センスがいい男たちと考察! 「大人カジュアル」ガイドブック Vol.49
2020.03.23
CAR

なぜ男はこの数字にワクワクするのか?ポルシェ最良の911、最高峰の911

「911」それは、魔法の数字。車好きを虜にし、いつかは、と憧れを抱かせる。

なぜ、そこまで911に魅了されるのか? 今では稀少な存在となったリアエンジン・リア駆動方式を採用しているから、ファストバックの流麗なお尻にくびれたボディラインが美しく、カエル目ヘッドライトがキュートだから、運転していてたまらなく楽しいから……。

理由は山ほどあるが、つまりは比類なきスポーツカーであり、何年経っても色褪せることのない、タイムレスな車だから、だろう。

最新のポルシェは最良のポルシェ

そんな911が8代目へモデルチェンジしてから、約1年。いまだ話題は盛り下がることを知らず、これから発売されるであろう、さまざまなグレードにも期待が集まる。そこで、今一度、911の魅力に迫ってみたい。

「最新のポルシェは最良のポルシェ」といつからか、言い伝えられる名句。それを新型992で検証し、さらには911の最高峰と言われるターボ Sも駆り出した。

最良の911と最高峰の911。思う存分その世界を味わってほしい。

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PORSCHE 911 CARRERA 4S ポルシェ 911 カレラ 4S

PORSCHE 911 CARRERA 4S ポルシェ 911 カレラ 4S

ボディサイズ:全長4519×全幅1852×全高1298mm
総排気量:2981cc
燃費:9L/100km 乗車定員:4名
価格:1804万8148円〜

後輪操舵と軽量ボディ、よりパワフルな心臓部を手に入れた8代目新型。一見先代と変わらぬ992型だが、直線的なノーズ、左右をLEDでつないだテールライトは、実は往年の空冷世代がモチーフで、愛好家がニヤリとする意匠なのだ。

コックピットはデジタル化され、運転支援機能も加わり快適性が向上。フラット6+ターボは先代比30PS増しの450PS、8速PDKを組み合わせる。

[1]空冷モデルを彷彿させる水平基調となったコックピット。中央にはApple CarPlay対応の最新インフォテインメントシステムを採用。メーターナセルには伝統の5連メーターを踏襲するも中央速度計以外は液晶化され、ギアシフトもドライブ・バイ・ワイア方式の電気式に。

[2]従来は4WDモデルの意匠であった一直線に伸びるリアテールライトの全車統一が図られた。ちなみにエンジンフードグリルの縦型ルーバーは左右に「9」本、中央のハイマウントストップランプが「11」で「911」を表す洒落っ気も、ニクい。

[3]最新ポルシェのアイコンである4灯式丸形ヘッドライトにも930のデザイン要素が取り込まれている。

最新の992は最良の911か!?

2018年末にモデルチェンジを果たし、992型へとなった911。その大きな変更点は時代の声に応える先進運転支援システムを筆頭としたデジタル化にある。新たな通信規格、5Gの本格導入は秒読みで、コネクテッドする車が主流となりつつある。では、現在のデジタル機能は何に活かされるのか? 安全性の向上と運転支援システムが主たる目的だろう。今や、ポルシェといえども社会としっかり折り合いをつけなければ認められない時代なのだ。

しかし、乗ればそこは911。低く大きな入り口に潜り込み、腰を下ろし、ステアリングを握るとアドレナリンが放出する。目の前には伝統の5連メーターが配されている。センターのタコメーターはアナログだが、左右それぞれ2つはデジタルに。センターコンソールのスイッチ類の数は991型と比べ、とても少ない。電子式となったシフトレバーはもはやスイッチといえるほど小さい。

最新の992は最良の911か!?

911は、ステアリング右下にあるキーシリンダーを回してエンジンをかける、というのが伝統であるが、新型では物理的な鍵はなくなってしまった。けれども、992型でもエンジンの始動はボタンではなく、これまでと同様の右下にある“ノブ”を右に捻って行う。ここで992型の大きな特徴を挙げると、911史上最も優れた空力特性を手に入れた、ということである。それは燃費の高効率化につながり、しっかりと今の時代に対応させたことの証しでもある。伝統としてのこだわりを残しつつも、時代性を加味して進化をしているのだ。

