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外国人観光客には奈良の鹿やアニメが入口


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海外のメディアがおせんべいを取り上げるとき、味覚の魅力と同じくらい熱狂的に語られるのが、日本独特の“せんべいカルチャー”だ。

その代表例が、奈良公園の「鹿せんべい」。外国人観光客にとって、米ぬかと小麦粉で作られた無調味のせんべいを購入し、お辞儀をする神鹿たちに手渡す体験は、日本旅行のハイライトのひとつだ。鹿せんべいが人間用とは異なり塩分や砂糖を一切含まず作られていることや、環境に配慮したパッケージへの進化などが驚きをもってイタリアでは紹介されている。

さらに、世界的人気アニメ『鬼滅の刃』で戦いの合間に炭治郎たちがおせんべいをバリバリとかじるシーンや、海外でも評価の高いゲーム『龍が如く7 光と闇の行方』で主人公・春日一番が経営危機に瀕した老舗せんべい屋「一番製菓」の社長となって再建に奔走するストーリーなど、ポップカルチャーを通じて「おせんべい=日本人のソウルフード」としてのイメージは着実に世界へと浸透している。
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日常にも非常時にも、いつもそこにある相棒。それが海外から見たおせんべいの愛すべきアイコン性なのだ。



現代のおせんべいは、驚くほど進化している。頑なに伝統の天日干しと備長炭手焼きを守り抜く老舗の堅焼きもあれば、オリーブオイルやブラックペッパーを効かせたモダンな米クラッカー、トリュフ塩をまとった進化系までバリエーションは実に豊かだ。

余計な添加物を削ぎ落とし、良質な米と職人の火入れで仕立てられたせんべいは、ヘルシーで力強いクラフトフードだ。昔懐かしいお茶菓子として片付けるには、あまりにも惜しい。

今夜の晩酌にはスナック菓子の袋ではなく、こだわりのせんべいを一枚食べてみよう。袋を開けた瞬間、香ばしい米の風味が立ち上り、バリッとひと噛みすれば、世界が羨む日本の伝統の味が、鮮やかに蘇るはずだ。

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マッシ=写真・文 池田裕美=編集

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