餅つきとの出合いから、直感で決めたセカンドキャリア

セカンドキャリアの構想として、人力車よりも先に決めていたのが「餅屋」の開業だったという。
「現役時代はラグビーに100%集中していたので、次のキャリアについてあえて考えないようにしていました。しかし選手時代に奈良を訪れた際、店頭での餅つきに外国人観光客が見入っている姿を目にして『これはいける』と直感したんです。味が分からない状態でも、パフォーマンスそのものに惹かれて『食べてみたい』と思わせる力がある。
さらに餅はヴィーガンでありグルテンフリー。スイーツにも料理にも応用でき、懐の深い食材です。蒸してつく工程があればどこでも提供できる点も魅力的でした」。

「引退後はこれまでとまったく異なる生き方をし、海外の方をターゲットにビジネスをしようと決意しました。そこから餅屋でアルバイトを始め、同時にできることを模索した際、『日本文化』『観光客向け』『体力を活かせる』『英語が話せる』という条件が揃い、人力車に行き着いたんです。僕は自由を好む性格なので、その点でも人力車は最適でした(笑)」。

31歳での現役引退もセカンドキャリアへの移行も、直感で速やかに行動へ移してきた。人力車の車夫としても、すぐに研修へ臨んだ。
「初期研修では、疲労が溜まった状態でも雑なガイドにならないよう、限界までぶっ通しで走らされます。車体だけでも100kgほどあり、研修に半年ほど費やす人もいるようです。ただ、僕の場合はラグビーの練習に比べれば余裕でした(笑)。
客引きは自分次第なので途中で挫折する人も多いのですが、工夫次第で自由度も高い。SNSを活用したり声がけを工夫したりしています。お客様のほとんどが海外からの方で、最近は予約だけで一日が埋まることもありますね。多様性に富んだユニークな方々との出会いが多く、刺激的です」。

「夏場はあまりの暑さにしっかり休暇を取りますが、基本は週7日で稼働しています。毎日汗を流して美味しいご飯を食べられる今の環境は本当にありがたいですね。組織に縛られることも人間関係で悩むこともなく、お客さんをハッピーにできたと実感できた時の満足感は格別です」。
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