車のトリセツ Vol.6
2020.02.18
CAR

34年間ナンバー1のスズキ。人気車種を生み出し続ける軽自動車への愛

車のトリセツ●走行に関するトリセツはダッシュボードの中にあるけれど、各メーカーの車の魅力を紐解くトリセツはなかなか見つからない。だから始める、オートマティックで好きになったあの車を深掘り、好きな理由を探るマニュアル的連載。

スズキから始まった軽自動車

日本独自の規格であり、その独特の使い勝手やサイズ、手軽さなどから今や世界中にファンがいる「軽自動車」。日本初の軽自動車を作ったのが、スズキである。

1920年、静岡県浜松市で織機の製作会社として創業したスズキ。戦後は織機に見切りをつけ、自転車にエンジンを載せたバイクを作ってヒット。

それを足がかりに1955年に国が定めた軽自動車の規格に初めて適合するスズライトSSを発売。二輪と四輪のメーカーとなった。

スズライトSS
1949年に定められ、その後幾度も改訂された軽自動車の規格に沿って初めて作られたスズライトSS。FF(前エンジン・前輪駆動)方式を日本で初めて採用した車でもある。

「浜松で創業」「バイクから四輪」はホンダとも共通する部分。実は四輪の販売はスズキのほうが先(ホンダは1963年の軽トラックが初)にスタートした。

 

今、日本でいちばん人気(?)の4WD「ジムニー」

軽乗用車や軽トラックなどを開発する一方で、「軽の特徴が活かされるユニークな車」として1970年に販売されたのがジムニーだ。

梯子(ラダー)状のフレームにエンジンやトランスミッション、足回りなどが備えられ、その上にキャビンを載せるラダーフレーム構造を採用しており、これはトヨタ・ランドクルーザーなどの大型本格SUV(当時はクロカン四駆と呼ばれていた)以外ではほとんど採用されていない。

初代ジムニー
初代ジムニー。「プロの道具」として、土木・建設の現場や林業従事者などから高く評価されるとともに、手軽にアウトドアを楽しめると一般ユーザーにも好評を博した。359ccの空冷直列2気筒エンジンを搭載。屋根やドアはキャンバス地で、ドアはファスナーで開閉。フロントウインドウは前に倒したり、脱着できる。

ラダーフレーム構造は、オフロードでの激しい衝撃を受け止めることができる一方、乗り心地的には不利なため、現在ではセダンなど一般的な乗用車はキャビンとフレームを一体化したモノコックボディが台頭。最近はSUVでもモノコックが主流になっている。しかし、ジムニーは現在でもラダーフレーム構造を採用し続けている。

2018年に4代目となる現行車に切り替わって以来、今時でない四角い武骨なフォルムと本格オフロード機能で絶大な人気を博し、現在でもモデルによっては新車の納車に1年近くかかることも。パーツごとに取り替えがしやすい直線的なデザインは、カスタムを楽しむためのベース車としても重宝されている

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軽自動車に、新たな可能性を載せ続ける

1979年には、市場調査の結果わかった中古車の売れ筋価格帯に、驚異的なコストカットで新車価格を合わせるという離れ技をやってのけたアルトが主婦層を中心に大ヒット。その後もワゴンRやハスラーなど軽自動車で次々にヒットを飛ばした。

アルト
1979年に登場したアルト。低価格で発売されるやいなや爆発的にヒット。当初のアルトユーザーの半分が女性で、女性の社会進出を後押しした車とも言われる。

ジムニーやアルト以外にも、スズキは常にチャレンジングな新しいコンセプトで、軽自動車の市場を切り拓いてきた。

例えば、1987年には軽自動車で初のDOHCエンジンを搭載したスポーツモデルのアルトワークスがある。

1993年に登場したワゴンRは、サイズに制限がある軽自動車で、上方向を伸ばすことで室内空間を広げる方法を編み出した。これが同社でいえばスペーシア、他社ではホンダ・N-BOXやダイハツ・タントなど、現在の軽自動車市場の上位を占める高ハイト系ワゴンへと続いていく。

初代ワゴンR
初代ワゴンR。従来の軽自動車と異なり、車高及び座面が高く、上から周囲を見下ろすような運転席になったことで運転のしやすさも魅力のひとつに。また室内空間が広がったことで後席を倒せば広々としたラゲッジを生み出す。いずれも現在では当たり前だが、当時としては画期的な「軽」だった。

そのほか2003年に軽自動車初のハイブリッドカーとなるツイン、2014年にハイト系ワゴンにSUVを組みあわせたハスラーなど、エポックメイキングな軽自動車をたくさん開発している。

その結果、1973年から2006年の34年間もの長い間、スズキは軽自動車の販売台数で国内トップに輝いている。

このように軽自動車で圧倒的な存在感を放つスズキだが、スイフトやエスクードといった普通車も生産している。その多くはインドや欧州など海外でも販売され、特に車にうるさい欧州市場で鍛えられていることもあり、スズキの普通車はどれも足回りが快適で、クロウト好みであることも付け加えておきたい。

ちなみにインド市場でのシェアは2017年(1月-12月)には49%超を記録している。

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[現在の主な車種]

衝突被害軽減ブレーキを含む先進安全機能は、スバルのアイサイト同様、2つのカメラを中心としたシステムが多く、各車のエントリーグレードを除く全車に標準装備される。

 

・ハスラー

ハイト系ワゴンにSUVテイストを加えた軽クロスオーバー。2019年に2代目へと切り替わった。ターボ車とノンターボ車があり、全車マイルドハイブリッド機構が搭載され、スタイルも走りも改良された。

トランスミッションはCVTのみ。4WD車にはヒルディセントコントロール(急な下り坂でブレーキ操作をしなくても一定速度で降りる)機能が用意されている。

 

・ジムニー

軽本格オフローダーの4代目は2018年に登場。いまだに納車待ちが約1年という人気車だ。ラダーフレーム構造・副変速機付きパートタイム4WDなど初代からの伝統を受け継いでいる。

ターボとノンターボ車があり、トランスミッションは4速ATと5速MTが選べる。ヒルディセントコントロールをはじめオフロード性能も充実。

 

・スペーシアカスタム

2017年にデビューした人気のハイト系ワゴン。ターボ車とノンターボ車があり、全車マイルドハイブリッド機構を搭載。

後席は左右それぞれ別に210mmスライドができるほか、後席を倒せば27インチの自転車をそのまま載せられる広さがあり、後席+助手席を倒せばショートサイズのサーフボードも載せられるなど、さまざまな物を載せるキャリアとしての汎用性が高い。

 

・スイフト

2016年に登場した4代目。同車の2代目から海外での販売が始まり、2018年時点で累計600万台を記録した人気車種だ。

軽自動車ではなく普通自動車規格で、1.2L車、1.2L+モーターのマイルドハイブリッド車、モーターのみの走行が可能なハイブリッド車、1Lターボ車があり、CVTか5速MT、6速ATが組み合わされる。1.4Lターボを搭載するスポーツモデルのスイフトスポーツもある。

 

籠島康弘=文

# スズキ# トリセツ# # 軽自動車
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