イタリアでは生活のための古着か、最高級ヴィンテージに分かれる

ここで少し、僕の故郷イタリアの古着事情に触れておこう。イタリアで古着は大きく二つの極端な文脈に分かれる。
一つは、地方のメルカート(市場)で見かける「生活のための古着」だ。山積みにされた服の中から、文字通り掘り出し物を探すタフな世界。そこには「キュレーション」という概念はあまりない。
もう一つは、ミラノやフィレンツェの限られたエリアにある、貴族の遺品のような最高級のヴィンテージだ。数十万円(あるいは数百万)もするアーカイブが、美術館のように並んでいる。

どちらも魅力的だけど、「誰もが日常的に、洗練された審美眼で選ばれた時代をミックスして楽しむ」という文化は、イタリアよりも日本の方がずっと根付いていると感じる。
イタリア人は新品を自分色に育てることに情熱をかけるけど、日本人は「他人が育てた物語を引き継ぐ」ことに、ある種のロマンと粋を見出しているのだ。
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