海洋プラスチックは、もともと陸の問題でもある
昨年、本連載に登場してくれた、タラ オセアン財団エグゼクティブディレクターのロマン・トゥルブレさんも来日。
今年始まる最新の調査が「タラ号サンゴプロジェクト」。フランスを出港し、大西洋と太平洋を横断して東京、香川、広島へ寄港したあと、パプアニューギニアへ向かう。
調査の舞台はフィリピン、インドネシア、マレーシアにまたがる「コーラルトライアングル」。サンゴの多様性が高い一方で、他地域ほど深刻な白化が起きていない海域だ。なぜそこではサンゴが比較的強く生き延びているのか、その理由を探るのが主な目的だ。
そんなタラ号と日本のつながりは2017年に遡る。初来日をきっかけに「タラ オセアン ジャパン」が設立され、日本独自の活動も行っている。なかでも全国の臨海実験施設ネットワークを使ったマイクロプラスチックの共同調査は、象徴的な事例のひとつだろう。
北海道から沖縄まで沿岸各地でサンプルを採取し、日本沿岸全体の傾向を分析した。その結果、海の表層水では1平方キロメートル当たり平均約300g、ペットボトル約6本分に相当するマイクロプラスチックが浮遊していた。さらに海底では、表面から10cmの深さの堆積物に1平方キロメートル当たり平均約1200kg、つまり1t以上の存在が確認されている。
タラ オセアン ジャパン理事を務めるシルバン・アゴスティーニさん。現在はニューカレドニアのフランス国立研究機関に所属し、日本での活動や研究成果を伝えるキーパーソンだ。
「日本の海はきれい」という感覚を、その数字は静かに覆す。タラ オセアン ジャパン理事で海洋科学者のシルバン・アゴスティーニさんは、そもそも海洋プラスチックという呼び名に疑問を呈する。もともとは陸で使われていたものが雨で流れ、川をとおして海へ出たものが多いからだ。
一般的に、海にあるプラスチックの約8割は陸由来であり、問題の核心は、私たちの今の暮らし方である。「生産、消費、包装、廃棄、地方のごみ処理体制まで含めて考えなければ、蛇口を開けたまま浴槽の水だけをかき出すようなものだ」と彼は言う。
ごみをただリサイクルすればいいわけではなく、根本を見直さないかぎり、プラスチック問題の解決にはならないことをタラ号の調査結果が教えてくれる。
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