
M-1グランプリ連覇を経て独立し、活動の幅を広げる令和ロマンの髙比良くるまさん。一挙手一投足がメディアを賑わせているが、映像制作会社「KURUMADE」を設立し、7月31日(金)からは自身初の監督作品『BREAK SHOT』の4大都市での劇場上映を控えている。
彼はいま何を考え、どこを向いているのだろうか。先日行われたショートショートフィルムフェスティバル& アジア 2026の楽屋でくるまさんを直撃。作品の背景にある思い、相方・松井ケムリさんとの関係、King Gnu常田大希さんと交わした雑談などから、現在地を覗いてみる。
【写真12点】「令和ロマン・くるまが初監督作品で目指す“お笑いを世界へ”の夢」の詳細を写真でチェック 話を聞いたのはこの人!
髙比良くるま●1994年生まれ、東京都出身。2018年に松井ケムリと「令和ロマン」を結成。M-1グランプリ2023・2024、第45回ABCお笑いグランプリ王者。映像制作会社「KURUMADE」を率いて初監督映画『BREAK SHOT』を発表し、シンガポールの映画祭で3冠を達成するなどマルチな才能を発揮する。著書に『漫才過剰考察』。
「漫才の映画化」に挑んだ初監督作品
ーーフリーになって1年以上が経ちますが、見ている景色はずいぶん変わったのではないですか。
くるま 映画を作り始めたのが一番大きな違いなので、過ごす場所は大きく変わりましたね。それまでは劇場と劇場を移動する時間が多かったのが、映画の制作現場だったり、映画祭だったり、それまで足を運んでこなかった映画館にも行くようにもなりました。あと、1年前までとはまったく違う人たちに会ってるなとも思います。
ーー今回「漫才の映画化」を試みたということですが、初作品となる『BREAK SHOT』にもし点数を付けるとしたら何点でしょう。くるま 点数ですか……100点ですね。お笑いもその時その時で100点だと思ってやっていて、映画作りにもそのくらい真摯に向き合いたいと思っています。後からあれこれ言い出したらそれはもう。いま点数を付けちゃうと70点まで下がってるかもしれませんが(笑)。でも、作った時点では100点満点です。
僕は自分に関わるあらゆる創作物が新しければ新しいほど好きだし、いいと思っていて、だから、次も作り始めているんですけど、完成したら今回のより自己評価も高いと思います。
ーー今回の作品には、漫才でいうツッコミ役や、わかりやすいオチがありません。どのあたりが「漫才」なのでしょうか?くるま 漫才という言葉からイメージされるものとは違うので視認しにくいと思いますが、自分の感覚的にはツッコミはあるし、ツッコミゼリフもいっぱい入ってるんです。たとえば飲み会で上司と部下がテンポのいい掛け合いをしてると「漫才みたい」「M-1出ればいいのに」みたいなノリがあるじゃないですか。あれと同じというか、全編が漫才だと思ってます。
令和ロマンの漫才は相方の松井ケムリさんのクライアントワークというか、彼ができることや彼が思うことのサポートを僕はやってる感覚なんです。漫才中に僕がいろんな現象をやり、彼が彼の目線で感想を言う。それが僕らは楽しい。
ーーなるほど。「普段の漫才」とは違う点は?くるま 漫才では僕がひとり何役もやりますが、映画においてはそれぞれのキャラクターを、当たり前ですけど違う俳優が演じます。画的にも会話的にもキャラクター同士がぶつかり合う。映画ではそれを見たかったのかもしれません。
僕は自分の思想や偏見が周りの芸人に比べて面白くないから、すでに流行っている日常劇場やアニメをオマージュする方法を漫才に取り入れてきました。それって最後に使う“ずらし”
※の利用法でエンタメの出口というか。
その点、映画は入り口だと思うんです。だから僕は出口から入って、ある程度山は登ったんですけど、この山から1回降りて、違うルートから登れば山頂につけるかもしれない。そんな気がしています。
※相手の期待やセオリーを意図的に少し逸らし、そこにズレ(違和感)を生み出すことで笑いをとるテクニックのこと。
2/4