車のトリセツ Vol.10
2020.03.30
CAR

ボルボを世界的メーカーにした「240」と、世界一の「安全」へのこだわり

車のトリセツとは?

1926年、スウェーデンの大手ベアリングメーカーの子会社としてボルボは誕生した。

創業当初からこだわったのが、高品質と安全性。当初はその分赤字が増え、乗用車ではあまり成功しなかったが、トラック製造が好調(1949年まではトラックの生産高のほうが高かった)だったことで、車づくりを続けた。

スタイリッシュかつタフなグランツーリスモ「P1800」。カルフォルニアでデザイン賞を受賞するなど、美しいスタイルが国外でも人気を博した。

1950年代になるとようやくボルボの品質の高さが知れ渡るようになり、スウェーデン国内だけでなくアメリカでも成功を収めた「アマゾン」をきっかけに、さらにスポーツモデルの「P1800」や、そのステーションワゴンも「1800ES」も人気になっていった。

上記「P1800」のステーションワゴン「1800ES」。ボルボのワゴンというと240や740など無骨なスタイルを思い浮かべる人も多いだろうが、かつてはこんな2ドアのスタイリッシュワゴンも開発していた。
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世界中でボルボファンを量産した240シリーズ

ボルボの名を世界的に広めたのはやはり240シリーズではないだろうか。

自社で販売した車が見舞われた事故調査データを独自に収集していたボルボは、1972年にその成果を安全実験車「VESC(ボルボ・エクスペリメンタル・セーフティ・カー)」として発表。1974年には、このVESCの技術を反映した240/260シリーズが発表された。

240シリーズ。品質が高く、スクエアで使いやすいラゲージが備わる割に、ドイツ車より手頃な価格ということで日本でも大人気となった。

スウェーデンをはじめアメリカでも人気を博した240シリーズによって、1977年にはイギリスやアメリカの権威ある協会などがボルボ車の安全性を高く評価。以降「ボルボといえば安全」を広く知らしめることになった。

ボルボといえば安全。そんなイメージの一端を示すのが、1954年から一時期行われていた独特な保証制度だ。

その内容は購入後5年間、事故で車がボロボロになっても400クローネ(当時のレートで約3万円)払えば、すべてボルボが修理して戻すというもの。

ユーザーに大きなメリットのあるこの保証制度を同社が始めた理由は、事故や故障のデータを集めて次の開発に繋げることにあった。240シリーズでも活かされたことは先述の通りだ。

ずっと「安全性」にこだわり続ける

1959年、ボルボが世界で初めて3点式シートベルトを開発。写真は旧型XC90のシートベルトで、「SINCE1959」と刻まれていた。

安全装置の開発・導入においても、衝突事故シミュレーションを早々に導入するなど積極的にお金も人も投資した。

今では当たり前の3点式シートベルトは同社が1959年に開発。1972年には後ろ向きチャイルドシートを、1991年にはのちにサイドエアバッグと呼ばれるようになる新しいエアバッグシステムを、という具合に次々と安全のスタンダードを創り出している。

2008年にはXC60で、いわゆる自動ブレーキを国産車も含め日本で初めて導入している。

同社では、交通事故の原因の多くがヒューマンエラーであり、中でも「速度超過」「飲酒運転」「注意力の低下」が対処すべき重要課題と定めている。これらのヒューマンエラーの解決方法の先に自動運転化があり、当然同社も積極的に取り組んでいるが、その手前においても研究の手は緩めていない。

例えば2021年には初心者や高齢者に愛車を貸す際に持たせる「ケアキー」を全モデルに標準装備するという。これはあらかじめ設定した速度を超えないよう、ケアキーが車に指示を出すというものだ。またドライバーが飲酒しているかどうかを車内カメラで判断するシステムも近々実用化するとしている。

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[現在の主な車種]

・XC40

日本へは2018年に導入されたコンパクトSUV。いわゆる自動ブレーキはもちろん、車線変更の際に後方から車両が近づいている場合、ステアリングを自動で戻すなど、エントリーモデルであっても上級車同様の最新の安全機能が備わる。

最高出力&最大トルクの異なる2種類の2Lガソリンターボがあり、2WDと4WDがある。トランスミッションは8速AT。2019年末に電気自動車バージョンも発表された(発売時期は未定)。

 

・XC60

現行型は2017年に登場。最上級グレードのプラグインハイブリッドにはスウェーデンの高級ガラスメーカー「オレフェス」製のクリスタルを使用したシフトレバーが備わるなど、プレミアム感を演出した内外装が魅力のひとつ。

エンジンは2Lガソリンターボと2Lディーゼルターボ、2Lガソリンターボ+スーパーチャージャー、2Lガソリンターボ+スーパーチャージャー+モーターのプラグインハイブリッドの4種類。4WDのみ。

 

・V60

2018年に日本へ導入されたステーションワゴン。旧型よりひと回り大きくなり、かつてのV70(つまり240)を継ぐモデルとなった。

エンジンは2Lガソリンターボと、2Lガソリンターボ+スーパーチャージャー+モーターのプラグインハイブリッド。いずれも8速ATでガソリンは2WDで、プラグインハイブリッドは4WD。最低地上高を210mmまで上げて悪路走破性を高めたV60クロスカントリーもある。

 

・XC90

2016年に登場したボルボの最上級SUV。全長は4950mmと5mに迫り、乗車定員は2+3+2の7人となる。もちろん最上級モデルらしい高級感のあるインテリアや機能を備える。

エンジンは2Lガソリンターボと2Lディーゼルターボ、2Lガソリンターボ+スーパーチャージャー、2Lガソリンターボ+スーパーチャージャー+モーターのプラグインハイブリッドの4種類。いずれも8速AT&4WDが組み合わされる。4WDのみ。

車のトリセツとは?
走行に関するトリセツはダッシュボードの中にあるけれど、各メーカーの車の魅力を紐解くトリセツはなかなか見つからない。だから始める、オートマティックで好きになったあの車を深掘り、好きな理由を探るマニュアル的連載。
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籠島康弘=文

# スウェーデン# トリセツ# ボルボ
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