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2020.02.22

イタリア・フィアットの歴史を振り返る。そのエンジンは“悪魔から調達”した!?

車のトリセツ●走行に関するトリセツはダッシュボードの中にあるけれど、各メーカーの車の魅力を紐解くトリセツはなかなか見つからない。だから始める、オートマティックで好きになったあの車を深掘り、好きな理由を探るマニュアル的連載。

トリノの小さな自動車メーカーからイタリアの巨人へ

フィアットというとパンダや500(チンクエチェント)など、イタリアの小型車メーカー、というイメージしかない人もいるだろう。
今でも世界中に多くのファンを持つ「NUOVA 500」。
しかし実は、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)というグループを主導する企業で、傘下にはクライスラーのほかにアルファロメオ、ランチア、マセラティ、ジープ、ダッチなどを持つ。さらにグループ内には電車や航空機、金融、新聞・出版、原子力や宇宙開発企業もあるという、一大コングロマリットでもあるのだ。
そのイタリアを代表する超巨大企業グループの第一歩は、ジョヴァンニ・アニェッリら9名が1899年に興した自動車メーカー、フィアットから始まっている。
フィアットの創業者であるジョヴァンニ・アニェッリ。
社名のFIAT(フィアット)はFabbrica Italiana Automobili Torinoの略で「トリノのイタリア自動車製造所」という意味だ。その後アニェッリの率いるフィアットは瞬く間にイタリアを代表するメーカーに成長し、今やアニェッリ家はイタリア随一の財閥家と言われ、大きな影響力を持つ。
ちなみに同家が実質所有しているサッカーの名門ユベントスFCの現在のユニホームの胸には「JEEP」のロゴが入っている。
1924年、速度挑戦用に航空機エンジン(2万1706cc直列6気筒)を載せて開発されたモデル。当時の世界最高速234.98 km/hを記録した。「悪魔からエンジンを調達した」という意味でメフィストフェレスのあだ名が付けられた。


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