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限られた空間で、全員が船を動かす

タラ号の舵を切る操舵室。前方には「アニエスべー」を筆頭にタラ号を支援する企業のロゴが見てとれる。縦は約36m、横は最大10mと探査船としては小さいサイズ。だからこそ、乗組員も研究者もアーティストも、互いの気配を感じながら日々をともにし、この船を動かしている。

タラ号の舵を切る操舵室。前方には「アニエスべー」を筆頭にタラ号を支援する企業のロゴが見てとれる。縦は約36m、横は最大10mと探査船としては小さいサイズ。だからこそ、乗組員も研究者もアーティストも、互いの気配を感じながら日々をともにし、この船を動かしている。


研究内容だけではなく、船上での暮らしも驚きに満ちている。タラ号は帆船として見れば大きいが、探査船としてはかなり小さい部類だ。そこに乗組員、研究者、料理人まで含めて最大16人ほどが一緒に乗る。
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共有スペースはほぼひとつで、食事の配膳、皿洗い、掃除も分担制。もちろん研究者も深夜の見張り当番に入る。必要があれば、夜中に帆を動かすこともあり、誰一人として“乗せてもらっている人”ではいられない。全員で船を進めている感覚がある。

乗船する料理人アン・セシルさんが毎日3食を用意する。

乗船する料理人アン・セシルさんが毎日3食を用意する。


過去の探査プロジェクトでは、シルバンさん自身も午前2時から4時にかけて、沖縄・硫黄鳥島沖で風が急に強まり、激しい雨のなかで帆を動かしたこともあるという。研究者であっても、船の上では研究だけしていればいいわけではない。生活も、安全も、航海そのものも、全員で支えているのだ。

船員たちが休息をとるベッドスペース。

船員たちが休息をとるベッドスペース。


タラ オセアン財団 エグゼクティブディレクターのロマン・トゥルブレさんは、安全を守ることに加えて、みんなが気持ちよく一緒に過ごせる雰囲気をつくることも大事だと語る。
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「お互いが何をしているのか理解する。研究にも、生活にも、それぞれが少しずつ参加する。そうすると自然にギブ・アンド・テイクの関係が生まれ、限られた空間でも共同体が成り立つのです」。タラが大事にしている“共有すること”への意識は、ここでも徹底されていた。

ライフジャケットが整然と並び、限られた空間のなかで、暮らしと安全、仕事が無理なく共存していることが伝わってくる。共同体としてのタラ号のムードが感じられる、大切な一角だ。

ライフジャケットが整然と並び、限られた空間のなかで、暮らしと安全、仕事が無理なく共存していることが伝わってくる。共同体としてのタラ号のムードが感じられる、大切な一角だ。


もちろん船内も研究のための工夫が詰まっている。航海の研究テーマごとに内部を改装しており、今回はサンゴ研究のために潜水用ボンベを充填するコンプレッサーを積み、採取したサンプルを処理・保存する設備を整えた。海水から真水をつくる造水装置や冷凍庫など生活のうえで必要なツールも揃えている。

海の研究は、ロマンティックな航海のイメージだけでは成り立たない。水の残量、収納、食事、暑さ、換気……船員たちみんなの日常生活を維持しながら、はじめて科学は前に進む。
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