OCEANS

SHARE

名店③ 博多ラーメンとは異なる個性を持つ“小郡系”豚骨「双喜紋」


advertisement

続いてご紹介するのは、「双喜紋」。店舗の場所は、西新駅(福岡市地下鉄空港線)から数分歩いたところにある雑居ビルの1階。

学生街特有の活気と、地域に根差した商店街の賑わいが同居するエリアだ。しばらく休業していた時期を経て営業を再開した同店は、私が訪問の機会を虎視眈々と窺っていた宿題店のひとつ。この度、ようやくラーメンを味わうことができた。


advertisement

「双喜紋」が提供するのは、「小郡系」の系譜に連なる豚骨ラーメン。豚骨ベースという点では同じだが、博多や長浜で提供される豚骨ラーメンとは、味の重心の置き方、うま味と甘みの組み立て方が異なる。

ひと口すすれば、豊潤なうま味の海に、上質な甘みが軽やかに泳ぐ。豚骨のうま味が土台を形づくり、その上を甘みが重さを感じさせることなく流れていく。甘みが単独で主張するのではなく、豚骨の風味と結びつくことで、全体的な味わいに豊穣をもたらしている。



豊潤なうま味を生かしながら、上質な甘みを軽やかに泳がせ、圧倒的な惹きを作り出す。これこそ、「小郡系豚骨」の極意だと言えるだろう。

さらに印象的なのが、すする度に姿を現す豚骨のフレッシュな香気だ。うま味と甘みが織りなす豊かな味わいの中でも、豚骨の香りが埋没せず、折に触れて鮮やかに立ち上がる。瑞々しい香気が食味に躍動感を与え、レンゲを持つ手を止めさせない。うま味はこの上なく濃密でありながら、味の重心が刻々と移ろい、食べ手の意識を自ずと次のすすりへと向かわせる。

博多ラーメンとは異なる個性を持つ「小郡系豚骨」は、県内の豚骨文化の多様性を考える上でも興味深い存在だ。豚骨のうま味をどのように引き出し、甘みをどう重ね、香りをどのように残すのか。その違いによって、同じ豚骨ラーメンでも食べ手に与える印象は激変する。

博多の一般的な豚骨ラーメンを体験するだけでは捉え切れない、別系統の魅力が「双喜紋」にはある。

気が付けば、替玉に手が伸びていた。西新という街で、遠く小郡市にルーツを持つ「小郡系」に出逢える。その引き出しの多さこそが、福岡市のラーメン食べ歩きの妙味なのかもしれない。
双喜紋
住所:福岡市早良区城西3-21-27
営業:11:30〜19:00
定休:水曜
Instagram:@tamen_sokimon
5/5

次の記事を読み込んでいます。