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2026.07.02

時計

気分は40mm以下?パテックにブルガリetc. 識者3名が紐解く“定番時計の小径化”の真相


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ヘリテージの再解釈が進むなか、定番時計の小径化が大きなトレンドとなっている。その背景には何があるのか?

“作り手のエゴ”を感じる時計」に続き、識者3名による“NEO CLASSICS”の深掘りはトマラナイ。
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時計ジャーナリスト
篠田哲生さん
時計学校に通ったこともある実力派のジャーナリスト。柔らかい物腰とビギナーにもわかりやすい解説から、時計関連のイベントに引っ張りだこだ。
プレコグ・スタヂオ代表/編集者
安藤夏樹さん
「時計に貴賎なし」と名品から風変わりな時計まで数多く収集。昨今の木彫り熊ブームの火付け役でもあり、伊勢丹 新宿店でのキュレーションも盛況だった。
にしのや代表/ニート デザイナー
西野大士さん
PR会社を主宰し、ニートなど自身のブランドも手掛ける。時計好きな一面を覗かせる今回着用の「アクアノート」ほか、名品的な機械式時計を複数所有。

「ヴィンテージ人気が小径化を加速させました」

西野さんの愛用時計は、前職時代の先輩に憧れて購入したパテック フィリップ「アクアノート Ref.5060A」。「コンパクトなサイズとラバーストラップのスポーティさが着こなしのバランス役」だそう。

西野さんの愛用時計は、前職時代の先輩に憧れて購入したパテック フィリップ「アクアノート Ref.5060A」。「コンパクトなサイズとラバーストラップのスポーティさが着こなしのバランス役」だそう。


安藤 小径化は今年に限った現象ではなく、2000年代初頭からの「デカ厚」ブームに対するカウンターが、時間をかけてようやく結実したのかなという感覚です。

篠田 デカ厚の火付け役はパネライでしたね。当時の勢いは凄まじかった。

西野 振り返ると、僕が最初に購入した機械式腕時計はラルフ ローレンの広告で人気になったベル&ロスの「BR-01」。46mm角ですから相当大きいんですが、そのストーリー性に魅力を感じました。

安藤 デカ厚の長期政権にはさまざまな要因が考えられます。「ロイヤル オーク」などをデザインしたジェラルド・ジェンタは、Gショックを着け慣れた世代には、大きいサイズのほうが自然だという見方をしていたそうです。一方で、体格の大きなアメリカ人たちが時計市場で力を持ち始めたことも一因といえるでしょうね。

西野 なるほど! 面白い見解です。

「A.ランゲ&ゾーネ/サクソニア・アニュアルカレンダー」小ぶりな36㎜ケースで、ブランドが得意とするアウトサイズデイト表示のムーンフェイズ付きアニュアルカレンダーをまとめ上げた。モデルごとに新キャリバーを製作する力の入り具合は健在で、均整の取れたバランスが美しい。K18WGケース、36㎜径、自動巻き。価格要問い合わせ/A.ランゲ&ゾーネ

「A.ランゲ&ゾーネ/サクソニア・アニュアルカレンダー」小ぶりな36㎜ケースで、ブランドが得意とするアウトサイズデイト表示のムーンフェイズ付きアニュアルカレンダーをまとめ上げた。モデルごとに新キャリバーを製作する力の入り具合は健在で、均整の取れたバランスが美しい。K18WGケース、36㎜径、自動巻き。価格要問い合わせ/A.ランゲ&ゾーネ 0120-23-1845


安藤 僕は16年にA・ランゲ&ゾーネから35mm径の「サクソニア」が出たときに、待望の小径が来たなと思い購入。その頃からメディアも小径化の波が来る来るって言い続けてたんですが、なかなか本格化しなかった。気付けば、あれからもう10年が経つんですね。

篠田 “小径ブーム来る来る詐欺”(笑)。A・ランゲ&ゾーネでいうと、今季は「サクソニア アニュアルカレンダー」を36mm径で発表しました。複雑機構を搭載しながらこのサイズに収めている点に、技術の進歩を感じます。

安藤 小径化の背景には、ヴィンテージ市場の活性化によるアーカイブの再評価があると思います。90年代前半まで、普通の三針時計では30mm台が主流ですから。

篠田 復刻モノの現行時計が増えるなか、小径を“オリジナルサイズ”と名乗ることで、それが付加価値になっているのも興味深いです。

——結果的に最近のスタンダードは40mm径を切る39mm前後に落ち着きつつあります。

安藤 そうなった理由として、時計製造の技術進化もあるんです。

西野 確かに小さな時計は衝撃性や防水性などに不安が伴いますからね。

篠田 CADという3D設計ソフトの活用によって設計が容易になり、それを実現する工作精度も向上した。その結果、ケースの防水性は十分に確保され、さらにムーブメント自体の耐磁性が向上したことで、磁気対策のためのパーツも不要となったというわけです。

「ブルガリ/オクト フィニッシモ」これまで40㎜径だった薄型時計の代表格「オクト フィニッシモ」が、性能を高めた新型キャリバーを搭載して37㎜径にリデザイン。若干の厚みが増したことで複数のファセットからなるケースの造形美が、より立体的に引き立つ。K18YGケース、37㎜径、自動巻き。753万5000円/ブルガリ(ブルガリ・ジャパン 0120-030-142)

「ブルガリ/オクト フィニッシモ」これまで40㎜径だった薄型時計の代表格「オクト フィニッシモ」が、性能を高めた新型キャリバーを搭載して37㎜径にリデザイン。若干の厚みが増したことで複数のファセットからなるケースの造形美が、より立体的に引き立つ。K18YGケース、37㎜径、自動巻き。753万5000円/ブルガリ(ブルガリ・ジャパン 0120-030-142)


西野 薄型で地位を獲得したブルガリの「オクト フィニッシモ」が、37mmサイズになったのも象徴的です。ジュエリー感覚で楽しめそう。

安藤 径が小さくなったぶん、やや厚くなりましたが、これは大歓迎。

西野 立体感が増している気がします。

安藤 その一方で、小さければ何でもいいというわけではない。パネライのように“意味のある大きさ”もありますから。

篠田 近年就任したパネライの新CEOに話を聞く機会があって、40mmモデルを加えてレディスも拡充した前任の流れを踏襲するかと聞いたんです。答えは「NO」。パネライは男の道具だからって。

安藤 それもまた格好いい。確かな出自を持つブランドならではの強みでしょう。やはりエゴは大事!
2/2

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