乗りたかったのは、キブンが乗るクルマ Vol.96
2020.05.12
CAR

NSX、240Z、コルベット…… 20世紀生まれの名作2シーター今昔物語

「2シーターという贅沢」とは……

2シーターの歴史と今を支える名作

後席がない2ドアという、市販車の中では数の少ないデザインだけに、2シーターの車にはそもそもアイコニックなモデルが多い。

その中でも、現在も販売され、そして2シーターの歴史を作ってきたと言っても過言ではない5台の今と昔を、年代ごとにご紹介。

#1950’s
シボレー コルベット

いいじゃないか、カタチから入ったって

アメリカが誇るデートカーには最高の2シーター。ご存知、米スポーツカーの魂的存在。2020年はじめに待望となる最新8代目の発表が行われ、話題をさらったコルベットである。

初代モデルは1954年、シボレー初のオープン2シータースポーツカーとして登場。戦後の黄金期らしいいかにもな流線型スタイルと量産車初のFRPボディを採用し話題となった。

しかし、中身は当時のほかのスポーツカーと比べても非力なエンジンと2速ATを搭載し、見た目だけスポーツカー風で中身は乗用車というセッティングに“直線番長”とも呼ばれ、その伝統は基本的には4代目まで引き継がれていった。

そして大幅な性能向上&一流スポーツカーへと大化けするのは5代目からだ。

現行の8代目「コルベット」。

こちらは約60年続いた伝統のFRから決別した8代目新型。502psの6.2L自然吸気V8OHVエンジンを搭載し、スーパーカーと同じミッドシップを採用するに至る。0→100km/h加速3秒以下という驚きの俊足ぶりだ。

 

#1960’s
ダットサン 240Z

世界中の道を走った日産のダットサン!

もはや説明も不要かもしれない。世界を代表する2シーターFRスポーツクーペの名車、1969年に登場した日産の北米向け輸出車「ダットサン 240Z」だ。ダットサンは当時の日産の海外展開用ブランド名で、日本では「フェアレディ 240Z」として販売された。

当時のスポーツカーとしては世界一となる、販売開始から10年で55万台という販売数を記録し、今もなお人気は絶大、中古市場でも高値で取り引きされている。

エンジンは高性能2.4L直6エンジンを搭載し、シュガースクープと呼ばれた丸目2灯ヘッドライトや後方ギリギリに寄せられたキャビンの美しいハッチバックが特徴的。

最高出力160ps、国産車で初めて200km/h超え、クールで速くて快適とあって、北米を中心に大ヒット。“ダットサン”の名を世に知らしめ、一大“Z”旋風を巻き起こしたのだった。

昨年、初代の登場から50年を迎えた「フェアレディZ」。

現在6世代目となるZ34型は3.7L V6自然吸気エンジンを搭載し、最高出力336psを発生。座席はホールド性を高めている。2008年の登場からすでに12年が経ち、いよいよ新型投入の登場が噂されている。

NEXT PAGE /

#1970’s
フィアット 124スパイダー アバルトラリー

サソリの針にイタリア中がシビれた

1969年に、大衆車であったフィアットの「124」のオープン版として登場したのが「124スパイダー」である。そして1972年、そこにカルロ・アバルトによる劇的チューンを施した高性能モデルが加わった。それがこの「124 スパイダー アバルトラリー」だ。

非力だった車がアバルトマジックにより、スポーツカーを追いかけ抜き去る異様。その姿から“強い”や“速い”の形容詞として「アバルト」が当時のイタリアで流行語になったという逸話もある。

そんなアバルトブランドが復活を遂げ、2016年に登場したのが現代の「アバルト124スパイダー」である。

「アバルト124スパイダー」。

欧米では「124スパイダー」が現在でも販売されているが、日本では専用チューンを施した「アバルト」版のみ展開されている。車両価格は406万円から。

 

#1980’s
BMW Z1

BMWの技術の粋は、未来すぎた?

1989年にBMWが満を持して投入したのが初の小型スポーツカー「Z1」。ぱっと見はフツウかと思いきや……そう、ドアがない! 正確には垂直に上下する独特な開閉機構のドアを装備しているのが最大の特徴だ。

そのメカメカしい作りや洗練された足回りなど、一流の技術屋集団であるBMWが当時最先端のデザインで拵えた車なのだ。

トップとともにドア部分も全開にすればドライバーの上半身はもう横から丸見え。これがこの車の正装で、開放感は抜群ってわけです。

Z1はBMWが未来を託した意欲的モデルにもかかわらず、奇しくも時期をほぼ同じくして現れたマツダのロードスターやメルセデス・ベンツのSLの影に隠れ、その歴史はわずか2年で終幕。当時実際に販売されたのは約5000台という短命だったが、実質的後継モデルにZの名を引き継いだZ3、さらに体躯を大きくしたZ4などが時代の隆盛に合わせて登場した。

Zシリーズの流れを受け継ぐ最新機3代目「Z4」。

現行型である「Z4」はソフトトップながらクローズド時の静粛性は高められており、座席間の距離は長め。シートにはヒーター&エアコンを装備した最新の機能が採用されている。車体をトヨタのスープラと共有していることも大きな話題となっている。

NEXT PAGE /

#1990’s
ホンダ NSX

世界が垣間見たホンダドリーム

F1黄金時代の1990年にホンダが発売した和製2ドアスーパーカーが「NSX」だ。

当時のスーパーカーといえば、運転するにも乗り手を選んだものだが、NSXではホンダらしく“誰でも扱いやすい”を実現、快適性をも追求した最初のスーパーカーだった。

新車価格は当時の国産スポーツカーの中では最高額であった800万円を掲げたが、エンジンボディの生産はすべて手作業で行っていたというから泣ける。

世界初のオールアルミニウムボディを採用し、車重はMT仕様でわずか1350kg。低く構えたワイドボディに、3L V6DOHC VTECエンジンをミッドシップに搭載する。

馬力規制で最高出力は280psだが、その運動性能は折り紙つき。稀代のF1ドライバー、アイルトン・セナがテストし、セッティングにアドバイスをしたのだから……これまた我々世代には泣けるのだ。

長年の沈黙を破り2016年に登場した2代目「NSX」。

3.5L V6ツインターボエンジンにモーター3基を組み合わせたハイブリッド四輪駆動システムを搭載した現在の「NSX」。運動性能と走行安定性の向上を両立している。車両価格は2420万円。

 

「2シーターという贅沢」とは……
道具や手段としての側面が重視される今、究極に贅沢な車って何かと考えると、答えは「2シーター」じゃないか? 2人しか乗れない。荷物も積めない。でも最高に楽しい。そんな2シーターがもたらす贅沢な楽しみ方を追う。上に戻る

カストロトシキ=文

# 2シーター# 歴史
更に読み込む