里山はクマとヒトの境界線。人工林との関係も

最近ではクマが肉食化し、鹿肉を食べているというニュースも見かける。
「秋田でも鹿や猪の個体が増えている、クマが猪に追いやられている、なんて話を聞いたり、鹿の死骸をクマが食べるなんてニュースもあります。けど、この周辺は鹿や猪の個体数はそんなに多くない。
ただ、年配のマタギさんが子供の頃は集落周辺ではクマを見なかったけど、近年では人里周辺でもクマを見かけるようになったと聞いてます。集落にクマが近づく原因のひとつにはスギ林の存在があると思います」。
根子集落側から写した根子トンネル。
スギ林とは、1969年から1970年代半ばにかけて大規模に植えられた人工スギ林のことを指している。
「この辺でも現在は人が山に入るのは猟とか山菜取りとか、それくらいです。かつては猟友会の人数も多かったし、炭焼きや薪作りや林業も含めて、里山と暮らしが一体となっていましたよね。もっと人が山に入っていたんです。
昔からマタギの人たちが猟をする場を“クラ”と言いますが、このクラは奥山と里山の間くらいにあります。そのクラで巻き狩りをすることは、クマにとっては脅威になる。ここいると怖い目に遭うとクマも学ぶんです。人が山に入ることがクマの抑止力になる、その力が弱まったのがこの数十年だと思います。

スギ林は木の実も何もなく、ただ暗いところ。クマにとって移動しやすい環境で、スギ林を通って里に近づいてきますが、秋田県では人工林のほとんどがこのスギ林で、その面積も全国で一番なんです」。
近年では伐採期を迎えた人工林の放置が全国的に増加しているが、森林を管理することはクマや動物の動向にも深く関わっているのである。
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