連載「トッププロが数珠つなぎ!「俺たちレーメン's」」とは……業界屈指のマニアたちにこの夏おすすめの「冷やし麺」を紹介してもらう本企画。架橋を迎えた今回は、「TRYラーメン大賞」の審査員を務める尾瀬さんが登場。実際に足を運んだ中から絶品の3杯を紹介してもらおう。
▶︎これまでの記事はこちら!【写真22点】「ラーメンアワード審査員が薦める「冷やし麺」3選!」の詳細を写真でチェック 案内人はこの方!
尾瀬 惇●2020年よりTRYラーメン大賞の審査員を務める。自身のブログ「尾瀬のラーメン手帳」管理人。ラーメン好きなサラリーマンとして、20代の頃から全国を47都道府県を2桁以上食べており、継続して全国を巡る。これまで訪問したラーメン店は1万500軒ほど、これまで食べたラーメンは1万6000杯弱。
こんにちは。尾瀬です。2020年より「TRYラーメン大賞」の審査員を務めております。大変ありがたいことに、昨年に続き今年も冷やしラーメン特集の筆を執る機会をいただきました。
ここまでの皆さんの記事も拝見しましたが、わくわくするものばかりでした。私も負けないよう、今期いただいた中で、味・見た目ともに感銘を受けたメニューを紹介させていただきます。
なお、ですます調が苦手なため、以下の項より、である調で書くことをご理解いただければ幸いです。
雪解けとともにふきのとうを味わい、秋刀魚が店先に並べば秋の訪れを知る。寒さが深まればコンビニにはおでんの香りが立ちのぼる。
そんなふうに、私たちは食を通して季節を感じてきた。そして今、冷やしラーメンもまた夏を告げる存在となっている。
店のメニューやSNSに「冷やしラーメン始めました」の文字が躍り始めると、多くの人が夏の訪れを意識する。冷やしラーメンは、もはや季節限定の一杯ではなくなった。日本の夏を彩る、新たな風物詩となったのだ。
マイベスト① らあめんCloverの「鶏と魚介の冷やしらあめん」

まず、紹介するのが成田を代表する名店「らあめんClover」。アクセスは京成線成田駅から徒歩約7分。
店主は「九段斑鳩」のご出身でありながら、提供するラーメンは師の背中をなぞるものではなく、確かな個性を宿した秀作だらけだ。

驚くべきはそのメニューの引き出しの多さ。醤油、塩、煮干し、つけ麺(冬期はお休み)、味噌(冬期のみ)といった多彩なレギュラーメニューに加えて、限定にも意欲的、と頭が上がらない。
一軒の店とは思えないほどの引き出しを持ちながら、そのどれもが高い完成度でまとめ上げられているのは驚嘆と言える。

食材の多くは千葉県内から仕入れているようだ。たしかに“千”産“千”消というコンセプトはオープン当初から掲げられていたと記憶している。
さて、今年の8月の限定冷やしメニューは「鶏と魚介の冷やしらあめん」。醤油と塩から選択ができるので後者で注文した。

波打つガラスの器に注がれた淡金色のスープに目が奪われる。その透明感は一目で涼を伝え、視線を落とした瞬間に体感温度が少し下がっているのではないだろうか。
スープをいただくと節や煮干しが織りなす華やかな魚介の風味が広がり、後味には心地よいキレが残る。中央に配された大和芋のとろろは、まるで雪を思わせる佇まい。その優しい甘みとまろやかさが出汁を包み込み、一杯に豊かな奥行きを付与。
別皿に添えられたミョウガも見逃せない。ひとつまみ加えれば、さわやかな香りがふわりと立ち上がり、出汁の余韻に夏らしい清々しさを重ねてくれる。

スープを泳ぐ平打ち麺は、冷水で締められたことによる凛とした歯ごたえを備えながらも、しなやかさも併せ持つ。箸で持ち上げれば艶やかに撓み、すすれば滑らかに喉を抜けていく佳品だ。

トッピングも実に趣向が凝らされている。とろろの上に配された親鶏は、こりこりとした独特の歯ごたえを有し、噛みしめるほどに豊かな弾力が広がる。別皿で供されるかしわ天は、衣の軽快な食感とともに、内側から溢れ出す肉汁が実に印象的である。
親鶏とかしわ天という組み合わせは、骨付きではないものの、香川県の食文化へのオマージュを感じさせるものだ。冷やしラーメンという枠組みの中に、ご当地のエッセンスを巧みに取り入れている点も興味深い。


先述した通り、レギュラーメニューも非常にレベルが高い。
一軒目から熱量が上がり、文字数オーバーになりそうなため、「まぜそば(焼きチーズトッピング)」と「つけめん(醤油)相盛り麺」の写真だけでご寛恕願いたい。
らあめんClover住所:千葉県成田市花崎町766-2営業:11:30~14:00/18:00~22:30 日曜は11:30〜15:00定休:水曜X @catch_wave 2/3