「日常に潜む社会の闇」とは......高級住宅や最新トレンドが立ち並ぶ韓国・ソウルの街、「カンナム(江南)」。その陰にひっそりと潜んでいた韓国最大のスラム街が、今年1月、大規模な火災に見舞われた。
これまで何度もこの地を訪れてきたルポライター・村田らむさんが変わり果てた廃墟の跡地をルポする。
案内人はこの方!
村田らむ●1972年生まれ。ライター、イラストレーター、漫画家。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海など、アンダーグラウンドな場所への潜入取材を得意としている。キャリアは20年超え、著書も多数。自身のYouTubeチャンネル「リアル現場主義!!」でも潜入取材や社会のリアルを紹介している。
超高級住宅地の郊外にあるスラム街
カンナムは富裕層が住む街として有名だ。大ヒットした歌手PSY(サイ)の『江南スタイル』は、富裕層の贅沢な暮らしぶりを題材にしている。カンナムはソウルの中では新しい街だが、その都市部には超高級マンションやタワマンが多数集まっている。
そんなカンナムの南部、大母山の麓に、韓国最大のスラム街、九龍村(クリョンマウル)がある。2025年末に
ソウルのスラム街の記事でも紹介したが、そのうちのひとつである。
大火災以前の九龍村。今では大半が焼失。
村に入ると、不法占拠(許可を取らずに住む)の建物がズラーッと並んでいる。地面はコンクリートで固められているものの、建物は廃材で適当に作ったような掘っ立て小屋だ。その小屋がどこまでも並んでいる。2000年くらいの代々木公園や上野公園にあったホームレスのテント村に似ているが、規模が全然違う。本当に見渡す限りホームレスのテントなのだ。
以前から、一戸ずつ青いスプレーで数字が書いてあった。何の数字か聞くと、「国がどれだけの数の家があるのか把握するために、数字を書いていった」とのこと。500番台の数字を見たので、少なくとも500番台まで番号が振られていたということだ。
ただ、中に入れなくなっている小屋も多く、「住人がいないので閉じた。いずれ取り壊すので入ってはいけない」と貼り紙が出ていた。
青いスプレーで部屋の番号が書かれていた。
電気は来ているが、電線はかなりぐちゃぐちゃに絡み合っていて、見るからに危なかった。お店は床屋や飯屋がポツポツとある程度だが、ちょくちょく移動販売のトラックが来ていた。
ポツポツと十字架も見える。キリスト教会だ。韓国ではクリスチャンが多く、街中にもたくさん教会があるが、スラム街の中にもやはりある。日本のスラムにもキリスト教会はあるが、多くは韓国のキリスト教会だった。
以前、九龍村からはかなり遠方に高層ビルが見えたが、どんどん開発されていき、今では真横にそびえ建っている。かなりの圧だ。そして、ついに九龍村も高層マンションになろうとしている。
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