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2018.05.26

長距離運転におすすめはこの車!ラクに運転するための車選びのポイント



Quality 0f CAR LIFE向上委員会
何人乗りか、積載量はどれだけか。「乗る」 量はクルマのひとつの価値ではあるけど、何よりもまず、 乗らなきゃいけないのはキブンじゃないのか? キブンが乗るクルマはいいクルマ。そんなクルマ選びを、 自動車評論家の島下泰久さんと突き詰める。高めよ! Quality of CAR LIFE

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海に行ったり山でキャンプをしたり、週末の家族旅行やら帰省やら……。休日の我々はとにかくハンドルを握り続けている。そう考えると「運転疲れ」しないことは、カーライフのクオリティ向上の、とても重要なカギを握っているのではないか?

目的地でも全力で遊べ、休み明けの仕事にも疲れを残さない“疲れにくいクルマ”について、島下泰久さんに教えてもらった。

運転疲れの大きな原因は「震動・音・揺れ」


運転で疲れる大きな原因は、まず「エンジンの震動と音にある」と島下さん。「クルマだから当たり前だと思っているエンジンの震動や音って、ボディなどから体に伝わり、意外とドライバーを疲れさせ、運転ストレスの原因になっているんです」。

もちろん現行車であれば、エンジンの振動や音に対しての対策はどのクルマでもされている。しかしその度合いは販売価格に反映されがち。「高級車は疲れにくい」と言われるのはそのためだ。だからといって、運転疲れから開放されるには高いクルマを買うしかないのか? といえば、そうではないという。

「例えば電気自動車なら、エンジンの振動も音もありません。それと同じく電気モーターで走る燃料電池車のトヨタ・ミライで一度、東京〜名古屋間を往復したことがありますが、『あれ、もう1回往復できるかも?』と思えたくらいラクでした」。

もうひとつドライバーを疲れさせる原因が、「クルマの揺れ」だとも。「細かな震動でも、大きな波のような揺れでも、ずっと体を揺らされていると疲れますよね? つまりその逆、まるで道の上をスーッと滑るように、常にフラットな姿勢で走るクルマが疲れにくいクルマというわけです」。

 

細かな動作も疲れの元。理想は“余計な操作のいらないクルマ”


いわゆる「ハンドリングが良い」ことも「疲れない」ことにつながるという。「このカーブならステアリングをこれだけ切れば曲がれるな、というのがパッとわかり、かつその通り切って、後は戻すだけでいいクルマは疲れにくい。悪い例としてはカーブを曲がっている最中にさらに切り足さないといけないとか、あるいは戻すとか、そういう余計な操作が加わるクルマは疲れます」。

またトルクが大きいクルマも疲れにくいとのこと。「頻繁なペダル操作も足の疲れを生みます。トルクの大きいクルマは、トルクの小さいクルマよりペダルを踏み込む量も回数も少なくて済む。電気自動車が疲れにくいのはトルクが大きいことも一因ですね」。

ということは、前車に追従して渋滞時には止まる&前のクルマが動いたら再始動する最新のクルーズコントロールなどは、ペダル操作がグンと減るのでやはり疲れにくくなる。

 

島下さんオススメの疲れないクルマとは?


なるほど、疲れにくいためにはいくつかの条件があるようだ。その見方がわかったところで、疲れないクルマを5台挙げてもらった。

テスラ「モデルS」


テスラ「モデルS」 900万円〜


「静かで、エンジンの震動がなく、トルクが大きいという疲れない条件が揃った電気自動車から選ぶならこちら。航続距離も約500kmと長いから、電気自動車でも長距離ドライブが可能です。充電待ちや充電スポットを探す“疲れ”も軽減されますね。車重2t超と重めなのに、重心がきわめて低く、フロントにエンジンも載っていないため、重さや大きさを感じさせない操作性の良さもドライバーを疲れさせません」。

他社のクルマと違いコックピット周りのスイッチ類も少なく、代わりに大きな17インチのタッチスクリーンでまとめて操作できるのもストレスの軽減に、ひいては疲労解消にひと役買ってくれる。

 

ポルシェ「マカン」


ポルシェ「マカン」 699万円〜


「ル・マン 24時間レースで幾度も勝利しているポルシェ。これが示しているのは、ポルシェは速いだけでなく、疲れにくいということ。なぜなら、いくら交代するとはいえ、24時間も走ればドライバーはとても疲れます。それでもトップを快走できたのは、ドライバーが疲れにくくミスをしないから。そうしたDNAがSUVのマカンにも十分に注入されていますね」。

