[TOY CAR STORY]世界に一台だけのフィアット・パンダ。黄×黒の塗装完成!
TOY CAR STORY vol.4●「オーシャンズ仕様のカスタムカー、つくります!」 と、高らかに宣言して始める「TOY CAR(トイ・カー)」プロジェクト。大人がドキドキ・ワクワクする最高にオモチャな車の仕上がりまでを追う。
2代目フィアット・パンダの4WDモデルをベースに、大人が遊べる最高にオモチャなカスタムカーをつくる本プロジェクト。進行中だったオリジナルカラーでのボディ塗装がついに完成した!
前回はカードローブの田島さんにDIYオールペンのコツを教えてもらったが、今回は世にも珍しい黄×黒パンダ、その塗装完了までを見ていこう。
教えてくれるのは今回ももちろん、
田島直哉(たじまなおや)さん
1977年生まれ。輸入車を中心とした車の販売とスタイリングを手掛けるカーショップ、Cardrobe!(カードローブ)代表。以前はビームスに勤務。センスのいい車を求めて訪ねる人が後を絶たない。オーシャンズとともにトイ・カーつくりを進めてくれる。
脱脂で手を抜いたらすべてが台無し!?
前々回は、塗料が付着しやすいよう紙やすりでボディ表面に細かな傷を付けるサンディングを行い、前回は塗装のコツを教えてもらったが、塗装前にさらにもうひとつ、大切な作業工程がある。それが「脱脂」だ。

「脱脂は、もとのボディ塗料に含まれている油分を抜く作業です。油分が残っていると、上から塗料を塗ったときに弾かれるので、隅々までしっかりやる必要があります」。(田島さん ※以下カッコ内はすべて)
脱脂されていない部分は色が浮いてしまう。ゆえに脱脂がまだらだと、まだら色の、あまり可愛くないパンダができあがってしまうのだ。

それにしても、脱脂前にサンディングしたこともあり、もとの色艶がなくなっているうえ、脱脂しても、あまり見た目が変わらない。ホントに脱脂されてるのかな? と思わず指で触れようとしたら「ダメですよ! 触ったら指の油分が付いちゃいます」。
いくら肌がカサつきがちなオーシャンズ世代だといっても、肌の油分がゼロになることなどはない。だから指で触ったり、つまずいて手をついたりするのは厳禁なのだ。
脱脂は「屋根」や「ボンネット」、「右フロントドア」など、パーツやパネル毎に行う。「順番にやらないと、どこまでやったか分からなくなります。まあ脱脂にやりすぎはないので、同じ箇所を2回、3回とやってもOKですが、疲れます(笑)」。
脱脂剤には今回使用した液体タイプのほか、缶スプレータイプもあるそう。「液体の場合は、布や刷毛にたっぷりつけてのばしていくのがコツです」と田島さん。
続いて、バンパーなどの樹脂部分に塗装の下地処理としてプライマーを塗る。こちらは少し緑がかっているため、塗った部分が薄く緑色になるので脱脂よりは見極めやすい。

「最近は鉄/非鉄問わずどんな素材の脱脂にも使える『ミッチャクロン』っていう汎用プライマーなどもあるので、ボディ全体をやりたい場合は、それを使えば簡単ですよ」。
こうして塗装前の工程が終了。さあ、コーヒーでも買ってきて一服……と思ったら「脱脂してプライマーを塗ったらすぐに塗装にとりかかりますよ。じゃないと、せっかくきれいにしたボディにホコリが付いちゃう。そしたら、塗装面に凸凹ができちゃいますから」。
重ね塗りが基本。同じパネルはその日のうちに最後まで
塗料には主に油性と水性があるが、今回は水性塗料を使用した。水性塗料は油性と比べて匂いがほとんどないので「自宅の駐車場などで塗装しても近隣から苦情を受けないというメリットもあります」。

まずは塗料の缶に書かれている「希釈率」を確認して、バケツに塗料と希釈剤を入れる。ちなみにタカラ塗料の塗装セットにはバケツと、バケツ内にピッタリはまるメモリ付き容器が入っている。

塗料が足りなくなったら、もう一度同じ作業を繰り返して塗料を作る。その際、希釈率が違うと、色が変わるので注意が必要だ。
恐る恐る、塗料のついたハケをボンネットの上に乗せる…… あれ? 思っていたより薄い?
「最初は少し薄く感じるかもしれませんが、2回3回と重ね塗りすることで、本来の色に近づきますよ」。重ね塗りが基本なのだ。また一度塗ったら乾くまで待つこと。その間、別の部分を塗るようにしよう。

ただし、例えばボンネットや、左ドアなど、継ぎ目のない同じパネル部分は、塗り始めたらその日のうちに仕上げるのが原則。そうすれば色が途中で変わったりするリスクが減るからだ。
やってみて分かったのは、ボンネットがいちばん塗りやすいこと。最初はまずはボンネットで練習してみるといいかもしれない。
ローラーだと凹凸部分は塗り残しができやすいのと、強くローラーを押しつけると液ダレして、それがほかのパーツに垂れる可能性もあるので要注意だ。
まあ細かな部分は前回の「愛車をDIYでオールペン。誰でも最高に仕上げるコツ」を見ていただくとして、「プロじゃないんだから、塗りミスがあって当たり前です。そんなミスも愛車の味と考えたほうが楽しいですよ」と田島さん。
ですよね〜。ハミダシ上等! そもそも、なんでDIYで塗っているかって言ったら、楽しむためだから。愛車を塗る!っていう遊びをまずは目一杯楽しんで!
ついに黄×黒パンダの塗装が完了!
そしてついに。イエローとブラックのツートンパンダが完成した! やっぱオリジナル塗装はいいなぁ。ほかの車とも違う味わいが出るし、自分で塗ったから愛着も湧く。
温かみのあるイエローに、ルーフの黒が効いて、これなら街でも海でも映えること間違いなし。パンダの可愛げも相まって、女性にも評判良さそう。
なんて、ちょっと親バカ全開のコメントになってしまったが、どうです!? 上野に行っても、和歌山へ行っても会えない、世界にたった一台だけの黄×黒パンダ。
いよいよクライマックスが近づいてきたTOY CAR STORY。残るは内装とルーフトップだ! 遊べる車に必要なあれやこれを、ガシガシ付けていくぞ!
[取材協力]
タカラ塗料
http://brush-carpaint.com
カードローブ
https://cardrobetokyo.com
Instagram:@cardrobe_tokyo
籠島康弘=文