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すべての写真を見る18世紀末以降、産業革命による社会の変化とともに、時計は飛躍的な発展を遂げた。それだけ時計は時代と歩みをともにし、人々の生活に寄り添う。腕時計となればなおさらのことだ。
そこで時代を象徴する名作を、1910年代から現代に至るまで、それぞれの社会情勢や世相から紐解いていく。
まずは高級紳士時計の誕生を皮切りに、道具としての完成度を極めた1940年代までの激動の移り変わりを見ていこう。
[1910’s]新たな時代の幕開けが生んだ世界初の紳士時計
「カルティエ/サントス デュモン」ビスを配したベゼルで正方形のダイヤルを囲み、直線的なケースラインはストラップへと自然につながる。このアイコニックな角形ケースは、懐中時計の丸形と一線を画すために生まれたのかもしれない。K18YGケース、縦43.5×横31.4㎜、手巻き。293万400円/カルティエ 0120-1847-00
20世紀初頭の時計界のビッグバンといえば、懐中時計から腕時計への移行だろう。だがそれも時計の進化における当然の帰結にすぎない。
13世紀から14世紀にかけて、社会を支える生活基盤としての時計塔や宗教が権威の象徴とした教会の大時計が生まれた。やがて技術が進むにつれ小型化し、掛け時計や置き時計、さらに懐中時計へと形態を変えた。そのなかで時間は集団で共有するものから個人のものになっていく。
16世紀以降、既に女性たちは“時を刻む宝石”としてペンダントやロケットなどの装飾時計で身を飾り、19世紀にはブレスレットウォッチが流行した。その一方、実用品としての腕時計の始まりは、一説には1902年に終結したボーア戦争の時代といわれる。戦場では兵士が懐中時計を革紐で腕に巻き付けて使ったという。
ポケットから手首へ。それは、鉄道など交通網の発達や発展する産業社会においてきわめて実用的な時計の居場所だったのは言うまでもない。しかしそれ以上に、腕に着けた時計を見る仕草こそがそれまでの旧態然とした階級社会に対し、新たな時代の幕開けを象徴し、台頭する新興勢力、ネオブルジョアジーの証しになったのである。
そうした時代を切り拓くパイオニア精神は大空にも向けられた。そして好奇心と冒険心に溢れるひとりの飛行家、アルベルト・サントス=デュモンの情熱から一本の腕時計が生まれた。それが1911年に市販されたカルティエの「サントス」。
世界初の高級紳士時計と称えられ、その針が刻んだのはダンディズムという男の時間だったのだ。
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