オーシャンズな男目線のアウター選びを大特集! Vol.64
2019.11.24
CAR

もう「セダン」「ワゴン」と呼ばないで。フランスが生んだその美しさに惚れた

今回フォーカスを当てる508と508 SWは、新たなフレンチ名品と呼ばずにはいられない。

俺たちがフランス製品に求めるのは、まずは美しさ。そして実用性、そして他国にはまねできないエスプリ。それらを満たしているからエルメス、ルイ・ヴィトン、ラコステ、ジェイエムウエストンが好きなのだ。じゃあ、プジョーはどうかというと、しばらくご無沙汰だったように思う。かつて憧れた205や406、306カブリオレはなくなって久しい。

でも、あのときの熱狂再び……。今回フォーカスを当てる508と508 SWは、新たなフレンチ名品と呼ばずにはいられない。デザインと機能の融合、すなわちコルビュジエ先生曰くエスプリがあるのだから。車はドイツ車が最高!はたまた、国産のハイブリッドで十分と思っている人にこそ乗ってもらいたいのがこの2台なのだ。

その美しさと乗り心地にハッとさせられるから。年を重ねると服も食べ物も行く店を変えなくなる“食わず嫌い”な頑固者になりがちだが、その殻を脱ぎ捨て、ぜひ乗ってみて! 惚れちゃうからさ。

 

PEUGEOT 508 プジョー 508

PEUGEOT 508 プジョー 508

ボディサイズ:全長4750×全幅1860×全高1420mm
燃費:14.7〜18.3km/L
総排気量:1598〜1997cc 乗車定員:5名
価格:424万7000円〜

2019年3月に日本国内発売された508は、プジョーの最上級サルーンである。「大胆不敵なデザインでサルーンの概念のすべてを変える」というのがデビュー時のキャッチコピー。その言葉どおり、サッシュレスドアにテールゲートを備えた4ドアクーペ風デザインがインパクト絶大。モデルラインナップは、2Lディーゼルを積んだGT BlueHDi、1.6LガソリンターボのGTラインと、同エンジンで装備を簡素化したAllureの3つを展開。

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シートは65万円のオプションでサンルーフやパークアシストなどとともに付いてくるナッパレザー。適度なホールド感が運転の披露を和らげる。
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ちなみに最上級のGTラインにエクストラを載せなければアルカンターラのシートが付く。2.0Lのディーゼルエンジンは、さすがディーゼル大国のフランス産であり、思いのほか静か。それ以上に力強さの印象が勝る。
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荷室は、487Lほど。普通のセダンよりも背の高いものも入れやすい。リアのLEDは縦に左右12本のラインが連なる。これはブランドのアイコンでもある、ライオンの爪跡を模したという。
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コックピットはどのクルマにも似ていない。ステアリングは超小ぶりで、天地が押しつぶされたような形状。そのステアリングをかなり下のほうに位置させ、その上から液晶のメーターを見るように座らせる。つまり普通は胸の前なのが、お腹の前にステアリングがある感覚。これが慣れると楽チンかつ走らせやすい。まるでママチャリからスポーツサイクルに乗り換えたかのような感じだ。
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セダンじゃなくて、ファストバック。美しいヒップラインに惚れた!
大人になるとたいていのことに慣れてしまって、毎日が同じことの繰り返しになっていることに気が付くときがある。だいたいのパターンが読めるから、ルーティンで流してしまう日々。そんな生活を打破するには、見るに美しく、乗るとうっとりしてしまうプジョーの508と508 SWが効く。

この2台、カテゴリー的にはセダンとステーションワゴンという王道ではあるが、そのスタイルは格別に美しく、洗練されている。それもそのはず、プジョーの最上位モデルであり、生半可なものでは世界最古の量産自動車メーカーとして、また輝かしきWRC世界ラリー選手権やル・マン24時間耐久レースの活躍など、その沽券に関わるというもの。

とはいえ、 世はSUVが花盛り。格好良くて、実用的で……。でも、ただ流行りに乗ってSUVを選ぶなら、一度立ち止まってこの508と508 SWに触れていただきたい。この車はあなたの日々に、間違いなく潤いを与えてくれるから。

まずは508のセダン、いやこのクルマはファストバックと呼ぶのが相応しい。この508の白眉は、顔のインパクトもさることながら、リアの形状にある。

まずは508のセダン、いやこの車はファストバックと呼ぶのが相応しい。この508の白眉は、顔のインパクトもさることながら、リアの形状にある。つまり、ファストバックと呼ばれるルーフからリアにかけてなだらかに傾斜するデザイン。通常、このファストバックスタイルはクーペに採用されるデザインで、特に空力特性や美しさを求める意匠だ。が、プジョーはあえてセダンでそれをやった。

この形状により後席のヘッドクリアランスに多少の犠牲は出たのだが、それ以上にこれほどまでに美しいセダンを造ることに社運を懸けたのだ。なかなか社内会議で通らないですよ、後席を犠牲にするセダンなんて。エスプリ利きまくり。とはいえ、身長170cm以下の方であれば、さほど狭さを感じない。中学生のお姉ちゃんと、小学生の弟に文句を言われることなく、この美しく格好いいセダンに乗れるなんて、最高ですよ。あと、フォーマル感があるのはやっぱりセダンならでは。

プジョーは長らくフェラーリなどをデザインしているピニンファリーナがデザインを担ってきた。我々世代では205、306カブリオレ、406クーペなどが記憶に残っているかと。今回の508はピニンではないが、プジョー伝統のデザインテイストを感じさせる。近頃、実用車としてのイメージが強く、あまり元気のなかったプジョーにまた美しい、格好いい、と素直に思える車が出たのはうれしい限りだ!

