独立性と神秘性が作り出す“熱狂と物語”
ではなぜロレックスは、ここまで異端を貫くことができるのか?
それはロレックスが独立資本の非上場企業であるからだ。全株式は45年に設立されたハンス・ウイルスドルフ財団が保有しており、外部からの圧力を受けることはない。また財務状況などを公表する義務がないため、多くを明らかにすることなく、長期的なビジョンに基づいた経営を行うことができる。
しかもCEOはほとんどインタビューに応じず、マニュファクチュールを取材した時計ジャーナリストもごくごくわずか。つまり世界で最も有名な時計ブランドは、世界で最もミステリアスな時計ブランドでもあるということ。その神秘性も、情報に溢れた時計業界ではきわめて稀有であり、ファンの好奇心を掻き立てる一因となっている。
ロレックスは創立から今日にいたるまで、時代に流されず独自のスタンスで歩んできた。伝統的時計ブランドから見れば異端だが、それが揺るぎない個性となった。つまりロレックスを選ぶことは、保守的な選択肢ではないということ。異端者としての歴史や歩みを理解し、楽しむブランドなのである。
9月号別冊「OCEANS WATCH」から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック!