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2020.02.11

【マツダのトリセツ】「無理!」に立ち向かい続けた成功の100年間

車のトリセツ●走行に関するトリセツはダッシュボードの中にあるけれど、各メーカーの車の魅力を紐解くトリセツはなかなか見つからない。だから始める、オートマティックで好きになったあの車を深掘り、好きな理由を探るマニュアル的連載。
2020年1月30日に創立100周年を迎えたマツダ。
マツダの100年は、「そんなの無理だ」と言われるほど、燃えあがり、必死に立ち向かってきた職人たちの歩みと言えるだろう。

「ロータリーエンジンなんて無理だ」

例えばメルセデス・ベンツや日産などいくつかのメーカーが挑戦し、諦めていったなかで、ロータリーエンジンの可能性を信じ続けたマツダは、1967年に発表したコスモスポーツで世界初のロータリーエンジン搭載車の量産に成功する。
コンパクトなロータリーエンジンのメリットを活かした低いボンネットなど、スタイリッシュなデザインがいまだ根強いファンを持つコスモスポーツ。1967年登場。
1991年には、ロータリーエンジンを搭載したマシンでル・マン24時間耐久レースに参戦、そして日本車として初めて優勝まで飾り、世界を驚かせた。結局2012年のRX-8の生産終了まで約45年もの間、マツダはロータリーエンジンを造り続けている。
1991年にルマンで優勝した「マツダ787B」。最大400馬力を発生するロータリーエンジンを搭載していた。

 

「エンジンで環境規制やハイブリッドに対抗するなんて無理だ」

ロータリーの火が消えたのと同じ年、今度はクリーンディーゼルエンジンの「スカイアクティブ-D」を搭載したCX-5を発売。ここでも、他社がディーゼルエンジンのNOxやススなど規制対象の物質を浄化するための尿素SCRという装置を備えるなかで「それだと値段が高くなってしまう」と、主流であった尿素SCR装置なしでクリーン化に挑戦。
そのためには当時「無理だ」と言われた混合気の低圧縮化を実現しなければならなかったが、世界一低い圧縮率で見事に環境基準をクリアした。
環境性能への答えとして、当時すでに主流になっていたハイブリッドではなく、ディーゼルを選択。写真の初代CX-5から始まり、今ではロードスターと軽自動車を除く全車に搭載されている。
一方でガソリンエンジンの低燃費&高出力化を追求し、これまた「無理だ」と言われていた混合気の高圧縮技術にもチャレンジ。一般的にガソリンエンジンで使われれる点火プラグを使わずに、ディーゼルエンジンのように混合気を圧縮するだけで点火することに世界で初めて成功した。この「スカイアクティブ-X」エンジンは2019年からマツダ3やCX-30に搭載が開始されている。
1996年にフォードの傘下に入ったのち、2015年に再び独立。2017年にはトヨタとの提携を結ぶなど、経営面での紆余曲折を経ても、彼らはこれからも、「無理」を覆すものづくりに挑戦し続けていくだろう。


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