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2023.12.30

からだ

「おせちは糖質過多に注意」管理栄養士に聞いた、正月太りしないためにすべきこと



年末年始は美味しいものをたらふく食べてゆっくりしたいが、「正月太り」にも気をつけたいところ。

「正月はおせちを食べる人が多いと思いますが、おせちにも太りやすいものとそうじゃないものがあります。食べ方を意識するだけで、正月太りを抑えることができます」と話すのは管理栄養士の金子あきこさんだ。

というわけで、事前に知っておきたいおせちの食べ方を金子さんに聞いた。
話を聞いたのはこの人!
金子あきこ●管理栄養士。飲食メーカーのレシピ開発や高齢者施設などの給食事業を手掛けるAricofood株式会社代表取締役。NHK『美と若さの新常識~カラダのヒミツ~』、日本テレビ『ヒルナンデス!』などメディア出演多数。著書に『おなか ぺったんこ 腸筋レシピ』(repicbook株式会社)など。

金子あきこ●管理栄養士。飲食メーカーのレシピ開発や高齢者施設などの給食事業を手掛けるAricofood株式会社代表取締役。NHK『美と若さの新常識~カラダのヒミツ~』、日本テレビ『ヒルナンデス!』などメディア出演多数。著書に『おなか ぺったんこ 腸筋レシピ』(repicbook株式会社)など。

甘い系のおせちは高血糖に要注意



――そもそも、おせちは太りやすいものが多いんでしょうか?
 
重箱に並んだものを見ると、肉類や脂質を含んだものが少ないので勘違いしている方もいらっしゃるのですが、日持ちをするように甘い味付けになっている品目が多いです。糖分の多いおせちを急いで食べたり、ダラダラと食べることで、血糖値が急激に上がったり、血糖値の高い状態が続きます。すると血糖値を下げるためにインスリンというホルモンが分泌されます。インスリンは糖分を脂肪に換えて体に溜め込む働きがあるため太りやすくなります。

カロリーの多い黒豆、栗きんとん、伊達巻などを食べて、さらにお餅やケーキも食べるとなると糖質過多になります。甘い系のおせちは少しつまむ程度にしておくのが無難です。
 
――糖質過多は健康にも悪いですか?
 
最初にお餅や甘いものを食べると、血糖値が急激に上昇する血糖値スパイクを起こす可能性があります。血糖値が急激に上がると、血管に負担がかかるため心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなります。

ですから、おせちを食べる順番としては、最初になますや松前漬け、お煮しめ、たたきごぼうなどの食物繊維が含まれているものを食べるようにしてください。

食物繊維には血糖値の上昇を緩やかにしたり、腸内環境を整えてくれたりする働きがあります。また、歯ごたえの良いものが多いので満腹感が得られ、食べすぎを防げます。ただし、なますをはじめとする酢のものは食欲が増すためほどほどにしましょう。


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コレステロール値や中性脂肪を低下させるおせちとは?

――太りにくいおせちはありますか?

なます、松前漬け、数の子、昆布巻き、たたきごぼう、タイやブリの焼きものなどです。

松前漬けに入っているスルメはコレステロールを低下させるタウリンが豊富。数の子には中性脂肪を低下させてくれるEPAとDHAが含まれています。数の子はプリン体も少なく尿酸値が気になる方も安心して食べることができます。

また昆布には腸内の余分な栄養素を排出するとされているアルギン酸が含まれているので、昆布巻きもおすすめです。

タイは高タンパクで脂質が少なく低カロリー、ブリはタンパク質をはじめタウリンやEPA、DHAを豊富に含んでいます。

とはいえ、どんなものでも食べ過ぎは良くありません。おせちは家族や親戚と談笑しながらダラダラと食べてしまいがちです。カロリー表(下記)を参考にしていただき、時間を区切ったりお腹いっぱいになったら食べるのをやめるなりして、調整するようにしてください。
おせちのカロリー早見表
(100gあたり。数字は目安)


黒豆 260kcal
栗きんとん 180kcal
伊達巻 200kcal
お煮しめ 90kcal
なます 30kcal
松前漬け 150kcal
数の子 80kcal
昆布巻き 100kcal
たたきごぼう 80kcal


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正月太りをしないために気を付けるべきこと

――おせち以外で正月に気を付けたほうがいい食べ物はありますか?

まずお餅です。同じ炭水化物のごはんと比べるとお餅は咀嚼がしにくく、満腹になりづらいため食べすぎてしまいがちです。切り餅2個で大体お茶碗一杯分のカロリーですので注意しましょう。

お寿司やピザなどもつまみやすくついつい食べすぎてしまう傾向に。よく噛んで食べ、満腹を感じたらやめるようにしましょう。

――太りやすいお酒はありますか?

マッコリやカクテルなどの甘いお酒は糖質が多いので注意が必要です。反対にウイスキーやブランデー、焼酎などの蒸留酒は糖質が含まれていません。しかしアルコールを飲みすぎると食欲が増してしまいますので、ほどほどにしてください。

――正月太りをしないためにはどうしたらいいですか?

正月明けに太ってしまう理由の一つは、年末からの会食などで胃が大きくなってしまい、そのままの調子で年が明けてからもたくさん食べてしまうからです。ごちそうを食べた翌日は食事のバランスを意識しましょう。

お正月はタンパク質や脂質の割合も多くなりがちです。甘いおせちばかりを食べた場合もしっかりエネルギー源となるごはんなどから糖質を補う必要があります。

カロリーを持つ栄養素である炭水化物、タンパク質、脂質をバランス良く摂取することで、代謝が上がり消費量が増えます。

厚生労働省が出している日本人の食事摂取基準(2020年版)では、30~49歳の男性はタンパク質が13~20%、脂質が20~30%、炭水化物は50~65%の割合で摂ることを目標としています。

ごはんとおかずを6:4のバランスで食べるのがおすすめです。ごはんとお漬物、野菜がたくさん入った味噌汁で、不足している栄養素を補います。

ーー早速実践したいと思います!

日本人は昔から行事などを行う日を「ハレ」、日常を「ケ」としてメリハリのある生活を大切にしてきました。これに習って、忘年会や新年会などで多少食べすぎてしまっても、次の日はバランスのとれた質素な食事にして、食生活にメリハリをつけましょう。

また、正月は運動不足になりがちです。運ばれてくる食事をただ待っていたり誰かが片付けてくれるのを待つのではなく、積極的に手伝って少しでも体を動かすようにしましょう。

年末年始は誘惑が多い時季。ハレとケの風習を参考にしてメリハリのある生活を心がけたい。

アントレース、森 祐一(インパクト)=取材・文

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