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PEUGEOT 508 SW プジョー 508 ステーションワゴン

PEUGEOT 508 SW プジョー 508 ステーションワゴン

ボディサイズ:全長4790×全幅1860×全高1420mm
燃費:14.7〜18.3km/L
総排気量:1598〜1997cc 乗車定員:5名
価格:450万2000円〜

セダン(508)から遅れること3カ月、6月に日本上陸を果たした508 SW。こちらもモデルバリエーションはセダン同様の3車種の展開。今回試乗したAllure以外の2型には電動テールゲートを装備する。標準となるストップ&ゴー機能を備えたアクティブクルーズコントロール、プジョー初搭載のレーンポジショニングアシスト、レーンキープアシスト、アクティブブラインドスポットモニターシステムなど先進運転支援機能も充実。

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エンジン・スタート/ストップボタンの横にあるのが、ドライビングモードの選択スイッチ。スポーツ、コンフォート、エコ、ノーマルの4つのモードを備える。このモード切り替えによりサスペンション、ステアリングフィール、アクセルレスポンス、シフトアップのタイミングが自動で切り替わる。プジョー508 SWだと、コンフォートモードこそがスペシャル。その乗り心地の良さにわざわざデコボコ道を走らせたくなるほど。ソフトにして芯がある。相撲のいなしのような、振動を逃がすのが巧みで、サスペンションはもちろん、新プラットフォームEMP2の秀逸さをここに見た。
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シートはAllureの場合、ファブリックが標準。位置調整は手動となる。 
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センターコンソール奥には非接触充電機能が配置。エアコンやナビ、音楽プレイヤーなどは8インチサイズの液晶パネルに直接触れてコントロールできるほか、その手前に並べられたスイッチでも操作が可能となる。
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十分な容量を確保する荷室は、通常で530L、後席を倒せば最大で1780Lとなる。
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ワゴンじゃなくてシューティングブレーク。まるでスポーツカーのような佇まいに、惚れた!
SWことステーションワゴンも、セダンと同様に美しい。迫力あるフロントフェイスから流れるようにリアのハッチへ到達するアプローチは、かつてのジャガー XJSやアストンマーティン ラゴンダ、現代ではフェラーリ GTC4ルッソやメルセデス・ベンツ CLSと同類の、つまりシューティングブレークのような佇まい。

ちなみにシューティングブレークとはかつての英国貴族や紳士が狩猟に行くのに造ったスポーツカーの後部のみをワゴンに換装した車のデザインだと定義される。荷物はもちろんたくさん積めるけれど、決して実用オンリーではない、スポーツカーのような色気も同時に漂わせるデザインなのだ。

SUVは便利だけど、駐車場に高さ制限があって……といったサイズ感に心配がある方に、ぜひ508 SWを試してもらいたい。荷室容量は530L(後席を倒せば最大で1780L)。ちなみにポルシェの小型SUVのマカンは550L(1710L)と大差ない。全長は10cmほど508 SWが長く、全幅は6㎝、全高は20cmマカンが大きい。

SWことステーションワゴンも、セダンと同様に美しい。

で、このファストバックとシューティングブレークの508、それぞれいくらだと思いますか? 筆者はともに600万円、そこに豪華装備のオプションを加えて750万円くらいかなと想定していた。しかし、今回試乗したセダンの508 GT BlueHDi(ディーゼルエンジン)は車両本体492万円に、オプションのフルパッケージ(ナッパレザーシート、ナイトビジョン、フルパークアシスト、360度ビジョン、パノラミックサンルーフ)の65万円を加えた557万円。ステーションワゴンはGTライン(ガソリンエンジン)でオプションなしの484万円。

アクティブクルーズコントロールやレーンポジショニングアシストといった先進運転支援機能は全車標準装備だし。乗り心地は最高だし。そう乗り心地といえばフランス車の命。508はプジョー初となる電子制御式アクティブサスペンションを採用している。つい、スポーツモードに入れてカッ飛びたくなるのが車好きだが、508に関してはコンフォートモードで、そのしなやかな乗り心地を味わいたくなる。こんな車、ほかにはない。

ライバルはメルセデスならCクラス、BMWなら3シリーズなどだが、横に並んでもその美しさにエヘンとなるクラスレス感がある。ひと目惚れして手に入れたとしても決して後悔しないだろう。

 

内田祐介=写真 荻山 尚=編集・文

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