
湯河原は、こうした食への高い志を持つ作り手が、引き寄せられる場所。そのひとつの起点となったのが、1996年創業のベーカリー「ブレッド&サーカス」。
「水がきれいだったこと、そして新しい味を受け入れてくれる土壌があった」と語るのは、現在お店を預かる長友幸さん。
20年以上愛されるロングセラー、全粒粉カンパーニュ(800円)。全粒粉の風味を活かしつつ、毎日食べても飽きない滑らかな食感が特徴。まとめ買いする熱心なファンも多い。
かつては珍しかった天然酵母のハード系パンがこの地に根付いたのは、都心からの移住者や別荘族など、質の高さに敏感な受け手が多かったから。そうした人々を惹きつけたのは、どこかの有名店で修業したものではない、独学の味だ。
数種類のドライフルーツに加え、オレンジピールやチェリーを練り込んだフルーツバンドル(580円)。リボンをあしらった可愛らしい形で、ギフトにも喜ばれる。
自分たちが美味しいと信じるものを、ただひたすらに形にする。それは今も変わらない。
全国からファンが訪れ、どれほど行列が絶えなくても、目が届く範囲で、納得のいくパンだけを焼き続ける。その徹底した姿勢に、この店のストイックな本質が表れている。
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