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価値基準の崩壊、イメージ戦略の成功

1970年代末から採用されているアイコン的デザインのジュビリーモチーフを、10色の多彩なカラーで表現。ROLEXの文字は一色ごとの版で着色しており、大胆な色彩美のなかにも繊細な技術が取り入れられている。「オイスター パーペチュアル 36」 SSケース、36㎜径、自動巻き。99万6600円/ロレックス(日本ロレックス 0120-929-570)

1970年代末から採用されているアイコン的デザインのジュビリーモチーフを、10色の多彩なカラーで表現。ROLEXの文字は一色ごとの版で着色しており、大胆な色彩美のなかにも繊細な技術が取り入れられている。「オイスター パーペチュアル 36」SSケース、36㎜径、自動巻き。99万6600円/ロレックス(日本ロレックス 0120-929-570)


そこでこの優れた腕時計をエグゼクティブ層に選んでもらうために、著名人やアスリートを起用した広告プロモーションを展開した。これによって、“ロレックス=成功者の時計”というイメージが定着するようになった。さらに70年代以降のクオーツショックも、皮肉にもロレックスの躍進を支えた。
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日本で生まれたクオーツウォッチは、その圧倒的な高精度によって「高精度=良い時計」という伝統的な価値基準を崩してしまった。伝統的時計ブランドがアイデンティティの喪失危機に見舞われるなか、ロレックスだけは、成功者の時計であるというメッセージを長年伝えてきたため、こういった混乱の影響はきわめて少なかったのだ。伝統的時計ブランドが苦境に陥るなかでもロレックスは業績を伸ばし、80年代についにスイス時計産業界のトップに立った。

そして現代、ロレックスの地位はますます盤石だ。スマートフォンの存在によって実用品としての腕時計の必要性が低下する一方で、ステイタスシンボルとしての腕時計の価値はどんどん高まっている。既に抜群のブランド力をもつロレックスは、世間一般に広く知られており、ステイタスシンボルとしての地位も確立しているため、その圧倒的な優位性が揺らぐことはない。

それどころかロレックスでは、クオリティをさらに高めるために、ケースやブレスレット、ダイヤルのサプライヤーを傘下に収めて統合し、より強固なマニュファクチュール体制を整えた。また新型ムーブメントの開発や耐磁性の向上、アイコニックなデザインの継承など、時計の本質を支える基盤技術の開発にも力を入れる。
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特に昨今は、多くの伝統的時計ブランドがトゥールビヨンやミニッツリピーターといった懐中時計時代の古典機構を再解釈し、ド派手にアップデートする手法が増えているのに対し、そんなコンプリケーションとは距離を置き、実用性を徹底するロレックスのスタンスは、今や異端として際立っているのだ。
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