どっぷり、たっぷり浸るデニム愛。 Vol.53
2018.10.24
CAR

多目的に使える、最新ポルトフィーノが“エブリデイ・フェラーリ”な理由

フェラーリ・ポルトフィーノはカリフォルニア並びに、そのビッグマイナーチェンジモデルであるカリフォルニア Tの後継に当たり、その道標が示した方向にしっかりと進んだ正常進化した一台だ。

当然、基本的なポイントは踏襲され、カリフォルニア Tを受け継ぐようにV型8気筒のターボエンジンを積んでいる。初見での大きな変更点は、やはりエクステリアのデザインだろう。

Ferrari Portofino フェラーリ・ポルトフィーノ 今年の2月に日本で販売開始された最新のGTカー。カリフォルニア T、GTC4ルッソ Tと同じ系譜にあるV8ターボエンジンは、最高出力600馬力、最大トルク760Nmを発揮する。新開発のアルミ製シャシーを採用したことなどによって、先代に当たるカリフォルニア Tよりも80kg軽い1664kgを実現した。総排気量は3855cc、ボディサイズは全長4586×全幅1938×全高1318mm。2530万円〜。

カリフォルニアのフォルムは全体的に丸みを帯び、トランクルーム部分がほぼ水平の、ノッチバックに近いスタイルだった。一方のポルトフィーノのそれは、近年のツーシーターフェラーリのデザインに則った、大きく口が開いたラジエーターグリル、サイドの大胆なくびれを持ち、ロー&ワイドを強調したシャープな体つきになり、ルーフからなだらかにリアへと傾斜しながら落ちるファストバックになっている。

要するに、フェラーリ製GTカーの基本は残しつつ、徹底的な削ぎ落しを図りスポーティに振った印象だ。しかし、ポルトフィーノはカリフォルニアと同じく“エブリデイ・フェラーリ”(=日常のフェラーリ)と呼ばれている。日常的に使いやすい道具的なクルマというわけだ。

 

上質な室内空間、後席のゆとり、トランク設計
すべてが日常使いに心地いい

小さい子供なら後席の広さは十分
触り心地のいいキャメルカラーのレザーが張られたインテリアは華美な装飾はなく、ラグジュアリーというよりも落ち着きや品の良さが感じられる。カリフォルニアよりも後席の空間が若干ではあるものの広くなり、小学生の低学年くらいまでの子供であれば、十分の広さだろう。

後ろの2席の間にはスマートフォンなどを置けるトレイ(写真の黒い部分)があり、こういうちょっとした気が利いている点も普段使いするにはうれしい。

 

幌を閉めた状態がこちら。ルーフからリアまでなだらかに傾斜し、ウイングのところでストンと落ちていることがわかるだろう。ちなみに、40km/h以下であれば走行時でも操作可能なリトラクタブル・ハードトップの開閉にかかる時間は14秒となっている。

 

操縦しやすい絶妙なアイポイント
キャビンのデザインも派手さはなく、比較的シンプル。スーパーカーではあるが、アイポイントが低すぎないため、車幅やノーズ先端が確認しやすく車体のコントロールはかなりしやすい。乗り出して慣れてくれば、まったく不安なく扱えるようになる。特徴としては、まずダッシュボードの中央に10.25インチのワイドなタッチスクリーンディスプレイが配されたこと。そして、操作上の大きな違いはないが、ステアリングのデザインが刷新された。

 

中型トロリーケースが入る高さのあるトランク
「どのくらい荷物が載るのか」というのは多くの人が気になるところだろう。トランクの容量に関してはカリフォルニア=360L、カリフォルニア T=340L、ポルトフィーノ=292Lと、数値だけ見ると段々と狭くなってきているが、カリフォルニア並びにTが比較的、横長だったのに対してポルトフィーノは少し高さがある。そのため、60L程度の中型サイズのトロリーケースであれば3つ収納できる。トランクスルーもあり、使い勝手が向上している。

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フェラーリ製GTカーの10年の歴史

カリフォルニアの誕生から10年の間、フェラーリは矢継ぎ早にフォーシーターのクルマの歴史を更新してきた。まず衝撃的だったのが、2011年のクーペとステーションワゴンを融合させたような斬新なシューティングブレークスタイル、そしてフェラーリでは前代未聞の4WDが採用されたフェラーリ・フォー。伝統的なフェラーリと乖離した存在に当初、多くのファンが戸惑ったが、結果的には’12年度の史上最高業績を支え、シューティングブレークは早々に欠かせないものとなった。

続くのが ’14年のカリフォルニアのビッグマイナーチェンジモデル、カリフォルニア Tである。新型ではないため、トピックス性に欠けるように思えるかもしれないが、実に27年ぶりにV8にターボが搭載されたことで話題となった。これはパワーと燃費性能の両立が狙いで、従来より70psも出力を上げながら、15%燃費を改善させることに成功している。そして、そのエンジンは次のシューティングブレーク、GTC4ルッソに受け継がれていく。

このモデルは初め、V12エンジンと4WDの組み合わせのみが販売されていたが、カリフォルニア Tと同様のV8ターボとFRを採用したGTC4ルッソ Tがラインナップに加わった。

社会やライフスタイルの移り変わりに伴い、フェラーリも変化をしている。しかし、絶対にSUVや4ドアには手を出さない。2ドアにこだわり続けていることは、昔から変わっていないのである。

「日常使いに適したフェラーリ」その2つの系譜
①オープンクーペスタイルのエントリーモデル

上●Ferrari California フェラーリ・カリフォルニア
FR駆動やリトラクタブル・ハードトップをフェラーリとしては初採用したこと以外にも、オーディオ&カーナビのタッチパネルディスプレイ、速度や走行距離などの液晶表示にUSBポートといった現代では当たり前となっている装備を早々と導入していたことでも知られている。

下●Ferrari California T フェラーリ・カリフォルニア T
カリフォルニアの進化形。エクステリアデザインの変更とともに、新開発された最高出力560ps/7500rpm、最大トルク755Nm/4750rpmを誇るターボつきのエンジンが搭載された。それをベースにGTC4ルッソ T、ポルトフィーノのエンジンは造られている。

 

「日常使いに適したフェラーリ」その2つの系譜
②シューティングブレークスタイルのフラッグシップモデル

上_ FF フェラーリ・フォー
660psというフェラーリ史上最高(当時)の出力と683Nmのトルクを放つV12エンジン。にもかかわらず、大人4人が寛げる贅沢な室内空間があり、トランク容量は最大800L。あらゆる点が規格外でフェラーリの歴史から見ても異色かつ画期的なクルマなのだ。

下_ Ferrari GTC4LUSSO T フェラーリ・GTC4ルッソ T
FFの後継としてリリースされた2代目シューティングブレーク。直系は“T”がつかない、V12エンジンと4WDを装備するフェラーリ・GTC4ルッソで、現在も併売されている。“T”はV8+FRなので、FFとカリフォルニア Tのいいとこ取りモデルといったところだろうか。

 

清水将之(mili)=写真 大隅祐輔=編集・文

# クルマ# フェラーリ# ポルトフィーノ
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