名店④「中洲川端 きりん」

このコラムの締めを飾るのは、「中洲川端 きりん」。
2019年8月にオープンした同店は、中洲川端エリアに店舗を構える豚骨ラーメンの実力店。博多旧市街の歴史と中洲の繁華街とが交差する一角に佇み、近隣には「櫛田神社」や川端通商店街もある。街歩きの途中に立ち寄れる立地も魅力だ。
今回いただいたのは、「豚骨ワンタンメン」。以前から訪問を希っていた宿題店だが、綿密に食べ歩き計画を立て、ようやく足を運ぶことができた。

スープを口に含むと、まず感じられるのは、口腔を優しく潤す豚骨の穏やかな風味。味蕾を包み込むような柔らかな口当たりに、カエシ由来の仄かな甘みが重なり、脳裏には「佐賀ラーメン」の面影が浮かぶ。

もっとも、甘みは一般的な「佐賀ラーメン」よりも控えめ。豚骨の滋味を穏やかに引き立て、味わい全体を柔和な印象に纏め上げる役割にとどまる。
ここで存在感を発揮するのが、トッピングの「ワンタン」だ。
チュルンとした衣が舌を滑らかに伝い、麺をすするときとは異なる感触をもたらす。豚骨のうま味に続き、ワンタンの柔らかな触感がふわりと舞い降りる。この切り替わりが、食べ進めるリズムに小気味良い変化を生む。
ワンタンは、単にトッピングの品数を増やすための存在ではない。同じ小麦を原料としながらも麺とは異なる食感を、1杯の中に組み入れる。ワンタンがもたらす働きにまで理解が及べば、「豚骨ワンタンメン」という選択の意味合いが見えてくる。

豚骨ラーメンという大きな括りの中でも、スープの口当たりや甘み、トッピングの組合せによって、その味わいは多彩な表情を見せる。「中洲川端 きりん」は、福岡市の豚骨文化の奥深さと幅広さを実感させてくれる1軒だ。
中洲川端 きりん住所:福岡市博多区上川端町9-15営業:9:00〜24:00定休:年末年始Instagram:@nakasu_kirin ※メニューの価格は訪問時のものになります。