少し専門的な話になるが、もうひとつ、ポルシェが強いこだわりを見せるのが、ホイールベースとトレッドの比率だ。この比率の数字が小さくなるほど回頭性が増すといわれる。つまりは操作性が高まる。スポーツカーブランドとしての矜持だろう。 そして、この新型から新機能として全車標準装備となったのが、ウエットモードだ。センサーが濡れた路面を検知すると、ドライバーにそれを通知し、手動でウエットモードへ切り替えるように促す。切り替えると、ポルシェ・スタビリティ・マネジメント・システムや同トラクション・ マネジメント・システムが通常よりも早く介入し、ドライブトレインのレスポンスを抑え安全性を重視した設定になる。四輪駆動であることも安心を助長する。

911は、デジタル化が進もうとも、やっぱり911である。ひと目でそれとわかるフォルムや、リアエンジン・リア駆動の伝統は守られ、独特のドライビングフィールに高揚する。時代とともに進化しつつも本質は変わらない。誰が言ったか知らないが、ポルシェの殺し文句「最新は最良」は確かに頷ける。

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タイムレス・ビークル「911」進化の歴史
THE 7 GENERATIONS of 911
歴代変わらぬボディフォルムにRR方式を採用し続ける911。唯一無二と言われる、その存在はまさにタイムレスであり、歴代のどのモデルをとってもいまだ人気である。そこで911の歴代モデルを振り返ってみる。

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1964年 901型
1964年 901型
通称ナローポルシェ。911シリーズの原点で、ポルシェ初のモノコックボディ&初の空冷フラット6エンジンを採用したスポーツカー。エンジンを車体後部に配置し、後輪駆動とすることで、ミッドシップ方式に近い運動性能と、狭いながらも4人乗りの実用空間を両立する。
1974年 930型
1974年 930型
2.7Lに始まり、’78年には3Lの911 SC(Super Carrera)が登場。’84年に3.2Lへ拡大するとともに伝統の「カレラ」の名が復活する。北米法規のために装着された衝撃吸収バンパーが特徴的で、前モデルより大型化されたことで“ビッグバンパー”と呼ばれた。
1989年 964型
1989年 964型
意匠は従来型を踏襲しているものの、中身は大幅に刷新。水平対向6気筒エンジンは3.6Lにまで拡大。サスペンションの変更に加え、パワステやABSをはじめ、4速ATのティプトロニックを搭載した。911初となる画期的な4WDシステムを搭載したカレラ 4もトピックだ。
1994年 993型
1994年 993型
排気量は3.6L。911で初めて量産ターボ車の4WD化を実現。’96年以降は後期型となり、可変吸気機構であるバリオラムを装備し、’98年まで生産された。最後の空冷モデルとして根強い人気を誇り、中古車市場では需要が高く、価格も年々上がり続けている。
1998年 996型
1998年 996型
賛否両論のある通称「涙目ポルシェ」。30年以上に及ぶ改良を繰り返してきたが、車体、エンジンともに完全新設計となり、初の全面改良となった。エンジンは空冷から水冷へ、インテリアやコックピット回りも近代化した。中古車市場では最も身近な存在。狙い目だ。
2004年 997型
2004年 997型
996で不評だった涙目形ヘッドライトを伝統に忠実な丸形に変更。’08年モデルの後期型から直噴化&PDK(ポルシェ・ドッペルクップルング)を採用し、スムーズな変速でよりスポーティな走りを実現した。8年間で約21万台が生産され、商業的成功も収めた。
2011年 991型
2011年 991型
997型よりホイールベースを拡大。大幅な軽量化と剛性アップに加え、旋回性を高めるアクティブスタビライザーを装備するなど、さまざまな部分で性能アップが図られた。後期型から初のターボエンジンを採用、その圧倒的なパフォーマンスで自然吸気派も納得させた。
1964年 901型
1974年 930型
1989年 964型
1994年 993型
1998年 996型
2004年 997型
2011年 991型

 

PORSCHE 911 TURBO S ポルシェ 911 ターボ S

PORSCHE 911 TURBO S ポルシェ 911 ターボ S

ボディサイズ:全長4510×全幅1880×全高1290mm
総排気量:3790cc
燃費:9.1L/100km 乗車定員:4名
価格:2630万円〜

991型の後期モデルから、ついに素のカレラでもターボが装着された911だが、それでもやはり「ターボ」と名の付くモデルは特別なことに変わりない。シリーズ最高峰であるターボ Sは、3.8L水平対向6気筒ターボを搭載し580PSを発生。4WDや可変エアロダイナミクスといったハイテクを装備し、その高出力を余すことなく速さへとつなげる。フロントノーズ下には格納式のリップスポイラーを装備。

