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2026.07.01

時計

「カルティエ」に「ブライトリング」etc. 3人の識者が新作時計から導く“ヘリテージの再解釈”


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“NEO CLASSICS”=ヘリテージの再解釈。それは具体的にどんなモデルが該当し、何が買いなのか。

ここでは今年の新作をサカナに、3人の時計識者を招聘。彼らの鋭い審美眼を通して、今選ぶべき正解を導き出す。
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時計ジャーナリスト
篠田哲生さん
時計学校に通ったこともある実力派のジャーナリスト。柔らかい物腰とビギナーにもわかりやすい解説から、時計関連のイベントに引っ張りだこだ。
プレコグ・スタヂオ代表/編集者
安藤夏樹さん
「時計に貴賎なし」と名品から風変わりな時計まで数多く収集。昨今の木彫り熊ブームの火付け役でもあり、伊勢丹 新宿店でのキュレーションも盛況だった。
にしのや代表/ニート デザイナー
西野大士さん
PR会社を主宰し、ニートなど自身のブランドも手掛ける。時計好きな一面を覗かせる今回着用の「アクアノート」ほか、名品的な機械式時計を複数所有。

「作り手のエゴに、惚れ込めるものです」

「カルティエ/ロードスター」航空機の流麗なシルエットを宿す2002年誕生の名機「ロードスター」が、新デザインでリバイバル。ローマ数字の採用やデイト表示とカボションをつなぐ3時位置の意匠など、美観を突き詰めた現代のスポーティウォッチに進化した。10月発売予定。SSケース、縦47.2×横38.7㎜、自動巻き。167万6400円[予価]/カルティエ 0120-1847-00 Antoine Pividori © Cartier

「カルティエ/ロードスター」航空機の流麗なシルエットを宿す2002年誕生の名機「ロードスター」が、新デザインでリバイバル。ローマ数字の採用やデイト表示とカボションをつなぐ3時位置の意匠など、美観を突き詰めた現代のスポーティウォッチに進化した。10月発売予定。SSケース、縦47.2×横38.7㎜、自動巻き。167万6400円[予価]/カルティエ 0120-1847-00 Antoine Pividori © Cartier


——本特集では、確かな信頼感がありながら新鮮さも失わない、そんな意味を込めて“NEO CLASSICS”というキーワードを掲げました。時計界でもよく「伝統と革新」という言葉が飛び交いますが、まさにそのトレンドこそが、今回のテーマの根底にあると思っています。

篠田 その潮流のなかで、今最も象徴的なアクションを見せているのがカルティエですよね。2002年に登場した「ロードスター」を十数年ぶりに刷新し復活させました。まさに“NEO CLASSICS”を体現している存在です。

西野 カルティエは自分も好きで、昔の「サントス デュモン」を所有していますが、時代を超えるエレガンスに今も魅力を感じています。

安藤 「Watches & Wonders」などの展示では、自分たちのヘリテージを訴求し、それを土台に新作を提示するというプレゼンテーションの手法がよく用いられます。カルティエはそれがすごく上手な印象。

篠田 コレクター魂がくすぐられると。

安藤 コレクターを意識しているのは間違いないでしょう。事実、カルティエはヴィンテージ市場での評価も上がっていますから。

篠田 つまり、ヴィンテージウォッチを好むマニア層に刺さるような新作をリリースしている、というわけですね。

西野 なるほど。でもマニアだけでなく、一般層からも広く支持を得ていますよね?

安藤 そこが面白いところ。これは時計だけに限った話ではなく、家具業界でも同じことがいえます。例えば、毎年ミラノ・サローネで新しいデザインが発表されますが、結局売れる家具の多くは50〜60年代に生まれたデザイン。ヘリテージを重んじた普遍的なデザインは色褪せず、だからこそマニア層を超えて広く支持を得る。時計の場合もデザインはヘリテージを踏襲しながら、色やサイズ、素材使いなどを適宜アップデートしているケースが非常に多いです。

篠田さんの愛用時計は、2002年に発売された「ロードスター」のオリジナルモデル。カルティエらしくない、と入手したが、「滑らかなケースのフォルムと腕なじみの良さは、やはりカルティエらしい!」。

篠田さんの愛用時計は、2002年に発売された「ロードスター」のオリジナルモデル。カルティエらしくない、と入手したが、「滑らかなケースのフォルムと腕なじみの良さは、やはりカルティエらしい!」。


篠田 普遍的なデザインという点では、ロレックスも外せません。今年で誕生100周年を迎えたオイスターケースを記念する新作群がまさにそれ。

西野 なかでも、多色使いのアーティスティックなダイヤルは目を引きました。

安藤 定番「オイスター パーペチュアル」のジュビリーダイヤルですね。ロゴをグラフィカルに表現したアーカイブにも残る意匠で、カラフルになって再登場したものです。

篠田 今回のジュビリーダイヤルは、10色分の計10版を使って刷り上げているらしく、鮮やかなうえに非常に手が込んでいるんですよ。

西野 デザインは少々やんちゃですけど、歴史や技術の裏付けがあれば、手を出しやすい。

篠田 西野さんみたいな人にこそ、そういう時計を着けこなして、僕らにこなしのテクニックを伝授していただきたいですね。

安藤 西野さんもそうですが、ファッション系の人たちの時計チョイスは手堅いものが多い(笑)。本当は遊んでほしいのに。

西野 そこは手堅くいかせてください(笑)。服で遊んでいるぶん、正統派の時計でバランスを取っている人が多いんだと思います。

「ブライトリング/クロノマット B01 クロノグラフ 42」1984年、クオーツ時計台頭に抗うべくして誕生した自動巻きクロノグラフ搭載のパイロットウォッチが一新。各15分位置に備えたベゼルのライダータブやルーローブレスレットなどのデザインコードは継承し、都会的な顔立ちに。SS × K18レッドゴールドケース、42㎜径、自動巻き。206万8000円/House of Brands Japan 0120-105-707

「ブライトリング/クロノマット B01 クロノグラフ 42」1984年、クオーツ時計台頭に抗うべくして誕生した自動巻きクロノグラフ搭載のパイロットウォッチが一新。各15分位置に備えたベゼルのライダータブやルーローブレスレットなどのデザインコードは継承し、都会的な顔立ちに。SS × K18レッドゴールドケース、42㎜径、自動巻き。206万8000円/House of Brands Japan 0120-105-707


——定番のリニューアルでいうと、ブライトリング「クロノマット」も該当しますね。

安藤 ヘリテージをどこまで解体して面白いものを生み出していくか。どのブランドもテーマになっているんでしょう。

篠田 ルーローブレスレットやライダータブといった“愛されディテール”がありますしね。

安藤 そうなると天邪鬼な僕は、オリジナルの「クロノマット」がとたんに気になり出す(笑)。

篠田 ブライトリングのCEOは、コレクターたちの話をよく聞くことでも知られています。

安藤 ただユーザーの声に耳を傾けすぎて、商品の強みがぼやけてしまうことはよくあるんです。何より作り手側による強固な「プロダクトアウト」の姿勢が大事。ヘリテージを再解釈するにも信念とセンスが必要なのです。

西野 話題に上がった時計は、どれもいい意味でブランドのエゴを感じる良作ばかり!
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