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フェラーリ製GTカーの10年の歴史

カリフォルニアの誕生から10年の間、フェラーリは矢継ぎ早にフォーシーターのクルマの歴史を更新してきた。まず衝撃的だったのが、2011年のクーペとステーションワゴンを融合させたような斬新なシューティングブレークスタイル、そしてフェラーリでは前代未聞の4WDが採用されたフェラーリ・フォー。伝統的なフェラーリと乖離した存在に当初、多くのファンが戸惑ったが、結果的には’12年度の史上最高業績を支え、シューティングブレークは早々に欠かせないものとなった。
続くのが ’14年のカリフォルニアのビッグマイナーチェンジモデル、カリフォルニア Tである。新型ではないため、トピックス性に欠けるように思えるかもしれないが、実に27年ぶりにV8にターボが搭載されたことで話題となった。これはパワーと燃費性能の両立が狙いで、従来より70psも出力を上げながら、15%燃費を改善させることに成功している。そして、そのエンジンは次のシューティングブレーク、GTC4ルッソに受け継がれていく。
このモデルは初め、V12エンジンと4WDの組み合わせのみが販売されていたが、カリフォルニア Tと同様のV8ターボとFRを採用したGTC4ルッソ Tがラインナップに加わった。
社会やライフスタイルの移り変わりに伴い、フェラーリも変化をしている。しかし、絶対にSUVや4ドアには手を出さない。2ドアにこだわり続けていることは、昔から変わっていないのである。

「日常使いに適したフェラーリ」その2つの系譜
①オープンクーペスタイルのエントリーモデル


上●Ferrari California フェラーリ・カリフォルニア
FR駆動やリトラクタブル・ハードトップをフェラーリとしては初採用したこと以外にも、オーディオ&カーナビのタッチパネルディスプレイ、速度や走行距離などの液晶表示にUSBポートといった現代では当たり前となっている装備を早々と導入していたことでも知られている。
下●Ferrari California T フェラーリ・カリフォルニア T
カリフォルニアの進化形。エクステリアデザインの変更とともに、新開発された最高出力560ps/7500rpm、最大トルク755Nm/4750rpmを誇るターボつきのエンジンが搭載された。それをベースにGTC4ルッソ T、ポルトフィーノのエンジンは造られている。
 

「日常使いに適したフェラーリ」その2つの系譜
②シューティングブレークスタイルのフラッグシップモデル


上_ FF フェラーリ・フォー
660psというフェラーリ史上最高(当時)の出力と683Nmのトルクを放つV12エンジン。にもかかわらず、大人4人が寛げる贅沢な室内空間があり、トランク容量は最大800L。あらゆる点が規格外でフェラーリの歴史から見ても異色かつ画期的なクルマなのだ。
下_ Ferrari GTC4LUSSO T フェラーリ・GTC4ルッソ T
FFの後継としてリリースされた2代目シューティングブレーク。直系は“T”がつかない、V12エンジンと4WDを装備するフェラーリ・GTC4ルッソで、現在も併売されている。“T”はV8+FRなので、FFとカリフォルニア Tのいいとこ取りモデルといったところだろうか。
 
清水将之(mili)=写真 大隅祐輔=編集・文


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