圧倒的おじさん人気。女性支持はゼロでも……
維持費や移動の効率といった利便性に限っていえば、現代の車には到底及ばない。だが、この車がもたらす価値はそこにはないのだから目をつぶるより他ない。
「燃費はね、計算したら多分、辛くなるんで知らないです。ガソリンがなくなったら入れる。ただ、それだけ。よく『リッターどれくらい?』って聞かれるんですけど、計算してないから本当にわからないんで(笑)」。
その話はしたくない、とでも言うかのように中岡さんの声は小さくなっていく。これ以上は深掘りするまい、とこちらも話題を変えて、クーペと共にした車の旅について聞いてみた。

「最高距離は長野の松本までかな。普通なら3時間で行けるところを、休憩を何度も挟みながら4時間くらいかけて行きました。速度が80km以上になったら、キンコンキンコンって速度警告音が鳴っちゃうんで。あれ、ビビるんですよ。一応、100kmまでは出るんですけどね。僕の運転は基本めちゃめちゃ遅い。左車線をゆっくり走ってます」。
周囲の車も、このクーペにスピードを求めることはないだろう。それよりも、この車が現れた瞬間、場の空気が一変するような個性に、多くの人が視線を奪われてしまうのだ。

「街中で本当によく声をかけられます。『お前、いい車乗ってんな』って話しかけてくるのは、出川さん世代のおじさんたち。この車をリアルタイムで見てたので詳しいんですよ。『これ、ジウジアーロだろ?』ってデザイナーの名前まで知ってる。
あと、海外の人の反応もいいですね。こんな状態のいい旧車を見るのが珍しいのか、親指でいいね〜ってサインを出しながら、めちゃめちゃ写真を撮ってきます。ちなみに、女性からの反応はゼロ。声をかけられることはありません(笑)」。
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