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2026.08.08

時計

「ロレックス」は“異端者”だ。王道の仮面に隠された革新的スタイルの真相


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よもやロレックスの名を知らぬ人はいないだろう。しかしロレックスを“スイス時計の王道”とみなすのは正しくない。

このブランドは、先見性と革新性でスタイルを確立したスイス時計界の異端者なのだ。

のちに時計界の“顔”となった異端ブランドの生い立ち

ロレックスは、とても不思議なブランドである。知名度はきわめて高く、非公表ながら多くのデータやレポートによれば、販売数も売り上げも、高級時計業界のトップといわれている。名実ともに「時計界の顔」であるロレックスだが、実は“スイス時計の王道”ではない。むしろ異端の存在である。
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スイスにおける時計産業は17世紀頃から始まったとされ、現存する最古のスイス時計ブランドの創業は1735年にまでさかのぼることができる。また時計産業の中心都市であるジュネーブでは、1868年にこの地の伝統的な装飾技法や製造工程を規定する「ジュネーブ・シール」も制定された。こういった伝統を数百年にわたって継承するブランドこそが、スイス時計の王道であることに異論はないだろう。

一方でロレックスは、ドイツ人のハンス・ウイルスドルフが1905年にロンドンで立ち上げた時計専門商社から始まった。その生い立ちの時点で既に異端である。ではなぜロレックスは、時計界の顔となったのか?

腕時計にフォーカスした革新的技術で頭角を現す

「オイスター」100周年を記念する新作で、6時位置には「100 YEARS」と記される。イエローゴールドとオイスタースティールの上質な組み合わせは、初期のオイスター ウォッチからインスピレーションを得たもの。今年を象徴する一本だ。「オイスター パーペチュアル 41」SS×18KYGケース、41㎜径、自動巻き。142万8900円/ロレックス(日本ロレックス 0120-929-570)

「オイスター」100周年を記念する新作で、6時位置には「100 YEARS」と記される。イエローゴールドとオイスタースティールの上質な組み合わせは、初期のオイスター ウォッチからインスピレーションを得たもの。今年を象徴する一本だ。「オイスター パーペチュアル 41」SS×18KYGケース、41㎜径、自動巻き。142万8900円/ロレックス(日本ロレックス 0120-929-570)


ロレックスが創立した20世紀初頭は、腕時計時代の始まりと重なる。つまり、それ以前から存在する伝統的時計ブランドにとっては懐中時計が主力商品であり、腕時計に対しては懐疑的だった。しかしハンス・ウイルスドルフは腕時計の時代が来ることを予見し、小型で高性能なムーブメントやケース構造の開発に力を入れる。

なぜなら胸ポケットの中で守られていた懐中時計と違って、手首の上で露出する腕時計は水滴や埃、衝撃といった外的要因に常に晒されることになる。つまり腕時計にはタフさと信頼性が求められると考えたのだ。

1926年に開発された防水ケースの「オイスター」や31年発表の自動巻き機構「パーペチュアル」は、まさに腕時計を実用化させるための革新的な技術であり、腕時計のジャンルにおいて、伝統的時計ブランドに先行することができた。さらに信頼性を証明するため、イギリスのキュー天文台の公的な精度検査に出すなど、伝統的時計ブランドと戦いながら精度技術も磨いていく。

しかしそれでも1930年代までの懐中時計と腕時計のシェアは50:50であり、伝統的時計ブランドが有利であることに変わりはなかった。

この状況が激変したのは、第二次世界大戦後である。兵士たちのために大量の腕時計が製造され、生産技術が高まる一方でコストが下がると、腕時計が市場シェアの90%を占めるようになる。こうなると、防水仕様の「オイスターケース」、効率的な自動巻き機構、精度コンクールなどで磨いた小型ムーブメントといったロレックスの先見性が効いてくる。

45年初出の「デイトジャスト」が先陣を切り、53年に「サブマリーナー」と「エクスプローラー」、55年に「GMTマスター」、56年に「デイデイト」、そして63年に「コスモグラフ・デイトナ」をリリースし、一気にスイス時計業界で頭角を現していく。

高性能のロレックスの時計は、多くのプロフェッショナルから愛された。しかしそれだけではユーザーの裾野は広がらない。
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