[1]GTスポーツステアリングを採用したタイプ991後期型のコックピット。新型のタイプ992と比べて各種操作系統が独立していて直感的な操作がしやすい。

[2]オプションのエアロキット装着車。速度が上がるとリアスポイラーは自動的に上昇し、格納式フロントリップも同様にせり出て強力なダウンフォースを生む。

[3]3.8L フラット6+ツインターボは最高出力580PSを発生。0→100km/h加速は2.9秒、最高速度330km/hに達する。

911のフラッグシップ、誰もが憧れるターボ S

992型へと進化した911だが、よりハイグレードなターボやGT3はまだリリースされていない。911はグレード数が豊富で、ハイグレードなモデルはベースモデルから数年遅れて発売されることが多い。なので、現時点では、前型991のターボ Sがフラッグシップとなる。価格やスペックだけを見れば、ターボ/ターボ Sより上のモデルは存在するが、それらはサーキット走行を主な目的として造られた少し特殊な存在であり、ブランドとしてもターボ/ターボ Sを911のトップとして掲げている。

ターボ Sのエンジンをかけた瞬間、迫力あるサウンドが街の空気を変える。3.8Lの水平対向エンジンにはその名のとおりターボが加えられる。991型の後期モデルより、カレラシリーズにもターボが付くが、これは燃費効率を考えたもの。一方、ターボ Sのそれはパワーへのあくなき追求によるものだ。

911のフラッグシップ、誰もが憧れるターボ S

1973年のフランクフルトショーでベールを脱いだ911 ターボのプロトタイプは、翌’74年のパリサロンで930 ターボとして正式デビューした。そこから964、993型の空冷エンジンではもちろん、996、997型の水冷エンジンでも911の王者として君臨している。サーキットでのラップタイムを見れば、GTやRSといったスパルタンなモデルに軍配が上がるが、それらと同等の速さに加え、ターボには993から採用された4WDによる高速安定性、すなわち安心・快適さが備わる。手に汗握らず、天候や路面状況に左右されず、早く移動できるのはサーキット走行を得意とするようなGT系ではなくターボが有利なのだ。その移動も単なる移動ではなく、官能的なサウンドと思いのままのハンドリングが味わえる。腹に響くその音と振動はきっとクセになるだろう。

世はEVへの道に突き進んでいる。ポルシェもタイカンを発売し、今後のケイマン、ボクスターも電化される予定だ。だからこそエンジンの個性に存在価値が見いだされる。このフラット6ターボの躍動感は間違いのない魅力を持つ。「911は最後まで電化はしない」とポルシェは明言している。911を味わう時間はまだたっぷりとある。

いつでも911は男の心のどこかにある。ターボ Sの価格は2500万円オーバー。おいそれと買える代物ではないけれど、欲しいと思わなければ男が廃る。ターボ Sとはそういう車なのだ。

サーキット寄りからロード寄りまで
911グレードハイ&ロー
911ほど、単一モデルにこれほどバリエーションを揃える車はない。半世紀以上にわたってひとつのスポーツカーを造り続けてきたからこそ、さまざまなニーズに応えることができるのであろう。そこが911の面白さでもある!

2004-180-2
GT2 RS
GT2 RS
911で最もスリリングな1台。史上最強・最速の911であるGT2 RSだ。軽量化を狙い、4WDシステムをキャンセルしての700馬力/750N・mというモンスターパワーを発揮!
GT3 RS
GT3 RS
サーキット志向の911 GT3をベースに出力向上と大幅な軽量化、専用装備を施したのがレーシングスポーツを意味するレンシュポルトことRS。走りに徹した自然吸気の最高峰である。
GT3
GT3
「GT3」規格のレースに参戦すべく誕生。空力パーツとレース車両であるGT3カップカーからデチューンすることなく移植した自然吸気フラット6エンジンを備えた公道レーシングカーだ。
TURBO / TURBO S
TURBO / TURBO S
911の絶対王者。文字どおりターボ技術を採用したパワフルな高性能スーパーカーで、ブランドのフラッグシップとして街乗りからレースまでこなす。可動式のリアスポイラーが特徴的。
GTS
GTS
充実した装備を備え、街乗りでの快適性と、サーキットでも存分に楽しめる性能を持つ存在と定義されている。カレラ SとGT3の間を埋めるモデルとして位置付けられている。
CARRERA / CARRERA S
CARRERA / CARRERA S
スペイン語で「レース」という意味を持つカレラ。もともとは高性能グレードを意味したが、現在ではエントリーモデルに。ベースモデルとSの相違点はエンジン出力で、体感値はまったくの別物。
GT2 RS
GT3 RS
GT3
TURBO / TURBO S
GTS
CARRERA / CARRERA S

 

西崎博哉(MOUSTACHE)=写真 荻山 尚、安島利樹=文

# 911# ポルシェ#
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