乗りたかったのは、キブンが乗るクルマ Vol.66
2019.12.06
CAR

伝統とセンスの共存。アストンマーティン初のSUVは究極の車かもしれない

まだまだ続いているSUV人気。ジャガーやランボルギーニ、ベントレー、ロールスロイスまでSUVを作るようになり、あとはアストンマーティンとフェラーリくらいと言われていたら、ついにアストンマーティンが初のSUVであるDBXを発表した。

これまでスポーツカーだけを作ってきた同社がどんなSUVを開発したのか。その内容を見ていこう。

誰も彼もSUVを作る世の中になったけれど、最初に確認しておくと、我々は“SUVだから”欲しいのではなく、どこでも行けて、荷物も積めて、そして格好いいからSUVが欲しいのだ。SUVさえ作ればなんでも買うと思われちゃ困るんだよな……なんて思っていたけど、DBXは、自分がジェームズ・ボンドになったかと思えるほど抜群にクールで格好いい。

007シリーズの『ゴールドフィンガー』(1964年)以来、アストンマーティンはボンドカーの座をたびたび射止めてきた。『ダイ・アナザー・デイ』(2002年)では、アストンマーティンのV12ヴァンキッシュが氷上のカーチェイスを繰り広げたシーンが有名だけれど、当時このDBXがあったなら、きっとボンドを演じたピアース・ブロスナンはDBXのステアリングを握ることになったに違いない。

初めてのSUVを作るにあたり、同社は「アストンマーティンのSUVとは」の定義を決めることから始めたという。結果的にそこで得られた結論は、街でも山でも海でも楽しめる車であり、そして格好いいスポーツカーであること。まさに我々がSUVを求める理由と合致した。

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全長5039mm×全幅1998mm×全高1680mm。搭載するエンジンは、あのアストンマーティンの美しいクーペ、DB11と同じ。つまりメルセデスAMG製の4LのV8ツインターボだ。最高出力はDB11より40psアップの550ps、最大トルクもDB11より15N・mアップとなる700N・m。約2.2tの車重を持つDBXを、ストップした状態から、わずか4.5秒でアストンマーティンらしい咆哮とともに100km/hまで加速させ、最高速度は291km/hに達する。

もちろんどんな道でも走破してしまうタフギアとしての性能も一級品。石がゴロゴロと転がったような悪路なら、190mmの最低地上高をさらに45mm上げることができるし、高速道路のように低重心が求められる場面では逆に50mm下げることもできる。

車高の高いSUVは往々にしてカーブで揺れがちだけど、eARCと呼ばれる新技術を備えた足回りが車体の傾きを制御するので、乗員が揺られるという心配は不要だ。DBXの足回りはまた、雪上やオフロードなど路面状況に応じて、どんな道でもスポーツカーとしての楽しみと、ラグジュアリーカーとしての極上の乗り心地を両立させてくれる。

しかもこれだけ流麗なデザインにも関わらず、ラゲージ容量は632L。トヨタ・ランドクルーザー プラド(5人乗り)の621Lよりやや広いほどだ。

もちろんルーフにキャリアを備えればスキー板や自転車を載せられるし、なんならラゲージには狩猟に出掛ける際の道具を収める本革張りの専用ケースや、屋外でのランチを優雅に楽しむための冷蔵庫&カトラリー収納ケースやテント、愛犬を乗せられる専用アクセサリー、専用のスキーブーツ収納ケースやポータブルシャワーまで、英国貴族のようにアウトドアを楽しめるオプションがたっぷり用意されている。

本革&ウッドで覆われたインテリアはうっとりするほどゴージャス。ウッドは種類が選べるのはもちろん、カーボンファイバーや天然の麻素材で作られた複合材など7種類の素材が用意されるなど、ラグジュアリーブランドの神髄を発揮しまくりだ。販売価格は2299万5000円。納車は2020年4月以降で、既に受付が開始されている。

 

伝統の優雅さは備えつつ、これまでにないようなタフネスも備える。イギリス最強の諜報部員であるジェームズ・ボンドのように、DBXはアストンマーティン究極の一台と言えるかもしれない。

 

籠島康弘=文

# DBX# SUV# アストンマーティン# ジェームス・ボンド
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