名店② 土日営業のみ! あごだしと地鶏出汁の淡麗系「らぁ麺稲田」

2軒目にご紹介するのは、「らぁ麺稲田」。
営業は土日の昼のみ。営業日時のハードルが高く、訪問機会が限られることもあり、同店を攻略するに当たっては、食べ歩き計画を綿密に練り上げることが必須条件となる。
何を隠そう、「稲田」は私にとっても大型宿題店のひとつだったが、この度、訪問日時を同店が間違いなく営業しているタイミングに充てることで、ようやく訪問を果たすことができた次第だ。

今回、私は初訪問だったので、基本メニューである「あごだし鶏らぁ麺(薄口)」をいただいた。
「稲田」が提供するのは、魚介の香味、地鶏の滋味、豚ガラのコクとを繊細に重ね合わせた淡麗ラーメン。各々の素材の持ち味を最大限に生かしながらも、類まれな技量によって、それらをひとつの味わいへとまとめ上げることに成功している。

スープの核となるのは、平戸産焼アゴ・鰹・マグロ節・羅臼昆布から滾々と湧き上がる滋味。そこに加わる豊潤な博多地鶏が、豚ガラのコクを土台とし、さまざまな魚介素材の風味を包み込みながら、立体感と重層感に満ちあふれた味わいを構築。
さらに、カエシの麗しき香味が、複数の出汁素材から引き出された風味を束ね、全体の輪郭を鮮明にする役割を全う。素材のうま味、カエシの香味、それらを堪能し尽くした後に残る余韻。それらが寸分の齟齬なく噛み合った食味の麗しさが、味蕾を歓喜に震わせる。

このスープに合わせる麺は自家製。すする度に艶やかな麦香が宙を舞い、鼻腔を心地良く揺らし続ける。スープを飲むときと麺をすするときとで味わいの焦点が移ろう点も、特筆に値する。麺を、単にスープを口元へと運ぶ媒体にとどめず、1杯の食味を構成する不可欠な要素として機能させている点は、流石と言うほかない。
すする度に、多幸感が全身の細胞をしっとりと潤す。食べ進めるにつれて、スープと麺から放たれる各々のうま味が共鳴を深め、惹きは加速する一方だ。
魚介、地鶏、豚ガラ、カエシ、そして自家製麺。それぞれの持ち味を緻密に重ね合わせ、1杯の中に奥行きのある食味を描き出す。同店もまた、福岡市のラーメンシーンが持つ懐深さを知る上で、必ず押さえておかなくてはならない優良店だ。
らぁ麺稲田住所:福岡県福岡市博多区美野島2-26-27営業:10:00〜14:30定休:月〜金曜、不定休Instagram:@ramen.inada 4/5