世界中でボルボファンを量産した240シリーズ
ボルボの名を世界的に広めたのはやはり240シリーズではないだろうか。
自社で販売した車が見舞われた事故調査データを独自に収集していたボルボは、1972年にその成果を安全実験車「VESC(ボルボ・エクスペリメンタル・セーフティ・カー)」として発表。
1974年には、このVESCの技術を反映した240/260シリーズが発表された。スウェーデンをはじめアメリカでも人気を博した240シリーズによって、1977年にはイギリスやアメリカの権威ある協会などがボルボ車の安全性を高く評価。以降「ボルボといえば安全」を広く知らしめることになった。
ボルボといえば安全。そんなイメージの一端を示すのが、1954年から一時期行われていた独特な保証制度だ。
その内容は購入後5年間、事故で車がボロボロになっても400クローネ(当時のレートで約3万円)払えば、すべてボルボが修理して戻すというもの。
ユーザーに大きなメリットのあるこの保証制度を同社が始めた理由は、事故や故障のデータを集めて次の開発に繋げることにあった。240シリーズでも活かされたことは先述の通りだ。
ずっと「安全性」にこだわり続ける
安全装置の開発・導入においても、衝突事故シミュレーションを早々に導入するなど積極的にお金も人も投資した。
今では当たり前の3点式シートベルトは同社が1959年に開発。1972年には後ろ向きチャイルドシートを、1991年にはのちにサイドエアバッグと呼ばれるようになる新しいエアバッグシステムを、という具合に次々と安全のスタンダードを創り出している。
同社では、交通事故の原因の多くがヒューマンエラーであり、中でも「速度超過」「飲酒運転」「注意力の低下」が対処すべき重要課題と定めている。これらのヒューマンエラーの解決方法の先に自動運転化があり、当然同社も積極的に取り組んでいるが、その手前においても研究の手は緩めていない。
例えば2021年には初心者や高齢者に愛車を貸す際に持たせる「ケアキー」を全モデルに標準装備するという。これはあらかじめ設定した速度を超えないよう、ケアキーが車に指示を出すというものだ。またドライバーが飲酒しているかどうかを車内カメラで判断するシステムも近々実用化するとしている。
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