メダルは二の次。自分がどこまで強くなれるか
浜口さんも日々トレーニングに励むアニマル浜口トレーニングジム。
勝つために自分を極限まで追い込んでいた現役時代。いまも日々トレーニングは欠かさないというが、世界の舞台で活躍していた当時とは、その目的も意味も違うはずだ。
しかし、浜口さんから返ってきたのは意外な言葉だった。
「根本は一緒ですよ。試合や相手に勝ちたいというのは二の次で、オリンピックでも世界選手権でも、マットの上では対戦相手と一対一。誰にも頼れない状況で求められるのは、自分の強さです。私自身がどこまで強くなれるか、どこまで高められるかという闘い。その本質はいまも同じで、トレーニングの目的も意味も、昔とあまり変わらないんです」。
アニマル浜口トレーニングジムに掲げられている道場訓。
「何度もチャンピオンになると相手も私のことを研究してくるので、その立場を守るプレッシャーはどんどん積み重なっていきました」。
試合という形式は取らないものの、主戦場はいま現在もレスリングマットの上にある。父であるアニマル浜口氏から喝を入れられる日常も当時と変わらないという。
「少しでもブレそうになると、父から『鍛えなさい、練習に行きなさい』といまだに言われます。『そんなことをしている時間があるならトレーニングをしなさい』と。いつまでもそうやって厳しい立場でいてくれる父には、本当に感謝しています。だから、30分でも時間があれば、ジムに行って体を動かすようにしているんです」。

なぜ、そこまで頑なに強い自分を追い求めるのか。その問いに対する答えは驚くほど実直だった。
「弱いからです。真逆のものが自分にあるから、強くなりたいという願望がある。自分の弱さは、いまも認めています。試合に勝ち続けた印象が強いかもしれませんが、負けることだって多かった。順調な現役生活じゃなかったですよ、全然」。
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