものが多い。
そんな日本人らしい“オモテナシ”の心を載せたSUVを紹介しよう。
 

■レクサス「RX」
歩行者はしっかり照らし、対向車には気遣いを

レクサスのSUVの中核を担う「RX」は、2019年8月のマイナーチェンジで「ブレードスキャンアダプティブハイビームシステム」を世界初搭載した。

アダプティブハイビームシステム(AHS)自体は従来からある機能で、ヘッドライトを複数のLED光源で構成することで、ハイビームで走行中、前方に先行車や対向車を検知するとその部分の光源だけハイビーム照射を行わないようにする。
面をたくさんの点で埋めていく絵を思い浮かべると解りやすい。埋めていく中で、対向車等の部分だけ自動的に照射しなければ、いちいちロービームに切り替えなくても周囲の車に眩しさを感じさせなくて済むのだ。
しかし、そうはいってもヘッドライトをそう大きくできないので、備えられる光源の数に限りがある。そうなるとひとつの光源(点)の照射範囲はある程度広くなるので、例えば前方車のすぐ隣を併走する自転車や障害物も一緒に遮光してしまって、ドライバーが気付きにくいという問題があった。
これを解決したのが「ブレードスキャンアダプティブハイビームシステム」だ。

LEDの光で直接前方を照らすのではなく、内部に設けたミラーに反射させる方法を採る。1回の照射範囲は、直接照射するよりグッと狭くなる(点が小さくなる)が、この内部のミラーの角度を高速で変えることで、点の数を約20倍も増やせる(LEDの数でいうと、約20個で照らしていた範囲を、約400個で照らすのに相当するほど細かく範囲を分けられる)。だから対向車や先行車が眩しくない、ギリギリの範囲でハイビームを照射できるという仕組み。
対向車などに眩しさを感じさせることなく、従来以上に歩行者や障害物、標識などを認識できる。照射範囲まできめ細かな配慮をした、相手への気遣いを大切にする日本らしい機能だ。
 

■トヨタ「ハリアー」
スマート&安心な録画機能付きデジタルミラー

2020年6月、4代目へとフルモデルチェンジしたトヨタ「ハリアー」は、車両後方のカメラ映像をルームミラーに映し出す「デジタルインナーミラー」を採用した。

後席に人がたくさん乗っていたり、雨の日などはルームミラーで後方が確認しづらいが、車体後方に備えたカメラの映像をインナーミラーに映像として映すため、車内の障害物が映らないので安全に走行することができる。
この機能自体は新しいものではなく、同じトヨタの「アルファード」「ヴェルファイア」や「クラウン」など、日産でも「エクストレイル」や「セレナ」などに搭載されている。

「ハリアー」が新しいのは、インナーミラー自体にも前方カメラを備え、後ろのカメラと合わせた前後映像をSDカードに録画できる機能を搭載したこと。つまり、前後にドライブレコーダー機能を備えたことだ。
外付けのドライブレコーダーはフロントガラスで存在感を放つため、設置に難色を示す人もいた。これならインテリアをすっきりスマートに保ちつつ、もしものときの安心感も担保できる。


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