ディレクター 金子恵治●1973年、東京都出身。エディフィスのバイヤーを経て独立し、レショップの立ち上げに参画。2022年、東京・北青山に「BOUTIQUE」をオープンさせ、24年には自身のブランド、ファウンダを始動。そのほか、多岐にわたるブランドのディレクションや監修を手掛ける。
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すべての写真を見る 昔の服はとても贅沢なものだと思っています。効率や量産を重視するのではなく、縫製やパターンにすごく手間がかかっている。例えば運針が細かかったり、襟にちょっとしたカーブを加えていたり。僕はそんな細部のこだわりに、ずっと惹かれ続けているんです。
ただ、現代でヴィンテージをそのまま着るとサイズや素材などで、どこか今の装いと齟齬が生まれてしまう。だから僕は昔の服が持つ素晴らしい作り込みを、今の感覚に翻訳していこうと思いました。
黒のジャケットは森林作業員が着ていたワークウェアをベースに、上質なウールで軽やかに仕立てたもの。「シャツは運針の細かさや襟のカーブといった昔ながらの作りにこだわりました。ジャケットとマッチする最高の脇役です」。ジャケット5万9950円、シャツ2万9920円/ともにフィルソン(デイトナ・インターナショナル filson.japan)
ディレクションをしているフィルソンのジャケットは、まさにその考えをもとに作ったもの。ベースにしたのは、1914年の「マッキノークルーザー」。森林作業員の服なのですが、原型をよく見ると後ろに流れた肩のラインなど、テーラードっぽい要素が垣間見えます。
というのも、30年代以前の服には、アウトドアウェアにもかかわらず、仕立てにテーラーの手法が残っていて、本当にパターンのいいものが多い。だから、それを今の街で着られるジャケットにしたいなと思ったんです。
古き佳き形を活かしつつ、尾州産のメリノウールを使ったり、カフスを加えたりしながら整え、ワークウェアを軽やかで美しい佇まいへと昇華させました。昔の服の魅力を、現代の暮らしの中で自然に纏う。そんな日常の贅沢を、ぜひ体感してもらえるとうれしいですね。
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