後輪駆動を基本に、状況に応じて前後輪に適切な駆動力を配分することで高い操作性を発揮するSUV。サーキットでもオフロードでも“疲れない”ことは、汎用車(ユーティリティビークル)として優れている証しだろう。

 

マツダ「CX-8」


マツダ「CX-8」 319万6800円〜


「『Be a driver.』というスローガンを掲げるとおり、ドライバーの思い通りに動かせるクルマづくりに力を入れているマツダは、車体の大きいSUVでも操作がラク。最新モデルは余計なステアリングや煩雑なアクセル操作をドライバーにさせず、意図どおりに動いてくれます」。

2WD/4WDと6人乗り/7人乗りが選べるCX-8。3列目シートを使った状態でゴルフバッグが2個余裕で収納できる広いラゲッジや、キャンピングトレーラーをけん引できるトレーラーヒッチが付けられるというのも、「アクティブなオーシャンズ読者がしっかり遊ぶのにピッタリな一台だと思いますよ」。

 

トヨタ「ランドクルーザー プラド」


トヨタ「ランドクルーザー プラド」 353万8000円〜


「ランドクルーザー プラドは、特に高速域での安定感がその名の通り、海を静かに走るクルーザーのようで、クルマの姿勢を常にフラットに保ってくれます。エンジンの震動も抑えられていて、車内もとても静か。たとえ路面が悪くてドンと突き上げがあっても、クルマの重みや足回りがそれを包み込むように和らげてくれます」。

砂漠から岩場まで、どんなタフな道も走破するランドクルーザー プラドは、長距離ドライブの“走破性”にもやはり長けているようだ。

 

レクサス「LS」


レクサス「LS」 980万円〜


いわゆる高級車であるレクサス。音や振動が抑えられているのはもちろんだが、島下さんがこちらを選んだ理由は、自動運転につながる技術である「Lexus CoDrive」だという。

「停止を含む全車速追従機能付きクルーズコントロールはもちろん装備。加えて、高速道路ではカーブでも車線からはみ出さないようステアリング操作をアシストし、車線変更もウインカーを出せばクルマが安全確認をしてステアリング操作や加減速をサポートしてくれます。もちろん人による運転操作は必須なのですが、物理的に操作回数や運転中に気にすることが減るのは、とても楽。まさに次世代の“疲れない”クルマですね」。

ほかにも運転中に姿勢が崩れないよう、体に合わせて28カ所も微調整できるシートや、マッサージ機能付きシートを用意。至れり尽くせりなクルマである。

 

“今のクルマ”で疲れないために大切なのは「運転姿勢」


とはいえすぐにクルマを買い換えるわけにもいかないのも現実。では、今乗っているクルマで疲れない方法はないか? 島下さんによると、実は運転姿勢を正せば今の愛車でもグンと疲れを減らすことができるとか。

肘、膝で測る正しい体の位置
「肘を伸ばしたまま字を書こうとすると、とても難しいですよね。間違った運転姿勢というのは、それと同じなんです。ハンドルを回しやすいようにステアリングは机で字を書くときぐらいの肘の曲げ方で握れる位置に近づけたほうがいいし、膝を伸ばしすぎずアクセルやブレーキを踏める位置までシートを前にしたほうがいい」。

意識すべきは骨盤、手本はタクシードライバー
「骨盤を立てることを意識してみてください。骨盤が立った状態とは、歩いているときの状態です。ふんぞり返ったり前のめりで歩くと疲れますよね? 長時間運転しているタクシードライバーのみなさんは骨盤が立ったすっとキレイな背筋の方が多いです。長距離ドライブの疲れが変わると思うので、ぜひ試してみてください」。


■話を聞いた人
自動車ジャーナリスト島下泰久さん
島下泰久さん●自動車ジャーナリスト。1972年神奈川県生まれのオーシャンズ世代。『間違いだらけのクルマ選び』の著者。性能、車種、最新技術からブランド論まで、クルマ周りのあらゆるジャンルをカバーする。歯に衣着せぬ物言いにも“定評”があるクルマのオーソリティ。


ぴえいる=取材・文

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